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Twitter投稿ショートノベルまとめ② (2020/9~2020/10)

Twitterで投稿した作品のうち、いくつかピックアップしたものをまとめます。

①一方通行同士

「かわいいでしょ」

猫の写真を見せながら輝く笑顔で私に問いかけてくる彼女。当たり障りのない返事でその話に答えてやると、彼女は猫の話をペラペラと話し始めた。今度触りにおいでよ、って誘われる。

そうだね、生まれ変わったらね。私が猫アレルギーなの、昨日話さなかったっけ。

②屋根の下でサンドウィッチを

雨の匂いがすると、彼女は少し嬉しそうな顔をする。晴れの日とは違ったデートができるから、ワクワクするのだそう。

お気に入りの長靴を履いて、わざわざ相合傘をして、近所を散歩する。ただそれだけ。

でも今日の雨は喜べないらしい。ランチボックスが切なそうに置かれていた。

③無意識の攻防

目が覚めると彼女がぬくぬくと私の毛布に包まっていた。

ひんやりした私の足を毛布に潜り込ませると寝ぼけながら文句を言う。毛布を返そうともしない。仕方ないから同じ毛布に入って目を瞑った。

10分後に目覚めるとまた彼女に毛布をとられていた。また同じことを繰り返す。朝5時の話である。

④困らせたい彼女

好きな人からもらったの。

嬉しそうにはにかんで手紙を大事そうにしまう彼女。なんて返事を書くんだろう?きっとこの先の人生でその答えを知ることはない。

「ねえ」

意地悪そうな顔でこっちを見る。

「私知ってるよ、君が今嫉妬でおかしくなりそうなの」

そう言って彼女は私の手を握る。

⑤秋の体温

水曜日は君に会えると決まっている。

カラカラとドアを開けて、小走りでかけてくる君。君は声を出せなくて、私は目が見えない。その時わかるのはお互いのぬくもりだけだけれど、それがすごく幸せ。

「金木犀の香りだ」

フワッと香る秋の香り。私は君のおかげで季節の移り変わりを知る。

⑥小さな犯人

「洗濯バサミがどんどんなくなる」

妻が不思議そうに呟いていた。風で飛んで行ったのかなと、ベランダから階下を覗き込む。ご近所さんにご迷惑、かけてないかしら。
俺は知っている。その洗濯バサミがどこにあるのかを。

「パパ見てぇ、かにさん」

「あら、小さな犯人みっけ!」

⑦「あれはお酒の勢いとか、関係なくて」

缶ビールを飲み干して冷蔵庫を開けて、手首をギュッと掴まれる。

「もう、この辺にしとこう」

嫌だ嫌だ。まだ飲み足りない。もう嫌なの、もう飲まないとやってられない。

「俺がいるから、俺は絶対離さないから」

ずるいよ。そういうの今言わないでよ。失恋したのに、今恋が始まった。

⑧確信犯

「鳴ってるよ!」

彼女がアラームを止めにくる。

「何度スヌーズさせるの?いい加減起きてよ」

ふくれながらリビングに戻っていく。本当はもうとうの昔に起きてる。痺れを切らして彼女が優しく起こしてくれるのを待ってるんだ。だからあと3回くらいスヌーズ鳴らさないと。

⑨深夜のごちそう

冷蔵庫を開けた音で彼は部屋にやってきた。まるで私が美味しいものを作るのを期待してるみたいに。

「俺も食べたい」

大したものじゃないのに。5分後に出てきたのは卵を落としたインスタントラーメン。

「最高だな」

そうだね、あなたと食べるなら全てご馳走になる。

⑩いつまでも無邪気でいさせて

「水溜りの奥には別の世界があるから、足を踏み入れないように気をつけて」

もうそんな母親との約束を守る必要のない年齢だ。そうよ、こんな日くらい、水溜りにどぷんと飛び込んでもいいわよね。

スニーカーがじわじわと水に濡れる。月が揺れる。

ここだけ雨が降っている。

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