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リーダーシップ往復書簡 092

一切のビジネスモデルやテクノロジーを考慮せずに、経営者の人間性だけを見た場合、経営者で成功する人は、大きく2つに分けられるように思います。

一つは、夢を掲げて人を信じて、リーダーシップを発揮して影響力を拡大し、フォロワーを拡大していく経営者です。こういったタイプの経営者は、お客様のために、スタッフみんなで一致団結して努力して、より良い商品やサービスを生み出していくような前向きなエネルギーにあふれています。これは読者の皆さんにとっても想像しやすい理想的な経営者像だと思います。

これに対して、もう一つは、猜疑心が強く人を信じず、身近な人たちから搾取していく経営者です。こういったタイプの経営者は、スタッフはあまりスキルがいらない仕事をしている代わりに大量に人員採用できるビジネスを手掛けていることが多く、そのスタッフたちから、相場より給与水準を引き下げたりサービス残業をさせたりするなどで金銭を搾取していきます。そこで収奪した金銭を不動産や株式などに投資していって、さらに富を得ていくのです。

本連載では前者のようなリーダーになるためにリーダーシップ・スキルの獲得を目指して記載をしてきましたが、後者のモンスターのような大企業のオーナー社長も沢山いる事実を認識する必要があります。

例えば、私が知っているモンスターは、自分以外の他人のことを一切信用しておらず、自分の息子や愛人にまで興信所をつけているような人でした。他人を信じていない人なので、信じられるのは唯一お金だけです。上場会社を複数社支配しており、不動産も都内に多く所有して資産背景はあるものの、その方の行動を知っている人からすれば、社会的・金銭的な成功が必ずしも一般的な幸せとはリンクしていないことに気が付かされます。

このように、世間からは成功者と見られていますが、内実、人間不信の塊のような経営者は実は沢山いるのです。

つまり、残念ながら、リーダーシップ・スキルを極めていることが、すなわち経営者としての成功になるわけではないのです。ここに難しさと面白さがあります。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

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【Q.92】
「役が人を育てる」という考え方がありますが、どう思われますか?


<コメント>

そういうこともあると思いますが、必ずしも地位に就くことが人の成長には繋がっていないと思います。

これについては度々記載をしてきておりますとおり、リーダーシップの考え方では、社会や組織における地位や立場は一切関係ありません。例えば、新人スタッフであっても、リーダーシップを発揮して、社長や会社を動かすこともできるのです。

しかし、日本社会においては、まだまだリーダーシップは正しく理解されておらず、地位が高い人・地位がある人のみにリーダーシップが求められると考えている人が多くいると思います。

そのため、役職に就いた途端、周囲の人から自然とリーダーシップの発揮が求められるようになり、その結果として、その人がリーダーシップを身に着けるということもあり得るとは思います。

私は、その人がリーダーになるか否かは、やはりその人の心の持ちようだと思います。

そのため、役職がなければ人が育たないかというとそのようなことはなくて、他のリーダーがその人がリーダーシップを発揮できるように導くことも可能だと考えています。



※この記事は、2021年5月16日付Facebook投稿を転載したものです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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