瞬歩堂 1話

あらすじ

不幸体質の少年は、不幸が過ぎて一人きりになりたいと山籠もり生活を送ろうとしていたところ、テレポーテーションの特異体質者(アラサー)、予知夢の特異体質者(20代前半)の大人二人に見つかってしまい、三人で便利屋「瞬歩堂」として事件を解決したり、日常を送ることになる。


#創作大賞2024 #漫画原作部門 #少年マンガ #少女マンガ #青年マンガ


 不幸体質。
 街を歩けば空から物が落ちてくる。公園で遊べば遊具が故障して危険地帯となり暫く立ち入り禁止区域に。車に乗れば交通事故。人々は五感の全てでもってこれらの不幸を「嫌な予感」として捉え、常に嫌な予感を感じさせる不気味な少年はいつもいじめられている。
 親は除霊、禊、なんでも尽くしたが少年の生まれ持っての不幸体質を取り除くことはかなわず引っ越しすること十数回。何故自分の息子がこんなにも気味が悪くご近所にも不安を与える存在であるかもわからない。
 少年は今日、やけに大きな荷物を抱えて朝家を出た。
 母は携帯電話を片手にしながら、家中の缶詰やビスケット、清涼飲料水などが無くなっていることに気付いたが、あくまで息子を心配して声をかけた。
「最近、この辺で小中学生を狙った少年から青年くらいの不審者出現ですって。気を付けて行ってくるのよ」
「わかった」
「幸(ゆき)、あんたはおかしなことしてないわよね」
「何も知らないよ。大丈夫。行ってきます」
 息子が生まれてこの方、ずっといじめられて生きてきたのは母である自分が一番知っていた。不幸体質で不審者を引き寄せがちなのも、いじめに耐え切れずストレスであわや息子が不審者になってしまう可能性だって十分に考えながら生きてきた。
『西中裏サイト』
『224 ブッキー今日も登校中』
『225 ブッキーて何』
『226 不気味君のブッキー』
『227 毎朝盗撮乙カレ様』
『228 早く不登校になればいいのに』
『229 いじめられてるのに学校来るなよもー』
『300 臭いとかないし目立たないのになんかキモすぎなんだよな』
 息子も知らない裏サイトを読んでは悔しさと悲しさで心がいっぱいになる。
 いつも不幸であることを除けば、特に目立った特徴のない、ごく普通の息子だというのに。
『隣……やっと出ていったみたい』
『やっとか。毎日学校に行ってくれるだけでも御の字だな。不気味すぎる』
 息子のことを不気味がっているのは、何も学校の生徒たちだけではない。引っ越しを繰り返し持ち家からマンション、アパートへと転落を続け、アパートでも隣や上下階の住民に認識され不気味がられている。
 近年、在宅ワークや高齢化社会で在宅率は高く、主婦である自分には他の声が多く聞こえることは昼間一人きりの母には十分に堪えることだった。
「ううっ……」
 息子の前でなければ、感情をあらわにして泣くことだってできるのに。

 カチカチッとノートパソコンを操作して225番の男は裏サイトをリロードした。もう何度もスレッドが更新され、書き込みは毎日膨大な量のマンモス裏サイト。
 過去のスレッドをたどってみると、少年は中一の頃にこの中学校に入学してからというもの、ずっと「不気味のブッキー」として毎日裏サイトを賑わす要因の一員となっているようだった。
「こいつは”当たり”かもしんねぇな」
 盗撮された少年の後姿をクリックして拡大表示した。

