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我が家の…シリーズ6

『パソコンショップにゃご用心!』

 我が家の双子のB男とA男は、とにかく勉強嫌いの子どもだった。
いや、違う。
学校の勉強が嫌いだったのだ。

学校の勉強嫌いは小学校に入学した二週間後、B男が風疹にかかった事がきつかけだった。
B男がかかれば、次いでA男。
潜伏期間に二人はセミダブルのベットで寝ていたしお風呂も一緒に入っていた。
なので当然の流れだ。

GWを挟み今度はA男・B男の順で、おたふく風邪に二人はかかった。
二人がまともに学校に通い始めた頃には、五月半ばとなっていた。
学校の勉強に初めからついていけなかったのだ。

予防接種は、最小限しかしていなかった。
B男・A男、ごめんなさい。
母は詫びます。
今更、遅いだろうが。

仕事の忙しさを言い訳にしたズボラな母のせいで、お熱とポツポツとカイカイと頬が腫れる経験をさせてしまい、勉強嫌いの要因を作ってしたったのは私でした。

そう言えば、中二の職場体験で保育園に行ったB男は水疱瘡をもらってきた。
スクスクと成長したB男の股間に白い薬を塗ってやった事も、これらの延長線上に起こっのだ。

小学校三年の頃だったと思う。
その頃、彼らの敵はローマ字だった。
英会話を我が家の仕事柄、幼稚園から習っておりアルファベットは問題なかった。
だが日本語とアルファベットが、どうしても二人の頭の中で繋がらないのだ。

困った私は、パソコンの文字入力でローマ字をマスターさせようと考えた。
IBMのデスクトップ。
それまで手に触れる事さえ禁止されていたパソコンが使えるとなり二人はハイテンション。
解禁になった鮎釣りの如く、パソコンに集った。

簡単な操作しか教えていなかったが、習得は早くローマ字の問題はスラスラとクリアーした。

ほっとしたのも束の間。
奴らは、驚くほどのスピードで色々なサイトへ飛んだ。
そのうち、プリンターも使いこなし好きな画像をプリントアウトまでするように進化した。

学びとは、こう言ったものだと強く感じた。
こいつら阿保でない、興味があるものには誰に教えてもらった訳でもないのに、ちゃんと出来るじゃないかと。
勉強と言う言葉に騙されず学ぶ行為を大切にしてやろうと、私は誓った。

ところがある日、パソコンを開くと見たこともないアイコンがあった。
ん?
不審に思いダブルクリック。
うぐっ。

エロ画像だ。

また、仕事から家に戻り書類を作ろうとパソコンの前に行った日には
足元にコピー用紙が一枚落ちていた。
裏返して見ると

あられもない姿のイラストだった。
ふっ〜。

まず思った事は
何故、落とす。
何故、忘れる。
親に見られたくないなら、ちゃんと片付けろよと
私は言いたかった。


私は散々親に嘘を言って大きくなった人間だった。
なので二人が、いずれは私に嘘をついたり隠し事をするのだろうと、なんとなく思っていた。
自身の子どもを信用しないのか?
と、言ったものとは、また別の意味で。
子どもが嘘をつくのもしごく当たり前だと。


さてさて、パソコンと性についての話しだが。
性への目覚めは誰も止めようがないのは知っている。
無闇に禁止するのはどうだろうか?
だがまだ小学校三年生。
私は考えた。

夕食後、B男・A男を呼びつけ『母と子のパソコン会議』を行った。

ネットの中が全て本当だとは、思わない事。
あんなオッパイの大きい人ばかりではない事。
気持ちは分かるが、節度を持つ事。

そんな話をしたと思う。
話をしたところで二人の欲望に蓋をすることなど出来る筈のないことぐらい私とて分かっていた。

だが一応。
親だから。
特にA男。
そう、A男。

しばらくして事件は起こった。

A男だ。
やらかした。

パソコンが出来るようになりB男もA男も学校のパソコンクラブに入った。
クラブの時間に学校のホームページをもっと楽しくしょうと言う目的で色々な作業をしていたらしい。

だがA男は、一人集団から離れてガチャガチャと。

元々、人と群れる事が好きではないA男。
指導教諭も気にもしなかったらしい。


我が家の地域に東西南北が頭に付く小学校がある。
我が家は南小学校だ。
隣は、西小学校。

クラブの日から二日後。
学校から呼び出しが。
『A男君の事でちょっと…』
担任の口は重たげで、嫌な予感がした。

『A男君がですねぇ』
『パソコンクラブの時にですねぇ』
重い。
とにかく重い話し方だった。

ザックリ言えば、A男は何処からか取ってきたエロ画像を西小学校のホームページに貼り付けていたのだ。

せめて南小学校のホームページなら良かったのに。
いや、良くはない。

南小学校の教諭達の面目は丸潰れ状態となっていたらしい。
そうだろう。

素直な私の心の声だ。

パソコンクラブの教諭は西小学校まで行き謝罪したそうだ。
きっと校長先生から
『監督不行き届き者』の烙印を押されたことだろう。


担任に、しこたま怒られたA男は下を向いていた。
背中を見て私は、こいつは懲りていないと感じた。
A男は、こんなことぐらいでメゲる奴ではないのだ。

程なくして、それは現実のものとなった。

新しいパソコンを夫か欲しいと言い出し、市内のパソコンショップへ日曜日に我が家全員で出掛けた。

そのパソコンショップは、入り口が一階にあり入って直ぐに大きなお試し用のパソコンがあった。
隣では、プロバイダー契約のコーナーが設けられていた。

売り場は2階。
皆で2階へ上がった。
その時、確かにA男もついて来ていた。
夫があれこれ見ている間、私も新しいパソコンに触れてみたり夫が欲しがるパソコンの値段と性能について話したりしていた。

ふと、二人の事が気になり辺りを見回すとB男が中古パソコンコーナーに居た。
だがA男は、見当たらない。
B男にA男は?
と、尋ねたが知らないと返って来た。

おやおや、まさか迷子じゃなかろうなと思い店内を捜索。

下に続く階段まで行った時、A男を見つけた。

一階の入り口近くのお試しパソコンを真剣にカチャカチャといじっていた。
声を掛けようと階段を二、三段降りたところで気が付いた。

A男が触っていたパソコンの画面が横の長さが3メートルくらいのスクリーンに映し出されているではないか。

ざわついているプロバイダー契約のお兄さん・お姉さん。

あっちゃー。
ボケかましがぁ〜〜。
やってもうた。

A男は、家のパソコンでいつも見ているお気に入りのエロサイトを見ていたのだ。


明るい所では、目を伏せてしまいがちな映像が。


後ろから私はA男に小声で声を掛けた。
上を見上げてご覧なさい。
ビクッとなるA男。

こっそり見ていたつもりのエロサイト。
プロバイダー契約のお姉さんに見られていた事に気付きA男は慌ててパソコンをシャットダウン。
ついでにA男もシャットダウン。

これ以降、A男はパソコンショップでパソコンを触る時、辺りをキョロキョロと見回す事を決して忘れなかった。

経験は、良き指導者だ。


ああ、ご用心・ご用心。
パソコンショップにやあ ご・よ・う・じ・ん。





お読み頂き
ありがとうございます。


こんなA男も今では描き手となりエロ漫画を
発信する側となっております。
あの頃の経験は、生かされているのやら。^_^




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