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リーダーシップ往復書簡 085

「きれいごと」という言葉があります。辞書を引くと、実情にそぐわない、体裁ばかりを整えた事柄とあります。

分別のつく年齢のフォロワーであれば、私たちの夢を実現するためには、例えば組織運営に多額のお金がかかったり、ステークホルダーのしがらみに悩まされたりなど極めて現実的な問題が山積していることを理解していると思います。

しかし、私は、これらの現実的な問題解決以上に、リーダーは「きれいごと」を掲げ続けることが重要だと考えています。

本連載では、幾度となく「人は性善なれど弱し」という考え方を紹介してまいりましたが、リーダーとフォロワーからなるその集団において、本来はリーダーが一番強くあるべきなのです。

その一番強いリーダーが「きれいごと」を言わなくなってしまったら、誰も正しいことを言う人がいなくなってしまいます。一般的に、リーダーのように強くないフォロワーが「きれいごと」をずっと維持していくことは難しく、「現実的」や「実際に」という言葉を人質に、妥協を繰り返すことになってしまいます。

想像してもらいたいのですが、もしあなたがフォロワーならば、現実的な話ばかりしているリーダーについていきたいと思いますか。

リーダーが現実的な問題解決の話ばかりをし始めたら、それは短期的に組織運営に必要なことであったとしても、中長期的にはリーダーの影響力の低下をもたらす危機的な状況だと思います。

フォロワーによっては、リーダーが「きれいごと」を言うことに非難する人もいるかもしれません。しかし、リーダーは、例え苦しい時期であっても、焼け火ばしを持って、「きれいごと」を言い続けなければならないのです。フォロワーの目線を上げて成長を促す。それがリーダーに課せられた役割なのです。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

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【Q.85】
リーダーは、怠惰な人間、ズルい人間や器の小さい人間などとは、どのように付き合えばいいのでしょうか?


<コメント>

リーダーシップの原則に立ち返れば、リーダーは、どのような人であれ、全ての人を使いこなせなければなりません。

以前、私のメンターの言葉として「神を目指せ」という言葉を紹介しましたが、ほとんどのリーダーは現時点では「神様レベル」の人間力を持ち合わせおりませんので、これらの問題児たちとどう付き合うかが論点になります。

一つの答えは「人は善なれど弱し」という人間の特性をよく理解することだと思います。人間は誰しも善いことを行いたいと考えています。しかし、弱いから善いことができない。弱いから怠惰にサボってしまい。弱いからズルいことをしてしまい。弱いから鷹揚に構えることもできないのです。

リーダーは、この人間の弱さを理解したうえで、フォロワーを導いていくことが必要だと考えます。怠惰な人には、当初は手厚く声がけを意識的に増やす。ズルい人には、報告を小まめにさせることでズルをできないようにする。器の小さい人には、今後の展開をなるべく見通せるように情報共有してあげて、精神的にいっぱいいっぱいにならないようにして配慮してあげるなどです。

これらの人々と向き合って、しっかりと成長させるということも、リーダーの醍醐味の一つだと思います。

もう一つの答えは、消極的な考え方ではありますが、現実的な解決策の一つとして、これらの人々とは極力絡まないようにするという考えもあるかもしれません。

もちろんその場合は、人間は誰しも悪い部分や弱い部分がありますので、こういった「普通の人々」を遠ざけてしまうと、フォロワーも限られた人だけになってしまいますし、大きなことが成し遂げられなくなってしまう可能性があることにも留意する必要があると思います。



※この記事は、2021年5月4日付Facebook投稿を転載したものです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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