 吹雪 幸(ふぶき ゆき)、少年は今日もいじめられている。
 蓋の無い下駄箱からあふれ出るごみは無視して、いつも通りシューズバッグから上履きを取り出して靴を履き替える。当然、下駄箱に靴を置いていくような真似はしない。教室に着いて自分の席に引っ掛けておく。持ち物全て、鞄やリュックは机や椅子に引っ掛けている。ロッカーの中も下駄箱と同じだ。トイレと移動教室以外は常に自分の周りに置いておくことにしていた。
「うわ。今日も来たよ」
「学校来るなって~」
 後ろの席の女子二人がクスクスと笑う。
 授業が始まると今度はクラスメイト全員が静かに「キモイ、キモすぎる」と合唱しだした。
 これは不幸体質の幸が身近にいる不安感を、同じ教室から逃れられない授業の時間帯に味わうクラスメイト全員がストレスを抱えた結果の副作用的な行動だった。
「なんだ。文句がある奴は前に出ろ」
 気分を害した様子の教師が怒るも、「先生のことじゃありません」と一蹴される。
 教師も幸の存在は認識していた。
(どうもあの生徒は不気味すぎる……)
 職員室でも話題になる生徒というのはどの学年にもいる。吹雪 幸はその話題に上がる生徒たちの内の一人だった。見ているだけで、授業中に目が合うだけでどうにも不安な気持ちになる生徒がいると。
 仕方なく授業を再開する。
 このクラスの生徒は授業を聞いていないのか。怒鳴りたくなるほど、授業が終わるまで一日中この調子なのだ。
「いじめる方が悪いとはいえ、ずっとこの環境だと俺、成績落ちちゃうよ」
「でも……どうする?もしいなくなったら次いじめられるのは僕たちじゃないか」
「まぁ、俺たちオタクとガリ勉からしたらあいつが居ないと困るけど……なんであんなに不気味なんだろう」
「うわっ、席立った」
「昼飯だろ」
「やっとかよ……さっさとどっか行ってくれ」
 ヒエラルキー最下層のグループにすら邪険に扱われながら送る日々。
 昼休みはまた全ての荷物を抱え、5階からは通行禁止の看板と鎖が書けてあり誰も来ない屋上へ続く階段の踊り場で食べる。勿論屋上へのドアは施錠されていて開かない。
 ルールを破っているのがばれるとまたいじめられるので、人の気配がするときは一度通り過ぎるふりをしたり、隠れてからここへ。毎日この踊り場で昼休みは過ごす。
(今日は荷物が多いから……)
 大変だった。
 昼休みが終わり、移動教室の途中、ドンッと誰かにぶつかった。
「オイ」
「うわっ、ブッキーだ」
「ふざけんなよ、なんなんだよお前」

