透明水彩の強い味方~とっておきの道具7選
こんにちは。
今回は、僕が水彩画を描く際に心から愛用している特別な道具を紹介します。普通の水彩道具とは一味違う、本当に頼りになる、とっておきの7点を選びしました。
細部の仕上げに欠かせない
◇面相筆・極小
面相筆は細部の塗りや表現には欠かせません。その中で僕が頻繁に使う面相筆をご紹介します。面相筆の大きさには主に大・中・小の3種類がありますが、ここで紹介するのは更に細い「極小」というタイプです。
アクセントを加えたり、細部を描き込む際には欠かせない逸品なのです。
極細の線を容易に描くことができ、緻密なディテールを追求することができます。それだけでなく水含みが良いので、意外と広い面積を塗ることもできます。この小さな筆が1本加わるだけで、新たな表現の幅が広がることは間違いありません。
手早く魅力的なデッサンができる
◇LEDトレース台
僕が水彩画を描く上で最も重宝している道具と言えば、トレース台でしょう。
トレース台の最大の利点は、写真や原画の線を手早く正確に写し取れることです。また線を迷うことなく描けるので、練ゴムや消しゴムを一切使うことがありません。ですのでトレースが完成しても、紙は新品のキレイな状態を保ったままと言うことです。
着彩する際に紙が傷んでいないことはとても重要なポイントです。
折角キレイな着彩ができても 紙が傷んでいると、余計なシミがでたり、絵の具が紙に浸み込んでしまうので、非常に損な話だと思います。
以上のような理由から、トレース台が1台あった方が格段に便利なことがお分かりだと思います。
因みに僕自身はオリジナルな形を追求したいので、写真を直接トレースすることは稀で、予め薄手の紙に描いておいたデッサン(詳細を後述しています)を基にしてトレースすることが多いです。
また仕事上、同じデッサンを何枚も描かなくてはならない時があるので、この1台があるお陰でとても効率的な作業が出来ています。
さて、トレースの基となる写真や原画ですが、描きたいサイズにしたいと思った方は多いと思います。
例えば2L版の紙焼き写真を4号サイズの水彩紙にトレースしたい場合は、その写真を150~180パーセントに拡大コピーすればOKです。
では、トレース台を使って描いた鉛筆デッサンをご覧ください。
紙焼き写真を拡大コピーし、それを基にトレースしています。
写真をそのままトレースしたくない、オリジナルのデッサンをしたいという方は次の方法がおすすめです。
・薄手の紙(コピー紙、ノートの紙など)に鉛筆デッサンの下描きをして、それを基にトレースすると良いと思います。
その際に下描きは何度も形を修正して、紙が傷んでしまっても一切構いません。
トレースをすると形を取る能力が向上しないという意見もありますが、僕はその意見には否定的です。何故ならトレースをすることで、自分の間違いやすい習性を発見し 修正できるのに、そのチャンスをミスミス逃してしまうからです。
トレース台を使う時と・使わない時の割合ですが、使うを6割、使わない4割ぐらいにすると、学習効果が非常に高まると僕は考えています。
トレースをしたお陰で、形を正確に取れるようになったという生徒さんもいるぐらいです。
トレース台を使ってみたいという方は 下のモデルがおすすめです。薄型・軽量、3段階に分けて調光できます。⇩
デッサンをもっと緻密に描いてみたいという方は 下のモデルがおすすめします。6段階に分けて調光できるので、厚手の紙でも鮮明に見ることができます。「基の写真がはっきり見えた方が良い」という方はこちらのモデルがより満足できると思います。⇩
これは一級品~高価なことだけのことはある
◇ラングトン・プレステージ
ラングトンプレステージは通常のコットン水彩紙よりやや高価ですが、使ってみるとその素晴らしさを実感します。
紙目の美しさ、強度、適度な浸透性、発色の良さ、色が乾いた時に薄くならないなど、どれをとっても一級のレベルにあります。またこれらの要素が実にバランス良く設定されているという印象を受けます。
展覧会に出品する時や お友達のために描く時、あるいは思い出の風景画をお部屋に飾りたい、など一目に触れる作品を描く時などは是非使ってみてください。
※僕がラングトンプレステージを使った感想を更に詳しく描いています。⇩
モチーフにあった色線でデッサンする
◇色鉛筆6色セット(穏やかな色)
鉛筆デッサンは黒い鉛筆で描きますが、中には鉛筆の黒が合わないモチーフがあります。例えば淡いピンクやオレンジの花などがそれにあたります。鉛筆で不用意に描くと、出来上がった水彩画は黒い線がとても目立つ違和感のある作品になってしまいます。
「それなら着彩の途中で鉛筆の線を消せば良いのでは?」という意見も出そうですが、そうすると花に存在感やメリハリが無くなってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、モチーフの色と似ている色鉛筆を使ってデッサンをすることです。下の向日葵のデッサンをご覧ください。
