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【全文公開】小説の感想・講評サービスを依頼した話

趣味で小説を書いています、水底と申します。

この世、あまりに小説の感想・講評サービスの体験談が少なく、サービスの評価が高くても依頼するのに勇気がいる……。どうにかこうにかなってほしいけど、誰か体験談書いてくれないかな~と待ってるだけでは時間の無駄。
そんなわけで、個人的備忘録も兼ねて、こういったサービスを依頼しようか悩んでいる人向けに書きました。

当記事は、感想・講評を書いていただいたまさお様に許可を頂いたうえで作成しております。ご快諾いただきありがとうございました!

文章を読み書きするのが苦でない人間が書いた文章ですので、長いです! 読みたいところだけ目次で飛んでください!



利用したサービス

今回は以下のサービスを利用させていただきました。
今回依頼した作品の文字数は10万字をオーバーしてましたが、追加料金を払えば依頼可能でした。


依頼した感想、おすすめしたい人

依頼して良かったです!! 頑張ろうという気持ちになります!!
良い点、伸ばせそうな点、不足している点など、しっかり読まれたうえで感想・講評を書いていただきました。小説本文だけで11万字近くあったのにありがとうございました。

自分の作品に対し、編集者という立場から、直したら良くなりそうな点・改善案をいっぱい出してもらえるので、作品作りの袋小路にいる人におすすめです! 具体的な改善案をもらえる機会はそうそうないので、良い経験になりました。自分では全く意識していなかったことや、見ないふりをしていた点も指摘してもらえたので、今後の思考材料としたいです。

ただ、感想が欲しいだけで改善する気がない人や、案を出されてガチ凹みして復活できそうもない人は、優しい感想をくれるサービスにした方が良いと思います。

筆者の簡単な経歴

子どもの頃から小説を読むのが好きで、角川文庫・早川文庫あたりをよく買います、好きな作家は冲方丁。
数年前に読んだ二次創作が素敵過ぎたので急に二次創作を書き始め、その後一次創作も書き始めました。公募には2回応募したことがあり、うち1回は応募全員へ評価シートをくれるラノベ系の賞へ応募しました。感想も嬉しいけど、講評ってすごい嬉しいと気づいたのがこの時。
今は二次創作はあまり書けず、一次創作をまた書こうかな考えているところです。

依頼背景

超面白いものが書きたくなってきたからです。

また講評が欲しいしラノベ系の賞に応募しよう、と考えて小説を書いていたのですが、書き上げてみて「まとまりは良い気がするけど、もっと面白くできるのでは?」と思ったのです。
一度そう思ってしまうと、どんどん欲が出てきました。何かが足りないと気づけたならどうにかできる気がする、もっと面白い作品に、自他ともに認める超読みやすくて超面白いもの、今の実力でたどり着ける最高到達点へ、文章だけの力で辿り着きたい……!
我ながら欲が小物過ぎるのですが、たかが趣味、されど趣味、始めたらなんだって上達したくなるのが人の性、というか下手で楽しいことなどない。(個人の考えです)

また、欲が出ただけでなく、書いている間に色々と疑問を抱いていました。
そもそも自分が書いているのってラノベ? せいぜいライト文芸? 全然畑違いの賞に応募してももらえる評価は芳しくないのでは? じゃあ私の作品はどういったレーベル向け? そもそも講評が欲しいだけなら賞に応募しなくてもいいのでは? 等々……。

こんな状態でどうしようか……と行動しあぐねていたのですが、欲も悩みも尽きせぬならば、お金で解決しよう、そうだ私は社会人!と、ある日思い立ったので、今回講評サービスを購入しました。


サービスの選定基準、購入後の流れ

調べてみたら色々とサービスがあって悩んだのですが、編集者による感想・講評という点を重視して選びました。小説家による講評サービスもありましたが、編集者の方が個人の好みや良し悪しに関わらず作品を読んだ経験が多そうと考えたためです。(実際のところは知りません)

そんなこんなで勇気を出してココナラでサービスを購入。
ワードファイルに連絡事項とあらすじ、小説本文を全部まとめて記載して先方へお送りしました。あらすじの書き方が全然わからないため、そのあたりもアドバイスを依頼。
先方から原稿受領のご連絡をいただき、そこからはお返事待ちです。

ちなみに、お返事が来るまでとかく辛かった!! 大事な試験の結果待ちとは別種の辛さ、だって点数がつくわけでもなく基準が曖昧だから。文章が下手過ぎて物語として読み取れないんじゃないか、趣味が悪いですねとか言われるのではとか、そもそもどんな感想が来るんだろうとか、不安で不安で被害妄想が膨らみ……。マジで辛すぎて、もう二度と講評サービス頼まねえ!! と身勝手なことを日々思っていました。全然手のひらくるくるしましたが。