「吹雪……吹雪は」
「欠席でーす」
 げらげらとクラスメイト達は笑った。

 幸は窓から校庭に投げ捨てられびりびりに破かれた教科書やノートを拾っていた。開けて投げられた筆箱の中身もだ。
 上履きや他の鞄も全て抱えたままだった。
 鞄の中の缶詰や飲み物たちがやけに重く感じる。いや、逆にこの重さが彼の心の支えになっていた。
 悔し涙を堪えながら、体育を行う校庭の端を行き来する。
 クラスから離れられても、学校に来て家から離れられても、今度は校庭に居る生徒たちが幸の不運に釣られて騒めき出す。
「どこへいっても、俺は……」
 涙で前が見えず、ビリビリの教科書は握ったせいで余計にくしゃくしゃになった。
 でもそれらとも今日で別れられる算段だ。今日は家には帰らない。幸は授業が終わり、放課後になっても家路に付かず裏山を目指した。
(食料は先ずは三日分。足りなくなれば家に帰り、もう一度山へ入ればいい。とにかく人が居ない場所へ行こう)
 幸の意思は固かった。
 中学二年、14歳。14年生きてきて人に囲まれた世界で良かったことなど本当に一度も無いのだ。
 とっぷりと夕日が暮れていく。
 山を登り続けて道の無い場所まで登り、ついに斜面が急になったところで幸は叫んだ。
「誰だ!!こんなところまでつけてきやがって!!」
「!!」
 幸は今朝、母親から告げられた不審者情報を思い出していた。
 小中学生を狙った少年か青年……、14年間生きてきて、そんなときは自分が犯人の的になるとよくわかっていたはずだった。だがしかし、人里離れた場所へ行けば犯人もついてこないだろうという甘い考えに呑まれて自分の行動を優先させた。
 結果的に、何者かの気配はずっと途切れることなくついてきた。
 それどころか、よくよく考えてみれば山の中なんてどう襲われてもし変死体にでもなってしまっても誰にも気づかれることもなく犯人は逃げおおせるだろう。
 不幸体質どころか、自分から不幸への道を選んだも同然だった。
「!!」
 犯人の足が止まる。
 朝、鞄に忍ばせてきたサバイバルナイフを幸が手にしたからだった。
 一瞬、沈黙がその場を支配した。
 先に動いたのは犯人の方だった。
「よ、寄るなよ!!ふ、不審者っ……」
 ぶすりと何か重たい物にナイフが刺さる感覚があり、ナイフごと刺さった物を遠くへ放り投げられる。
「自殺でも考えてたのか、こんなとこまで来やがって」
「寄るな!う、うわああああ!!こんなとこで死んでたまるかああ!!」
「それが本音かよ、少年」
 体格差で覆い被さられる。幸はめちゃくちゃに暴れまわった。
「じっとしろ!!助けに来た、ブッキー」
「!?」
 ブッキー。学校での幸の蔑称だった。不気味のブッキー。吹雪の名を晒しながらも意味合いをかけた巧妙な呼び方だった。
 青年というよりはおっさん。というか若いのか年食っているのかどうかも微妙な青年が幸の腕を掴み押さえつけた。
「お前の不幸体質を調べた。どう考えても使えるぜ、その能力」
「お、おじさん……は、離せ!!不審者!!」
「ちげぇーよ!それは別情報!!俺じゃねぇ!」
「な、何……!?じゃあ別の不審者じゃないか!」
「そうともいう!だけどちょっとお前落ち着けよ。吹雪 幸。俺はお前を迎えに来た」
「なんなんだ……うわああ!!」
「オイ逃げれると思ってんのかこの状況で」
 バタバタと暴れる幸を再び抑え込んだ男は叫んだ。
「よく聞け!!お前は今困ってるだろう!?類稀なる不幸体質!!それこそ俺が求めてここにやってきた理由なんだよ!!」
「昔禊受けたことあるから知ってるよ……でも良いのかよ、俺と一緒に居ると……ホラ」
 ドドド!上の方、遠くから何かが崩れる音がした。
「――土砂崩れ!?」
「チッ……知ってて来たんじゃないのかよ」
「いや、知ってたぜ、掴まれ少年」
 パッと何かが光って次の瞬間には、山の麓まで降りていた。
「なッ――」
「俺の名前は輝先 瞬太郎(てるさき しゅんたろう)。テレポーテーション……瞬間移動の特異体質者だ」
「苦労して登ったのに……!」
「じゃああのまま死にたかったってのか?ガキ。いいか、お前の不幸体質は特異体質の中でもS級だ。だから俺はお前を迎えに来た」
「さっきから言ってるその迎えに来たってなんですか」
「そのままの意味だ。この町を出る。俺は仲間と一緒に便利屋をやってる。お前の力が必要だ。一緒にここを出よう」
「俺がいるとおじさんたちも不幸になるよ」
「なんとかするさ。構わねぇ」
「わかった。付いて行った先がヤバくても……もしおじさんが不審者でももういいや。もう町には戻らないつもりだった。好きにしていいよ」
「ま、悪いようにはしねぇ」

