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ショートショート小説

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愛媛の土地を歩きながら、考えた小説になります。小説を読んだ人の気持ちがざわつくと嬉しいです。
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#超短編小説

あの人は…

あの人は…

正午を過ぎた辺りになると、決まってその女性はいつも同じ席に座っていた

注文はブラックコーヒーのみ

いつも1時間くらい滞在している

そして彼女は窓から見える向かいの家をじっと眺めている

彼女が入店して30分が経った頃

「コーヒーのおかわりをお願いします」という柔らかい声が聞こえた

いつもは1杯で終わっていたので珍しいなと思った

「すぐにお注ぎ致します」

そう言って、僕はコーヒーを作り

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あの時のセンター試験は覚えていないが…

あの時のセンター試験は覚えていないが…

センター試験を終えた高校生たちが一斉に帰路についている

”少年よ大志を抱け”ではないけれど、少年少女よ、君たちには明るい未来が待っているぞということを勝手に願うとしようか

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サッカースパイク

E大学の正門前にちょこっと置いてあるサッカースパイク。恐らく、捨てられた物か、忘れ物だろう(忘れ物だとしたらなぜ取りに来ないのか)。しかし、本当に無意味な物なのだろうか。私はこのスパイクにはこんな物語があるのではないかと考える。

このスパイクの持ち主は、プロを目指していた。夢は日本代表。高校生の頃から受けてきたプロの選考も最終までいった。あと少しで夢が叶う。そんな時に悲劇は起きた。

彼は、事故

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