依頼した作品

講評をお願いした作品は、色々と悩んでいた時に正常な判断力を失っていたのでWeb上で公開しています。気が向かれたらどうぞお読みください。
この後の感想と照らし合わせるとよりわかりやすくなり、筆者の悲鳴に寄り添ってもらえると思います。
依頼した作品・感想講評を全公開しているの他であまり見たことないのですが(てか全然ネット上に具体的レポがない何故?)、さして理由もなく体を張っています。

依頼作品:「天使と黒曜石の魔術師」
あらすじ:神々と戦うために生まれた天使のルチアと、黒曜石の魔術師と呼ばれるノイアが、一緒に旅に出るまでの話。
太陽神の眷属である天使ルチアは、王都を出て人々のために戦うことを願っていたが、不本意ながら護衛候補の魔術師たちと追いかけっこの勝負をする日々を送っていた。ルチアは候補者を全て打ち負かしてきたが、新しくやってきた護衛候補のノイアは、勝負には乗らずにまずルチアと仲良くなろうとしてきて――

感想・講評の具体的内容

2週間もたたずに感想・講評をワードで送っていただき、どきどきしながら読みました。改善案が多いので、やっぱりちょっと凹み、でもまた頑張ろうと思えました!

具体的内容を知りたい人も多いと思いますので、頂いた文章のアドバイス部分をそっくり全て引用しつつ、感想の感想を書いていきます!

  • 良い点

・バトルシーン
 →第三章で初めて魔性と戦うシーン、そしてミラーレとの戦闘シーンは、描写も格好良く、魅入られました。動きを描くのが得意でいらっしゃるのかなと感じております。ここを大切に、伸ばしていって頂ければなと思います!
・キャラクター 
→ノイアの憎たらしくも格好いいキャラは素敵でした! 執着をテーマとしたフローライトも良いキャラだと思いますし、それを継ぐ形のミラーレも、良い背景を設定されているなと感じました。
・設定
 →ここを詰めなければ、と申し上げておりますが、詰め切れれば大きな武器にもなる、と感じております。神、天使、魔術師など、そういった要素がお好きなのが伝わりますし、その漏れ出るものは好きな人を呼び込めます。やろうとしていること、設定しようとしているものは、面白くなりそうな良い発想がある、と思っております!

書いてもらって恥ずかしい、でも嬉しい!
動きのあるシーンが得意、そうなんだ……! 確かに動きのあるシーンの方が書いてて楽しい、しかも何もないシーンは書けない・書きたくないから脳内で全カットしている。

  • 改善点

・設定
 →良い点でもある設定ですが、同時に、深いところまで掘り切れていないのでは、とも感じました。水底 眠様の中でもしかしたら決まっていることもあるのかもしれませんが、それの読者への提示の仕方が上手でない、と感じております。描こうとするものは良いので、それをより深掘りし、読者にうまく見せることができると、更に魅力的になるのでは、と思っております。
  ひとまず以下に疑問を羅列しますので、それに対する回答を考えてみて頂けますと幸いです。
 →・天使は何故人間として生まれてくるのでしょう?(生まれ変わりがある?) 普通の両親から生まれ落ちるのですよね? そしてその力は人と比べてどれほど強く、それはいつから、どれくらい強いのでしょう? また、何故その天使を大司教は都内に留めようとしたのでしょうか?
  ・そもそも、この世界はどうやって出来ましたか? 太陽神が人間を生んだのでしょうか? 神は元は人間のようですが、どうやって神になるのでしょう? 太陽神が世界を平和に保つために天使を使わせたのでしょうか?(魔性に堕ちた神を殺すのではなく、救う、聖剣で切ることで天国に送る、というような設定の方がいいように感じております) この世界は何年続いていて、天使はどれだけいる(いた)のでしょうか?
  ・この世界はどれくらいの大きさで、どれくらいの人口がいて、都市は何個あるのでしょう? 国はひとつで、王はひとり、ですよね? その王は、どんな力を持っているのでしょうか? 特殊な力を持っていないと、ノイアのような力のある魔術師が言うことを聞く必要もないように思います。
  ・魔術師は、人口に対して何パーセントいますか? また、ノイアのせいで力のある魔術師の地位が落ちた、というような表記がありましたが、魔術が魔術師の想像力に拠るのなら、ノイアの魔術式は基礎は上げるでしょうがそこまでで、力のある人の地位が落ちることは無いように思います。
  →こういったことを詰めて頂くことで、ルチアの囚われた切なさがリアリティをもって読者に伝わり、そこから救い出してくれる人、バディの尊さというテーマがしっかり浮かび上がるように思っております。
  
・起承転結
 →折角の上手なバトルが中盤まで出てこず、勿体なかったです。また、設定の説明も最初にしておくべきと考えます。
 →例えばですが、
起:ノイアの前の護衛候補と追いかけっこから始める→そこで何が起こっているのかの説明をしながら、追いかけっこのアクションシーンで魅せる
承:ノイア登場。掛け合い。
転:王都内に魔性登場。ノイアと共に退治。ルチアが出られないことなどを吐露する。
結:首輪も外してもらい、ノイアと追いかけっこ。ルチア解放。
転:フローライト発狂。ミラーレ解放。
結:都にミラーレ攻めてくる。ノイアと共闘し、撃退。
大雑把ですが、上のようになると、アクションで読者を引き込みながら、物語をうまく進められるのでは、と考えております。
(ついでですが、私は面白い物語の構造は「起承転結転結」だと考えております!)