花びらは渋い黄色系の色鉛筆で、中心の種はこげ茶系の色鉛筆+普通の鉛筆で描いています。
このデッサンに着彩した作品がこれ(下)です。
線に無理のない自然な作品が出来上がります。⇩
では、モチーフの色に似た色鉛筆とは、どんな色を選べば良いのでしょう。
下に僕が愛用している色(6色)をご紹介します。この6色を上手く使い分ければどんなモチーフにも合うので、是非試してみてください。
ファーバー・カステル社製・色鉛筆(左が色名で、右が色番号です)
鉛筆デッサンは決して下絵ではなく、大切な絵の一部です。
透明水彩と色鉛筆が美しく融合したデッサンを是非楽しんで頂きたいと思います。
ありがたいことに、6色を自由に選べる商品が発売されていますが、それが下にある「ファーバーカステル色鉛筆6本お選びセット」です。
どんな色も自由に選べるセットですが、上にご紹介した6色を選べば、更に自然で美しいデッサンを楽しむことができます。
※購入する時に好きな色の番号を書き入れてください。⇩
ぼかしが上手く出来ない方におすすめの筆
ぼかしの美しい効果を引き出すためには、いろいろなポイントがありますが、中でも特に重要なのは筆の選択と水分量の調節です。
ぼかしに向いている筆の要素は ①毛に弾力があり、やや硬めなこと ②水含みがそれほど良くないこと ③毛足がやや長めなこと 以上の3つです。
この要素①②に見合う毛の素材はアクリル(化繊)かアクリルと天然毛との混合ということになります。
◇HALF16号平筆
上の条件を満たしている筆で、僕が愛用しているのは「ヴァンゴッホ平筆 3/4インチ」「日本画用削用筆・大」、そして今回ご紹介する「NALF16号平筆」です。
アクリル(化繊)と羊毛の混合毛で、ぼかしを成功させるには必携の筆と言えます。なぜ失敗しないのか・、その理由はこの丸みを帯びた形と毛の質にあります。
まずこの丸みのある形状ですが、通常の四角い平筆と違い、筆の跡が付きにくいのが特徴です。それから毛がアクリルと羊毛の混合毛であるため、程よい弾力と水含み(水を含みすぎないということ)を実現しています。
また最大の特徴は毛と毛の間にわずかな隙間があることです。隙間があるお陰で、ぼかす時に絵の具を引きずり過ぎないのです。ぼかした端はきれいなグラデーションになってくれます。
「今までいろいろな筆でぼかして来たけれど、あまり上手く出来たことがない」という方は是非使ってみてください。
優しい色合いなのに薄くならない
自分の水彩画がどうしても濃くならないとお困りの方、
また描き込むと絵が黒ずんでしまうとお悩みの方はいませんか?
◇パステルカラーの絵の具・12色セット
そんな方におすすめしたい絵の具があります。ホルベインから発売されている「パステルカラー絵の具・12色セット」です。
パステルカラーとは赤・青・黄色・緑などの原色に白を混ぜたような、淡い中間色のことです。パステルカーの特徴は通常の原色系とはことなり、どれも明るく穏やかな色合いをしていることですが、他に大きな特徴があります。
それは、塗ると意外にもしっかりとした濃さになることです。
これは通常の絵の具よりわずかに不透明なためでしょう。
パステルカラーを使うお陰で不用な重色をしなくて済み、更に絵を強くしようと黒やこげ茶などを使いすぎることもなくなります。
下にパステルカラーを多用して描いた水彩画を載せました。
出来上がった絵は明るく爽やかな雰囲気、重ね塗りをし過ぎていないせいか透明感もそこそこあります。それでいて絵が決して弱くなりません。
セット色:
ブリリアントピンク、シェルピンク、ネイプルスイエロー、
ジョーン ブリヤンNo.1、リーフ グリーン、エメラルドグリーン ノーバ、
コンポーズ グリーン、コンポーズ ブルー、ホリゾン ブルー、
バヂター ブルー、ラベンダー、ライラック
細かい点やスパッタリングに
細かい点(ドット)を描く時、皆さんはどうしていますか?
一つ一つ点を描いていますか?それともスパッタリングをしていますか?
その両方が出来てしまう優れものをご紹介します。
◇ 刷り込み刷毛
それは刷り込み刷毛というとても硬い筆です。本来は木版画の版木に色を塗るための道具ですが、ここでは あくまでも水彩画用の道具としてご紹介します。
あっという間にドットができる!
刷り込み刷毛に絵の具を含ませ、画面にポンポンと叩くように
して描くと、ご覧のように(下)点描が瞬時にできてしまいます。
また、毛先に絵の具を含ませ、指で弾いて散布すれば簡単にスパッタリングが出来ます。毛がとても硬いので、絵の具が勢いよく飛び散ってくれます。
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以上、水彩画制作の強い味方になってくれる道具7選をご紹介しました。
参考になりましたら幸いです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます🎉。
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