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発掘された15世紀の模様を編む

以前 twitter でみかけたこちらの記事。オランダ国立古代博物館の研究者の方がツイートされていた、エストニア共和国のタリンで発掘された15末〜16世紀初頭のものと見られるミトン。保存状態がとても良くて、右下以外は藍染糸の編み込みでしょうか。色も模様もかなり鮮明です。

編み物オタクの習い性としてすぐに右上のパターンを起こしておいたのですが、Stay Home な今日この頃やっと編むことができました。

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毛糸にも「古いタイプ」がある
さてどの毛糸で編もうかな?と考えたところ、そういえばラトビア製の伝統ミトンキットの毛糸が余ってる!ラッキー!
中世と同じというわけにはいかないけれど、ヨーロッパの伝統編み物でよく使われているタイプの毛糸で、手紡ぎの趣があるふぞろいな太さ、脱脂が甘い少しごわっとした手触り。ふわふわで均一な日本の毛糸では素朴な風合いが出にくいのでこの素材はもってこいです。
※刈ったばかりの羊毛には天然の脂や蝋物質がついていて、現代の毛糸はしっかり洗浄して製品化されています。昔の毛糸は脱脂があまりされておらず、そのぶん防水性があって汚れにくい実用性の高い繊維として使うことができます。

ちなみにラトビアはエストニアのお隣の国で、同じバルト三国。どちらも中世の色濃い歴史的な街並みや文化、手工芸を大切にしている国です。キットは神戸のラトビア雑貨の専門店 SUBARUさんで購入しました。

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力強い〜!
白と黒でリストバンドを編んでみました。中世のムード漂う力強いパターン!これはSUBARUさんでうかがったラトビアのお話ですが、編み物の模様は込められた意味があったり地域で受け継がれてきたりしたものだそうです。
私のイメージでは上下が森、中央は車輪か十字架かな?上下の森部分は現代だと上下対象か互い違いにしてしまうと思うのですが、ふぞろいなところが逆に魅力的。

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せっかくなのでこのキットで編んだラトビアミトンと記念撮影。

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発掘品は手の部分はプレーンな薄手ですが、編み込みで厚みを出したミトンと比べると北欧の冬に使うにはやや頼りない気もします。埋葬時の儀礼的なものか、合いのものか。特別に寒い時のインナーかも?ここまで繊維が残ってるのに親指がとれてるのは実用してた証拠かな?それとも制作途中?などなど、想像すればキリがないのでありました。


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