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リーダーシップ往復書簡 072

前回にも記載しましたが、リーダーシップには地位や立場は関係ありません。

そのため、組織においては地位のある上司がいたとしても、その人が必ずしもリーダーシップを発揮できているとは限らないですし、部下が実質的にはリーダーということもあります。

以前から「リーダーはリーダーを育てる」という考え方を紹介してまいりましたが、真のリーダーである部下が、上司をリーダーに育てるということも実際に起こり得ることなのです。

多くのサラリーマンは、「人を管理する」というマネジメントの視点に慣れ過ぎているように思います。

リーダーとしての本当の信頼を誰が持っているかは、緊急時や有事になれば明らかになります。

平時であれば、多くの人は波風を立てないように、組織のルールを遵守して、上司を立てて行動をします。しかし、有事となれば、全員が生き残るのに必死になります。その時は、多くの人は名目的なリーダーである組織の上司を排除し、生き残るために本当に必要であると考える真のリーダーの指示に従うものです。

私はマネジメント・スキルとリーダーシップ・スキルを大別して説明することが多いのですが、このことは、人間のより根源的なスキルが、マネジメントではなくリーダーシップであることを証明しているように思います。

リーダーシップについて疑問がある、質問をしたいという方がいらっしゃいましたら、コメントや個別にメッセンジャーでご連絡ください。

また、コメントも大歓迎です。もし興味ある人がいれば、これを酒の肴に一杯やりましょう!

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【Q.72】
マネジメント・スキルだけでも企業価値向上ができると思いますが、リーダーシップ・スキルが重要である理由を教えてください。


<コメント>

ご質問のとおりで、私もMBAで教えるようなマーケティング、アカウンティングやファイナンスなどマネジメント・スキルだけでも企業価値向上ができると思います。

具体的には、取引先の見直し等によるコスト削減、デジタルマーケティングによる精緻なセグメンテーションによる広告宣伝費の見直し、オペレーションの改善、システム導入、余剰人員の整理や配置転換など、より効率的、合理的な経営管理によって、企業価値向上を図ることができます。

しかし、多くの場合は、マネジメント・スキルだけでできる企業価値向上は短期的なものなのです。

中長期的な企業価値向上を成し遂げるためには、やはりリーダーシップ・スキルが不可欠だと思います。この理由ですが、私はよく損益計算書を用いて説明をします。

前述の具体例からも明らかなとおり、マネジメント・スキルによってもたらされる企業価値向上は、損益計算書における原価及び販管費などに属する部分の話ばかりなのです。

損益計算書の最上部に来るのは売上です。この売上だけは、お客様に喜んでもらわなければ増えませんし、お客様は十人十色ですから、売上を増やすためには会社は試行錯誤が必要になります。

お客様とは、「人を管理する」というマネジメント・スキルでは影響力を行使できない存在なのです。

短期的に企業価値向上をするには、マネジメント・スキルをフル活用して、売上はどうにか維持して、ありとあらゆる原価及び販管費を合理化して、営業利益(EBITDAや営業CF)などを増やすことが安全策だと思います。

しかし、社会における企業活動の最重要な指標は売上なのです。一義的には、お客様がその会社の商品やサービスを買い求めてくれるから、その会社は社会において存在価値があるのです。

そして、この売上を中長期的に増やしていくには、「人を導く」というリーダーシップ・スキルを発揮して、お客様に影響力を行使していくしかありません。

世のため人のためにリーダーシップを発揮して、より良い商品やサービスを提供して、主体的に動いていくことが、売上を増やしていくということなのです。そのため、中長期的な企業価値向上にはリーダーシップ・スキルが重要なのです。



※この記事は、2021年2月13日付Facebook投稿を転載したものです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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