「シュンタロー!!無事なんですか!?」
「知予丸」
「不幸体質の子を迎えに行ったんですよね?なにか不幸に見舞われましたか?」
「土砂崩れに合った。テレポで抜けてきたから問題ねぇ」
「ほう、その子が――」
「吹雪、仲間の知予丸だ。予知夢の特異体質者だ」
「人さらいに成功して喜んでる場合じゃないですけど、まあ無事で良かったです。よろしく、吹雪君」
「よろしく……お願いします」
 車異動では事故になる可能性があったが、幸はテレポーテーションで瞬歩堂と看板のある事務所に連れてこられた。
 知予丸と呼ばれた青年は幸と目を合わせる。
「……なんか不安になる目をしていますね」
「それが不幸体質ってことなんだろう」
「見てるだけで背中が寒くなるんですが」
「不幸体質だからな」
「さ、さすがS級……」
「ま、座れよ少年。で、知予丸。今日はどんな夢を見た」
「えーと今日は……工事現場の……屋上……ポールが沢山積まれていて……落ちてきて……女性がその下敷きに……」
「屋上で工事をしている建物だな。ポールが下から見えるような場所に積まれているはずだ。それは何時ごろだ」
「うーん……辺りが薄暗かったような気がします」
「わかった。じゃあもう時間がねぇな。吹雪、行くぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください。意味がわからない」
「なんだよ。つまりはこういうことだ。知予丸が未来予知をして、テレポーテーションの俺が助ける。つまりは人助けだ」
「ひ、人助け!?」
「条件に一致しそうなこのあたりの物件を回る。今回からお前が居るからずっと楽になるぜ」
「は…はぁ!?」
「普段は依頼人が居なけりゃ仕事なんかしねーが、今日はお前を見つけた景気づけだ。俺たちの特殊能力の紹介だと思ってくれよ」
 幸は輝先に連れられて夜になりかけた町をテレポーテーションで見回っていく。
「あった……工事中だ。職人ども夜遅くまで仕事してやがんな」
「……」
「いいか。ここで張り込んで女性が通りかかったら俺とお前があのポールの下に移動する。女性とはすれ違う形になるがそれだけでいい」
「は、はぁ」
「来た!ほら行くぞ!」
 女性が工事のポールの真下を通りかかる。
 そこへ幸と輝先は近づいて行った。
 女性めがけて落ちようとしていたポールが、突如強風に見舞われてガタガタとその場に留まった。
 女性がその場を通り過ぎていく。
 と――幸目掛けて、ポールが一斉に落下した。
「アブねぇ~ッ」
 パッと視界が切り替わり、事務所内へ戻ってくる。
「やっぱりな……俺の睨んだ通りだったぜ」
「おかえりなさい」
 知予丸が駆け寄ってくる。
「こいつ、他人の不幸を吸収しやがる。他人に降りかかるはずだった不幸まで自分のモンにしちまうんだ」
「シュンタローの仮説通りでしたね」
「?」
「つまりな……、お前には他人の運命を捻じ曲げて不幸を取り除く力があるってことさ」
 本当なら女性に向かって落ちるはずだったポールも、幸が近づけば幸の方へ落ちてきた。
 山での土砂崩れ同様、幸の不幸体質の前には風なんていう自然の力までが作用する。
「あそこで俺が女性を助けてりゃ、俺は変質者扱いで命救ったってのに通報でもされてたろうよ。お前が居るだけで俺は助かる。おまけに他人の不幸をラッキーにすり替えちまうんだぜ……お前、居るだけで金の成る木だ」
「さっきの工事現場は……」
 幸は問う。
「ポールが落ちたが、幸い人気がない時に起きた事故で済んでるだろうな」
 輝先が答えた。
「人助けなんて……冗談じゃねぇよ」
「は?」
「俺……生まれてから14年、ずっと人にいじめられて生きてきた。しかもそれで他人が助かった分の不幸が全部俺に回って来てたって?んなこと知らされて平気でいられるわけねー!災害や病気で人間が減ればいいと思ったことはあっても人助けなんて冗談でもしたくねぇよ!!」
「!!」
