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Twitter投稿ショートノベルまとめ③ (2020/10~2021/4)

Twitterで投稿した作品のうち、いくつかピックアップしたものをまとめます。

①今はまだ恋人でいさせてね

ポケットに手を突っ込むとぎゅっと握ってくれる。そっと体を寄せたら肩を抱いてくれる。いつもはそっけないのに、人肌恋しい季節になるとあなたは途端に甘えん坊。

私たちは来年離れ離れになる。東京に行くあなたを、私は見守ることしかできない。

この最後の温もりを今は噛み締めておくね。

②そういう男がいたんですよ(実話)

元彼から「飲みに行こうよ」って誘いが来たのがちょうど一年前。

「結婚したし、男性と2人きりはちょっと無理」って返信してるのにしつこく連絡がくる。そのうちシカトするようになったが、また連絡が来た。

「結婚した!子供産まれた!飲みに行こうよ!」

そういえば別れた理由、あんたの浮気だったね。

③王子様はキスができない

彼女はもう千年寝ているらしい。

ようやくここに辿り着いたが、すまない、私はあなたを起こせない。できそこないの王子で申し訳ない。

さっきそこで魔女が教えてくれたのだ。この星はあと10分で滅びると。あなたが目を覚めても、この星はすぐに滅びる。ならば眠っていた方が幸せだろう…

④姫様はつまらない

私はもう千年も寝ている眠り姫だ、というのは見かけの姿で。本当はとうの昔に目覚めた。

最初に目覚めさせた男は、慌てふためいて塔から落ちたのだ。私はそんな度胸のない男はキライだ。

それからというもの、ここにくる男にこう言って遊んでる。「あと10分でこの星は滅びる」ってね。

⑤家系なんで

私にサンタは来ない。

正確に言えばそこにサンタはいたのだが、私にとっては父親だった。「俺会社員になる」そう言って家出したこともあったっけ。

コートを着込んでそりにのるとトナカイが言った。

「だんだんオヤジさんみたいな貫禄出てきましたね」

そりゃ光栄だ。さあ今年も行こうか。

⑥消えないで

ぬるい缶ビールに思い出したように口をつける。

君が部屋を出て行ってからもうそんなに時間が経ったのか。開けたばかりのビールもそりゃあ、ぬるくなるよね。

乱暴に消されたタバコの吸い殻にもう一度火を灯す。あなたの残り香をせめて、あと1分だけでもいいから感じさせて。

⑦かわいそうに、私が慰めてあげるね

電話が鳴った、彼の友人が殺されたのだ。目を見開いて固まる彼を、私は心配そうに見つめた。

「どうしたの?」

「あいつ、自殺したって」

動揺してタバコに火もつけられない彼。かわいそう、私だけを見ていてくれたらこんなことにならなかったのにね。

「大丈夫、私がついてるよ」

ずっとね。

⑧そういう男がいたんですよPart2(実話)

10年ほど前に付き合ってた彼の誕生日にケーキを作った。まずいと言って笑う彼に腹が立った私は次の日に別れを切り出した。

それから5年後、「あれは照れ隠しだったんだ」と言われた。

もう遅いよ、さようなら。それ以来私はケーキを作らない。

⑨道を踏み外す手順

最初は君の方から抱き寄せてくれたのにね。君が冷たいとき、私は夢の中で浮気する。

結婚してからそっけなくなったあなた。わがまま言いたくないから私はまた脳内で不倫をする。

自分の欲望にばかり付き合わせて、私の話を聞かない人。期待するのも疲れるから、私は外で彼氏を作る。

⑩ギリギリアウト

おはようございます。さっきまで、今日は遅刻してしまう夢を見ていました。でも夢だったので安心です。あーよかった。ところで、

ここでパチっと目が覚める。あれ、今のも夢か。どんな夢だったっけなー…時計は、ああまだ5時?もうしばらく寝れるな。

ここでパチっと目が覚める。

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