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ムリして難解な音楽を聴く必要はない

よく書いてるように、コズミックなテイストというかアフロフューチャリズムっぽい質感を持つ曲が好きだ。宇宙趣味っていうのかな。黒人系のテクノとかブロークンビーツとかを好むのもその影響。

もともとSF自体は男の子として子どもの頃から好きなんだけど、音楽でもSFっぽいものを好きになったきっかけはなんだろうって最近ときどき考える。

で、もとを辿っていくと、高校時代に聴いたm-floのHandsあたりが自分の音楽における宇宙趣味のきっかけになったような気がしてきた。

初期のm-floは宇宙をモチーフにした雰囲気のアルバムを作ってたりするんだけど、この曲は不思議な浮遊感とクラブミュージック的な感覚のバランスが抜群でいまだに時々聴きたくなる。テイ・トウワの曲なんかに近い雰囲気もあるけれど、いわゆるJ-POPど真ん中の流れでこのタイプの曲を出した功績は正に「推して知るべし」ってところかな。

Jazzy Sportがプッシュしてたコズミック盤

さてその後、自分のなかでの宇宙趣味をはっきり自覚したのは大学生の頃。当時はちょうどジャザノヴァあたりのフューチャージャズが全盛期だったんだけど、渋谷にあったJazzy Sportがフューチャージャズとネオソウルを組み合わせたような雰囲気のレコードをよくプッシュしてて好んで聴いてた。

特に印象深いのはPlatinum Pied PipersやSa-Ra Creative Partnersあたり。Sa-Raに関しては当時めちゃくちゃプッシュされてて、ジャジスポから日本エクスクルーシブの12インチも発売されてたね。

ヨーロッパ系だとTwo Banks of Fourがジャイルズ・ピーターソンのコンピでエクスクルーシヴ曲として取り上げてたBrilliant Circles。

この曲がスタンリー・カウエルとチャールズ・トリヴァーのMusic Inc.のカバーだって知ったのはだいぶ後になってからだけど、オリジナルに忠実ながらハイテックジャズ化した演奏が格好良く、本人たち名義のアルバム曲と比べても個人的にはこの曲が一番だと思ってる。

まぁこの辺りの曲は当時ブームだってこともあったし、好きな人もそれなりに多かったと思う。そんななかで満を持して登場したのがオランダはアムステルダムのKindred Spiritsレーベルから登場したサン・ラーのトリビュート盤「Sun Ra Dedication」だった。

00年代前半のSun Raブームについて思うこと

当時、大学生だった僕はサン・ラーの存在なんて全く知らなかったけれど、ジャケットがめちゃくちゃ宇宙だったし、参加メンバーも豪華だったから飛びついて買った…そして非常にがっかりしたのをよく覚えてる。

内容があまりに難解だったし、それまで自分が聴いてきた音楽と違い過ぎたんだよね。いくらその筋のレジェンドのトリビュート盤とは言え、それまで普通にクラブ・ミュージックを聴いてきたキッズには刺さらないでしょう、これは(笑)モワックスあたりのアブストラクトで鍛えられたヘッズには刺さったのかな、良く分からないけれど。

ただ、当時はスピリチュアルジャズなんかの流れから、サン・ラーの音楽性を理解できるのが通みたいな風潮があったから、このトリビュートをきっかけにサン・ラーのオリジナル盤もクラブジャズ界隈で紹介されるようになっていったのも事実。

だけど、実際のところきちんと理解して聴いてた人ってほとんどいなくて、大半のヘッズやキッズはムリして背伸びして聴いてたんじゃないかな。

ファロア・サンダースなんかの場合だとまだ分かりやすい曲やDJプレイできる曲もあったりして取っつきやすさもあるけれど、サン・ラーの場合、ほぼ全編ムズいし、フリーキー過ぎてDJプレイできる曲なんてないからね(笑)

正確には「サン・ラーっぽくない曲」ならDJでかけれないこともないんだけれど、それだと意味がないので。。。

なので、皆さんあの頃聴いてた人は、ムリして聴いてたんじゃないかなというのが僕の感想。僕はムリすることに耐えきれなかったので当時はさっさと離脱。件のトリビュート盤も早々に手放すことになりました。


さてさて、そんなわけで今日は前から書こうと思ってた「みんな無理してサン・ラー聴いてたんじゃない?」って件について。

たとえばJ-POPS界隈だとゆらゆら帝国の「空洞です」とかもそうなんだけど、評論家たちが名盤って言ってるからって理解できない音楽をムリして聴く必要ないからね。

ムリして聴いても嫌いになっちゃうだけだし、そういうのはそのまま寝かせておけば、何故だかそのうち突然聴けるようになって、そのときに良さに気づくようになるから。ちなみに僕は、サン・ラーもゆらゆら帝国もここ5年くらいでようやく少しずつ聴けるようになってきました(笑)

音楽なんてそのときどきで自分の気になるもの、好きなものを聴けばそれで良いんだよね。日曜の昼下がり、達郎のサンデー・ソングブックを聴きながらそんなことを改めて思う今日この頃です。

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