作品をより面白くするための講評サービスなので、改善提案が多めです。すごい沢山書いていただいています、ありがとうございます!

設定は決めてはいるのですが、かなり控えめに書いたので、そうですよね……と思いました。宗教美術をいくらでも登場させられるので、そのあたりを活用すべきだったかも。
神話があるのに創世や人間の始まりには触れないのは理由があるけど今は関係ないし……天使が人間から生まれてきているのも理由があるけど今は関係ないし……と物語の進行と直接関係ないところは全部切っていました。
読み手としての自分は、あんまりにも情景描写が続いたり(見慣れた景色を何故細々喋る?)、世界の説明が長々続いたり(これって小説じゃなくて設定資料集か何か?)、というのが苦手というのもあり……。あと、設定の説明が少ないあいまいな世界も楽しめてしまうし、単純にそういう世界なんだ~とすんなり受け入れてしまう質なのも原因かもと思いました。

魔術について指摘を受けるのは意外でしたが、たしかにちょっと甘かったですね。伝統の破壊、特権の一般化、神の弱体化の遠因というのを強調しつつ、設定を詰め直して見せ方も考えたいところ。あと人数規模も考えたい。全体的に落差が足りてないんでしょう。

起承転結! 最初の盛り上がりが足りてない!! そうですよね~!!!
主人公ルチアの最初の立ち位置が平和な場所にいる鬱屈した暴力装置というのもあり、ノイアは正攻法を無視する質で勝負にすぐ乗るのは悪手と考えるし、どうしようもねえかと目をそらしていた。展開は改めて考えます。やっぱり最初から何かぶっとばすか……。
最初に設定を出すアドバイスについては、最初に設定をつらつら書いても、まだ愛着もないキャラクターが生きてる世界などどうでもいいと思われるのでは? と避けたのが原因ですが、私が読み手を信頼できていないのかもですね。

  • その他

・あらすじですが、まず最初に設定を紹介してください(この世界はどういう世界で、天使とは、神とは、魔性とは、魔術師とは)。その前提が無いと選考委員は何のことかわからないので……! 何故追いかけっこをするのか、何故神々と戦いたいのか、もわからないので、「何故」を説明することを念頭に置きながら、細部までは書かなくていいので大筋を追う、という書き方を意識して頂ければと思います。結末まで書いているのは、OKです!
・ノイアがルチアの隣りにどうしてもいたい理由がわかりませんでした。匂わせでもいいので、やはり書いて頂いた方がいいと思います。

小説の公募にはあらすじという話の最初から最後までを書いたものをつける必要があるのですが、書き方に困っていたため助かりました。設定とか世界観も書くんですね。あとは「何故」を書く、今後の参考にします!

ノイアについてこの指摘をいただくのは想定内でした。キャラの詳細は詰めていたのですが、空虚に見えるかもという危惧はありつつ、あんまり書かない方が気味が悪いかも~と思ってカットしていました。ここは見せ方をよく考えます。

  • 目指すべき賞

・ノベル大賞(集英社)
・電撃大賞/電撃小説大賞(KADOKAWA)
・オーバーラップ文庫大賞
・カクヨムのコンテスト
・小説家になろう
 辺りが水底 眠様の文章・テーマ・レーベルの色と合っているかな、と感じました。

これが一番意外でした! 私の作品が具体的にどのレーベル向きなのか知りたかったので本当に助かりました。

よく見たら今まで応募した賞がない! 自分の作風を見定める目がないらしい!

ライト文芸、ラノベ系で方向性は合っていた模様、Web小説系も合ってそうらしい。
ただ、Web小説は自分で自作の宣伝が下手すぎるので避けたい、いまだにキャッチコピー放置してる。
集英社のノベル大賞はオレンジ文庫の賞で、こちらの文庫の本は読んだことがあります。ファンタジーも多いし、言われてみると近いかも~と思いました。こちらも応募先の候補に入れたいです。



まとめ

ご指摘を受けてみて、変えるのに全然抵抗がない部分と、そこだけは絶対変えたくないと感じる部分がはっきりして面白かったです。目を逸らしていたことさえ忘れていたことも、改めて考えるきっかけになりました。

あと、これからは、設定、もっと、書きます。どうでもいいと思った読み手には、そこだけ読み飛ばしてもらえると考えることにします……! 存在しない読み手の顔色を伺って不安になり、その不安に振り回されているのが原因な気がするので、ここも変えたいと思いました。

まずは物語の緩急をつける。物語の大枠ができたうえで説明すべき点を整理して、削らないこと。
この辺りを当面の課題として書いていきたいです。また頑張っていきます~!


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