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最高の写りを重さと引き換えに 〜SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM Art〜


今もなお良いと感じる名レンズ

SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM Art
メイン機をニコンからフジフィルムに切り替え、撮る対象もポートレートからスナップに変わった今、これをD500と共に持ち出して撮影する機会は減ってしまいました。

ただその重量と大きさを引き換えに描画性能は自分の使ってきたレンズ史上最も良いものであることは今も変わりません。
今回は高校時代の後半、ポートレートを撮りまくっていた時に使っていた相棒、「SIGMA 50-100mm F1.8 DC HSM Art」について書いてきます。

重さを引き換えに得た魅力たち

f1.8通しのズームレンズ

このレンズの魅力はなんといってもf1.8通しのズームレンズであるということです。
このf値のお陰で35mm換算75-150mmという焦点距離と合わせて、一本で85mm135mmといった中望遠域の単焦点レンズをカバー出来ます。

また、ズームレンズなので85mmでは少し足りないといった状況になってもズームすることで対応出来ますし、f1.8通しなのでどの画角で撮っても単焦点レンズに負けないf値で撮影出来ることがこのレンズ最大のポイントです。

Artレンズの圧倒的な描画性能

SIGMAには「Art」「Contemporary」「Sports」という3つのプロダクト・ラインがあります。
それぞれのラインには名前の通りの特徴があり、その中でも「Art」はレンズの光学性能を突き詰めて圧倒的な描写性能を出すことを目的に開発されています。
高校生の時に所属していた写真部の顧問に借りてその圧倒的な写りに驚愕したレンズもこのArtを冠した50mm f1.4でしたし、その写りに感動し自分が初めて購入した単焦点レンズも同じくSIGMAの35mm f1.4でした。

このレンズも名前にある通り「Art」を冠し、それに恥じない圧倒的な描写性能を持っています。

これで撮影してみると「レンズはどれも一緒」という感じが全くしません。
元に自分が持っている一般的な
タムロンの高倍率ズームレンズと比べると
(上がタムロン、下がSIGMAです)

タムロンの高倍率ズームで撮影したもの
SIGMA 50-100mmで撮影したもの

同じ画角、同じ絞りで撮っても50-100mmの方がはっきりと写り、色もよく見えます。
この比較ではそもそも値段的にも性能差があることが分かる比較ですが、それであってもこのレンズの描写性能の高さが分かるかと思います。

もちろんメリットだけではない

ここまでべた褒めですが、タイトルからも分かるようにその圧倒的な描写性能と引き換えにデメリットも多く存在します。

とにかく重い

第一に万能さとf1.8通しという素晴らしい性能と引き換えに非常に重いです。
その重量はなんと約1.5kg
大きさも最大径は93.5mm、長さは170.7mm、フィルター経は82mmもあるため、重量と相まって取り回しづらく、持ち運びにも苦労します。

今日が性能を突き詰めた上でのf1.8通しかつ、鏡筒が伸び縮みしないインナーズーム方式でもあるため、むしろその大きさに収まってくれて良かったといえるくらいかもしれません。

自分の場合はNIKONのD500と組み合わせるため、ボディとこのレンズを持っていくだけで2kg以上の荷物となり、撮影時にはかなりその重さが堪えた記憶があります。

ただ先述の通り、中望遠域の単焦点レンズ二本分(85mm、135mm)を一本でカバー出来るため、二本持ち歩くことを考えるとそれよりも荷物を小さく出来て若干軽量に出来るところはやはりメリットとして大きいです。

フォーカスブリージングが酷い

同じ焦点距離でもピントを合わせる位置によって実際の焦点距離が変わってしまう「フォーカスブリージング」という現象がこのレンズではかなり大きく発生します。

フォーカスを左は無限遠、右は1mに設定しています。

この様に場合によってはピントを合わせた時に周りにある避けたいものが写ってしまったりすることが玉に瑕と感じます。

最短撮影距離が少し物足りない

最短撮影距離が全域で0.95m、最大撮影倍率は約0.15倍と被写体に寄ったり被写体を大きく映すことはあまり得意ではありません。
これでポートレートを撮ってきた時は顔に寄って肩から上だけの画角で撮るといったことを良くしていたので、「もう少し寄りたいな」と感じることがちょこちょこありました。

とはいえここを改善してレンズが更に巨大化されても困るので、そこはトリミングなどでなんとか対応する方が結果的に良いのかもしれません。

実写編

「開放f値1.8通しのズームレンズ」という単焦点レンズの必要性を奪うかのような性能をもちながらも、その実現のために「APS-C専用」「重量1.5kg」「ズーム倍率2倍」といった細かい弱点や制約が存在する一癖あるレンズです。

ただ何度も上げている様にその描写性能は折り紙付きですし、中望遠域とカバー出来るためポートレートをよく撮る人にはとても魅力的なレンズです。

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