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五月病の正体

GWは目まぐるしい

 今年の最大10連休だったGWもあっという間に通り過ぎてしまった。この間まで新生活や桜の開花情報がとりだたされていたのに、時間が移ろうのは早い。コロナ禍を乗り越え、平時となり人気の観光スポットの特集や、高速道路の渋滞予想がメディアでは大きく取り上げられた。このあとは五月病のニュースをスッと通り過ぎ、汗ばむ陽気とともに夏休みに突入していきそうだ。

結婚式の前夜祭

 今年のGWに何か特別なイベントはなかったが、4月初旬に友人の結婚式に参列した。実に5年ぶりの再会で、笑顔で溢れるステキな式だった。結婚式前日は前夜祭をしようという企みもあり、なんだか学生時代に戻ったような雰囲気が漂っていた。もちろん式を控える新郎は配慮して声をかけなかったが、一緒に参列する友人たちは私含めとてもノリ気だった。社会に出て数年経つと、各々家庭があったりとそれぞれの事情もある。普通の飲み会ではなく、結婚式に関連する前夜祭と称することに価値があるとの言い分だ。友人の一人は「奥さんを説得しやすい」と力説していた。子供じみた言い訳を細工しながら、家庭も仕事もちゃんとしているんだなとなんだか妙に感心してしまった。
 新社会人になった当時も同じように飲み会をした。やはり毎回久しぶりに会うと気が軽くなる。でもあまり居心地が良いものではなかったことを覚えている。たぶんその頃はみんな新しい環境に馴染もうと必死で、仕事の話が割合を占めた。仕事というよりも条件といった方が当てはまっているような気がする。給料の手取りや年間休日数、福利厚生。別に友人同士でマウントをとり合うような雰囲気でもない。ただ仕事内容はお互いに異なるし、共通項が単純に条件面になってしまったんだと解釈している。それでも接客業にとってGWは大切な繁忙期。長期連休なんて不可能だ。お店を後にした際、なんとなく勝手に傷つけられたような気分だった。

環境を自覚する期間なんだと思う

 GWは長期連休でふっと力が抜けるから会社に行きたくなるわけではないと思っている。リフレッシュして戻ってくる人もたくさんいる。行きたくなくなる一つは環境を自覚することに抵抗があるからだと思う。少なくとも私はそうだった。それが昔馴染みの友人との飲み会で外の世界に条件に断片的に触れることでさらに拍車がかかった。まだ環境に受け入れきれていない状態だからこそ、他人の条件を聞いて保っていた自意識の根幹が揺らぐ感じがしたと内省している。

 結婚式の前夜祭では同じように仕事の内容も条件の話もした。美味しくて気持ちよくて笑いすぎてめまいがする時間だった。お勘定を済ませてお店の外に出たとき、心地よい夜風が吹く。社会人生活も長くなった。今はしっかり自分の足で立てている。


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