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リーダーシップ往復書簡 060

長らく、リーダーが身に着けなければならないスキルである利害関係の調整について記載をしてまいりましたが、このテーマについては今回で最後にしたいと思います。

リーダーは、物事を進めるために利害関係の調整をするだけでなく、利害関係の調整を通じて影響力の獲得を行います。

そのため、利害関係の調整が不調に終わるということは、リーダーに相談しても問題解決できないということをフォロワーに露呈させるだけのため、一度相談を受けるからには、必ず当事者が満足するような利害関係の調整をしなければなりません。

本連載において、利害関係の調整と裁判をたびたび比較してまいりましたが、利害関係の調整では当事者の納得度が優先されるため、必ずしも厳密な証拠が求められるわけではないのです。

裁判は過去の行動について法律に基づいて裁くものですが、利害関係の調整は未来志向で、各当事者のことはもちろんですが、組織の理屈や世間への体裁など全体のバランスも考えながら利害関係を調整することなのです。

そのため、前提となる情報分析が非常に大事になってきます。リーダーの影響力の強さによって、当事者や当事者周辺の情報にアクセスできるかどうかが変わります。また、情報を取得した後に、正しく情報分析できるかどうかは、リーダーのインテリジェンス能力にかかっています。

正しい情報分析さえできれば、あとはリーダーが持つ道徳心や倫理観にしたがって、利害関係の調整を行えばよいのです。

リーダーにおいて、利害関係の調整がいかに重要かについて記載をしてまいりましたが、実践を繰り返すことでどんどん上手になっていくと思います。

特に情報は影響力の強い人に対して流れてきます。そのためリーダーが利害関係の調整を繰り返した結果、影響力が強くなっていけばいくほど、より簡単に情報にアクセスできるようになり、より当事者の納得度の高い、正しくミスのない利害関係の調整ができるようになると思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

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【Q.60】
リーダーシップとマネジメントのバランスについて教えてください。


<コメント>

回答が非常に難しいご質問です。

理想論で言えば、やはりリーダーは、人を導くリーダーシップのみでフォロワーに接するべきだと思います。

リーダーの掲げた夢やビジョンに共感して、自発的にフォロワーが一生懸命に活動してくれる。

最近はティール組織や、このティール組織の発想の元となっているインテグラル理論などが流行りですので、多くの人がリーダーとフォロワーの理想的な関係を追い求めていると思います。

現実的には、会社の場合は、業種や成長ステージによって、リーダーシップとマネジメントの最適なバランスは変わってくると思います。

特に、人を管理するマネジメントとITの親和性は高く、今の時代では、この論点を無視しては、競合他社と比べて、生産性が著しく落ちてしまいます。

但し、本来あるべき姿としては、このIT含むマネジメントは、やはりリーダーシップを助けるためのものだということを正しく理解しなければなりません。

本来の位置づけを正しく理解したうえで、リーダーシップとマネジメントのバランスに留意する必要があります。この2つは組織運営を行う上では非常に大事な概念ですし、両立すべき概念です。

決して片手落ちにならないように、その時その時で、リーダーが最適な答えを判断していくしかありません。



※この記事は、2020年11月21日付Facebook投稿を転載したものです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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