森林浴ってなに?①
はじめに
最近、日々の疲れを癒すためのアクティビティとして「森林浴」という言葉をよく耳にしますよね。私自身、「森林浴」についてよく耳にしますが、なんとなくふわふわしてるような印象で、「ただ森に入るだけで何が良いんだろう...?」と思ったこともあります。今回は、「森林浴」とは一体何者なのか?といったテーマで色々調べてみました。
森林浴について
「森林浴」という言葉は、1982年に林野庁の長官により提唱されたもの。具体的には、樹木に囲まれて過ごすことで精神的な癒しを求めようとする行為を指します。もともとは自然美を再評価し、積極的に森を増やしていくことを目的に生まれたリフレッシュ方法ですが、人間へのポジティブな影響が多く、効果を調べる研究がさかんに実施されています。
森林浴の核となる部分は、「フィトンチッド」と「マイナスイオン」。森にはこれらが満ちているため、森林浴では心身の健康、精神衛生の改善といった効果が得られると考えられています。
今回は、「フィトンチッド」についてお話していきたいと思います。「マイナスイオン」については ‘’森林浴ってなに②’’ にてお話ししようと思います。
フィトンチッドとは
植物から放たれている化学物質のことをフィトンチッドといいます。フィトンチッドという名前は、ロシア語で、フィトン=「植物」チッド=「他の生物を殺す能力を有する」という意味をもちます。植物は、動物のように自ら動き回ることができないため、害虫や病原菌から逃げることができません。フィトンチッドとは、自由に動き回ることのできない植物が害虫や病原菌などから身を守るために放出する化学物質といえます。主な作用としては、外敵から攻撃や刺激を受けたり、傷ついた時に病原菌に感染しないよう傷口を殺菌する・フィトンチッドを作りだし、発散することによって害虫を寄せ付けない、といったものがあります。
また、森林に足を踏み入れたとき、人が感じる特徴的な匂いはフィトンチッドによるものとされています。フィトンチッドは空気を中和する作用も持っています。森で枯れ木や落ち葉、生物の死骸などの悪臭が気にならないのは、フィトンチッドが消臭と脱臭を行うからです。この作用は「中和消臭」と呼ばれる作用で、フィトンチッドの成分が、悪臭成分に付着し無害化、まったく別の成分に変えるといった作用です。
フィトンチッドの人体への作用
・リフレッシュ・リラックス効果
森林浴をおこなうことで、人体にはリラックス効果があるといわれます。
このリラックス効果の元となる物質がフィトンチッドです。森林の樹木が放出しているフィトンチッドが、脳内のα波を増加させるそうです。脳内のα波の増加により、リフレッシュ・リラックス・瞑想・集中・没頭・カン・ひらめき、といった効果が得られます。
・除菌・抗菌作用
植物が自らの身を守るために排出しているのがフィトンチッドで、フィトンチッドには抗菌作用があるわけです。また、それぞれの植物が排出したフィトンチッドは、その植物にとって有害な菌だけを選別して作用するという自然の力を備えています。
フィトンチッドには、防カビ・防菌・オゾンやNOx 等の有害物質を低減させる、といった効果があります。シックハウス症候群の原因ともいわれる、ホルムアルデヒド等の室内汚染物質も中和してくれます。
・抗酸化作用
抗酸化能力とは「酸化を防ぐ力」です。「鉄が錆びる」「物が腐る」は酸化によるものです。人体の老化現象も細胞の酸化によって起こると言われており、美容業界でも抗酸化作用は注目されているそうです。
フィトンチッドには食品の腐敗を遅らせる働き(抗酸化作用)があり、昔から人は植物の葉などを食物の保存に利用してきました。 例として、ササ団子・カシワ餅・サクラ餅・ ササ寿司・マス寿司・カキの葉寿司などなど…。これは腐りやすい生物の鮮度を保つために、植物の持つ抗酸化力を活かした先人の知恵です。
つづく。
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