「俺は山に帰らせてもらう。ここがどこだかわかんねぇけど……あんたが小中学生狙った殺人鬼じゃなくて助かったよ。でも俺、人助けなんかするぐらいなら山ン中で一人ぼっちで足踏み外したり、倒れてきた木の下敷きになったり、さっきの土砂崩れの被害者になって死んだ方がマシなんだ」
「お前……まだ14だろ」
「もう14だぜ。14年間……例えばあんたが中学生の頃から今の大人になるまでの14年、ずっと人間にいじめられてきてみろよ。想像なんてつかねぇだろ。俺は人間なんか大嫌いなんだよ!!」
「それはちげぇ!!お前は自分の力の使い方を知らなかっただけだ!!お前は今まで人間に虐げられて生きてきたかもしれねぇが……そいつらまとめて救えるぐらい、お前の不幸体質はすげぇんだよ!!」
「それでも嫌だ、人助けに加担なんかできるか!!」
「吹雪幸!!お前の力で他人を救える!!」
「!!!」
「吹雪君……、君は今まで不幸体質で不幸な目にばかりあって来たでしょう。僕らも同じです。僕は昔から知らない人が死んだり事故に合う夢を見続けたり、シュンタローは寝てたら海にテレポーテーションしていて死にかけたりして苦しみながら生きてきました。特異体質っていうのはそんなもんです。僕らが人助けをするのは……言ってみれば自分たち自身の為。これで依頼人からのお金も入れば上々。君も絶対に……人を救うことで君自身が救われるんです。普通の人とは違うから。ボランティアなんかじゃありません。人助けっていうのは、建前です。特異体質を自分自身の手で飼いならす。そうして、強く、生きていく。普通の人が人助けなんてしても三文の得にもなりゃしませんが、僕らの場合は自分自身の為になる。反対に言や、僕らが君を放っておくのは僕らにとっても危険なんです。同じ特異体質者が何か起こせば僕らも世の中で生きづらくなってしまう。人助けをしようなんてつもりで始めた仕事じゃありません」
「……!!」
「吹雪……いや、幸ちゃんよぉ。ひとまずお前は、お前自身が安全に生きるために、親元から離れることを考えなきゃならねぇ。で、行先なんかないから山ン中って考えたんだろう。でもな、同じ思いしながら……とまではいかずとも、同じ特異体質者がここに二人もいるんだぜ。お前が目ぇ合わせるだけで不気味なガキなのには違いねぇよ。人助けが嫌いなのも別にいい。でもな、お前から見りゃ俺らはオッサンだろうが、オメーみたいなガキ見つけといて、見捨ててのうのうと生きていけるほど大人でもねぇんだわ」
「どうしても嫌なら、シュンタローの仕事に付いて行かず事務所の中に閉じこもってればいいんですよ」
「いや、それは連れていくけどよ」
「……」
「ちょ……黙っとけば乗せられそうなもんをアンタは……!」
「とにかく幸!オメーは金の成る木だ!ぜってー手放したくねぇ!!オメーが居るだけでこの商売だってもっとうまくいくはずだ。オメーの存在価値は金だ!金!人のことなんか気にすんな!ここで働け!そんで働いた分は給料だってやるっつんだよ!それでも嫌なら金でも貯めてどこにでも行きゃいいだろうが!!今はここに居ろ!!」
「……だ、そうですよ、吹雪君……いや、幸ちゃん」
「……俺は……ここに居れば、本当に自分のためになるのか」
「約束してやる。俺たちが、お前を助ける」
 輝先が言い切った。
「ようこそ、瞬歩堂へ」
 知予丸がほほ笑む。
 人を助けるなんてまっぴらごめんだ。それでも、この二人は幸を助けると言い切った。
 このどうしようもない不幸体質を。
 これさえどうにかなれば、幸は普通の人間と何も変わらない、地味で目立たない少年だ。願わくば、そうなりたい。
 鞄の中に溜めこんできた食料をまずは二人に差し出した。
「良いもんもってんじゃねーか」
「これ、数日分は食料ありますね。僕たちも大助かりですよ」
 朗らかな会話が瞬歩堂に響いた。


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