呪文

 小さい頃、呪文のようなものを覚えるのが好きだった。変身の呪文とか必殺技の呪文とか。

寿限無を覚えたのは小学校高学年の時で、お菓子の袋に印刷されてたのを見て覚えた。

中学生の頃、初めて古文とか漢文に接した頃は結構ワクワクして、平家物語の序章や枕草子の春はあけぼのあたりは丸暗記したけど、文法や漢字・単語を覚えなければならなくなった頃から急速に苦痛になって覚えられなくなった。

私にとっての役者の楽しみの一つはセリフを言えることで、これは呪文を覚えて唱える喜びに通じている様に思う。

セリフと呪文、どちらも覚えたての時は、自分にとっては異物で、それを言い慣れやり慣れてくると気持ちよくなり、でも、それが薄れた頃すっかり定着している。その、自分に定着させていく過程の快感。(まあ、役者の仕事は本当はセリフが定着してからなのだけど。)

言葉で格闘する機会、最近とんと無いなあ。

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