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【エッセイ】目を閉じると、地球滅亡の瞬間に潰される

布団の中で一人考える。「死んだら私、何になるの?」と。

日本だと火葬されるから、肉体は燃えてなくなる。骨は墓に埋められる。それで、魂が天に昇っていくんだろうなとなんとなく思っている。では意識は?意識はいつまでもさまよい続けるの?"私"という意識はどこに行くの。

宗教によって死後の世界の概念は変わるだろう。だが誰も死んだことがないし、どの死後の世界が真実かなんて誰もわからない。

たとえば天国に行けたとしよう。意識は天国で生き続けるの?新しい肉体を与えられ、天使になるの?

もしそうなら、これまで亡くなった人全員の意識が天国に集まっているのか?卑弥呼も、聖徳太子も、織田信長も、坂本龍馬も、ザビエルも、マリーアントワネットも、マイケルジャクソンも、みんな天国にいるというのか?

それとも天国も国ごとに分かれていたりして、日本の天国とか、アメリカの天国、とかあるのか?そうだったとしてもこれまで亡くなった意識がそこに密集しているの?人口密度が高すぎて、なんだか窮屈そうだ。天国で戦争が起きるかもしれない……。

たとえば輪廻転生が存在するとしよう。死んだら生まれ変わり、新しい命となる。魂のリサイクルみたいだなとたまに思う。

じゃあ生まれ変わるとき、今生きた記憶はすべて失われ、私という意識すら消滅し、新しい私に生まれ変わるのか?今この瞬間を生きている私は、もう消えてしまうのか。

怖くて怖くてたまらなくなる。死んだらリセットボタンを押されて、これまで記録していたセーブデータが全部消滅するみたいだ。ぷつん、テレビが消えるように?

あともうひとつ。

もし、死後の世界なんて存在しなくて、輪廻転生もなくて。死んだら全部「終わり」だったら?意識もそこでぷっつり消えてしまったら。消えるという言い方だとなんだか生ぬるいな。なんというか、とにかく「無」になる。ゼロ。

今私はこうして、パソコンに向かい合ってキーボードをたたいている。後ろではゴロゴロとテレビを見ている娘。向こうの部屋でトランペットを吹いている夫。

こんないろんな思い出や日常も一瞬で消えて、何もかもゼロになってしまったら。「すべてが無になるって恐ろしい」そう考えて、まったく眠れなくなる。どんどん死が怖くなっていく。消えた意識はどこに行くの?想像ができない。

地球が滅亡したら?自分という存在も意識も何もなくなって、ゼロになったら。そもそも「人間」という存在自体が幻みたいになくなっちゃったら。私ってどうなるの?意識がなくなる瞬間、どうなるの。「死んだんだ」という思いすらなく、気づけば無になっている。大事な人とお別れもできず。気づけば無になっている。いや、無になってるんだから気づくもなにもない。

ああこわい。こんなことをずっと考えて、そのうちお坊さんが質問に答えてくれるサイトにたどり着き、結局仏教の教えを聞いて心を落ち着かせるのだ。こういうときばかり、仏様を頼りにしてしまう。頼りにされる仏様も「こういうときだけだよな~」と思っているかもしれない。

お坊さんが言っていた。「今を生きましょう」と。それはわかっているんだけど。

一週間後くらいして、また私は地球滅亡するかもしれないという恐怖に震え、眠れない夜を過ごすのだ。

#眠れない夜に

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