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あなたの水彩画を変える方法

突然ですが、あなたは自分の透明水彩画を変えたいと思ったことはありませんか?
そう思っている方には 是非読んでほしい記事なので、最後まで読んでくださると嬉しいです。


自分の水彩画を変えたい、それはどんな時?

自分の水彩画を変えたいと思う時は、大抵の場合は自分の描いた作品があまり好きではない時です。

では、なぜ好きではないのでしょう、その原因の一つに水彩画の魅力を引き出せていないことが挙げられます。

水彩の魅力を引き出せない理由

魅力を引き出せない理由は主に2つあります。1つめは・・、

1、模倣や描写する意識が強すぎるから

実物を模倣するという意識が強すぎると、描写や模倣することに気を取られ、水彩の軽やかさや透明感はそっちのけでになってしまいます。

水彩教室の生徒さんの多くはこう言います。
「実物や写真を見るとどうしてもそっくりに描こうと思ってしまいます。それ以外のことはとても考えられません」

他のことを考える余裕はない、・・その気持ちはよく理解できます。

でもちょっと待ってください。
実物を描写することはとても難しい作業です。と言いますか、透明水彩で実物そっくりに描くのは至難の業なんです。

実物に近づけようとするあまり、何度も塗り重ねたり筆を入れたりするため、大抵の場合は画面が汚くなってしまいます。

確かに、実物そっくりに描いている作家は何人も存在します。彼らは描写表現を軸にしながら、何かしらのメッセージを伝えようと努力しています。
ですから描写表現が大切無二な手段なのです。
その卓越した技術を身に付けるまでには、並々ならぬ努力が必要で、多くの失敗を経験した末に現在があるのです。

はっきりと聞きますが、皆さんにはその覚悟はありますか?
水彩での描写を完全にマスターするまで、苦労はいとわない、
その信念をお持ちですか?

NOと答える方が圧倒的に多いと思います。
「いや~、そんなことまで考えていませんよ、素人なんだから・・」。
確かに、プロではないのだから、そこまで深く考える必要はないかも知れません。

話は少しそれましたが、描写表現が大好きな方は別として、今は「自分の水彩画を変えたい」人を対象にしています。ですから その方々へ向けて後ほど詳細に述べていきたいと思います。

2、透明水彩の特性を無視しているから

魅力を引き出せない理由の2つめは、透明水彩の特性をあまり考えることなく制作している場合です。

透明水彩の特性とは、「白い紙に透明な絵の具で描く」そして「水を使って描く」ことです。当たり前と思うかもしれませんが、これが非常に重要な点です。

白い紙に透明な絵の具で描かれた色彩は、紙の白が反映された色彩となります。
仮に透明な絵の具を10回塗り重ねたとしましょう。紙の白はほとんど見えなくなり、不透明で重苦しい色彩になってしまいます。

また透明な絵の具を水で溶かして塗るわけですから、水の扱い方や水分量を間違えると、落胆する結果に成りかねません。

透明水彩で描く意味をもう一度よく考えてほしいと思います。
白い紙・透明な絵の具、そして水、この3つはセットになっているということを真剣に受け止めてほしいのです。

透明水彩の魅力を引き出せない理由はここまでとします。次のステップは「どのように水彩画を描いたら良いか」についてお話したいと思います。

透明水彩の世界の中で描く

透明水彩の魅力を引き出すには、前述した透明水彩の特性を大切にして描くことが重要です。つまり、透明水彩という限られた手法の中で、そこから逸脱することなく描いていくことが肝心です。言い換えれば、透明水彩にしかできないことを心底楽しみながら、作品を制作していくことが必要です。

実物と透明水彩は全く別物

透明水彩を実物と同じように描くことは、相当の技量がなければ、不可能です。卓越した描写力のある作家さんには心から敬意を表します。

その上で敢えて言わせていただきますが、僕は実物と透明水彩は全く別物と考えています。実物(実景)には色彩の強さ、陰影のコントラスト、物の質感など、様々な要素が組み込まれ、実に複雑です。
これらを克明に描くには、透明水彩は不向きな手法と言わざるを得ません。

例えば黒っぽい色のカボチャがあり、その脇には黒々とした陰影が机に映っているとします。もしこれをそっくりに描いたらどうでしょう。

想像してみてください・・
おそらく透明水彩の魅力とはかけ離れたものになるでしょう。

やはり実物とは違う もっと明るく軽やか色彩で描くべきです。
それにはカボチャが本来持っいる色彩の美しさ、黒い陰影の中に潜んでいる微妙な色彩の美しさを発見し、引き出してあげることが大切です。
つまり描写をするのではなく抽出するのです。

その作業こそが「透明水彩の世界の中で描く」ということです。

「理屈はよく分かっています。でもそれが出来たら苦労はありません」
という方もいるでしょう。ではもう少し掘り下げて解説していきます。

透明水彩にしかできないこと

何度も言いますが、透明水彩は白い紙に透明な絵の具で描く手法です。そこにこそ最大の魅力があり、日本画や油絵などの他ジャンルにはない独自性があるわけです。

透明水彩がもたらす恩恵は計り知れない

透明水彩には次のような利点があります。

1、軽やかで爽やかな色彩表現ができる
2、水の表情を生かした表現ができる
3、陰影や濃い箇所を描くと、それだけで
  絵の雰囲気がほとんど出来てしまう
4、固有色に捕らわれない自由な色彩表現ができる
5、白い紙が空間の連続性を生み出す

以上の5つは透明水彩にしか出来ないといっても過言ではありません。

では画像を見ながら具体的に解説していきます。

1、軽やかで爽やかな色彩表現ができる

下の水彩画と写真を比較してみてください。
色彩がかなり違うことに気づくと思います。

水彩画:実物よりも明暗に差をつけ、色彩にも微妙な変化をもたらしています。
葡萄の色彩は黄緑系と青系を使い、影はピンク系と青系を使って表現しています。
このように、水彩画は繊細な色使いと陰影表現により、爽やかな雰囲気にすることができます。

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