記事一覧
うたの日に出した短歌75
6/19 題「束」
毎夏の悩み 一体揖保乃糸は何束茹でれば満たされるのか
6/20 題「舞」
部屋にひとり 舞茸天をザクザクと噛む音だけが響いてる秋
6/21 題「疲」
疲れ果て錆び付いてしまった脳が絶えずぎいぎい軋んでる音
6/22 題「考」
思考する事をやめた人間が底なし沼の周りに生える
6/23 題「源」
嫌いな奴1人残らずくたばってくれと祈るのが元気の源
うたの日に出した短歌74
6/14 題「酒」
酒の力を借りたあのプロポーズ 事ある毎に蒸し返す妻
6/15 題「軟」
君が込めた愛の分だけ軟らかくとろとろになった中華粥
6/16 題「ウインク」
「ウインクもできるんだよ」と両の眼をぱちぱち自慢げに閉じる子
6/17 題「マラ」
ソシャゲを何度もリセマラするように気軽に人生やり直したい
6/18 題「喪」
よそ行きのドレスを断捨離してできた隙間に入るおニューの喪服
うたの日に出した短歌72
6/4 題「虫」
いつの間にか虫が触れなくなって寝ても疲れが取れなくなって
6/5 題「向」
一面の向日葵畑 ミステリーサークル作る親父のカンカン帽
6/6 題「「六」を三回詠み込んで」
6月6日の6時に産まれた子 可愛らしいね 天使みたいね
6/7 題「運」
誕生月占い 今日の運勢は結局あたしのメンタル次第
6/8 題「トンネル/隧道」
しまむらで買った黒T 砂場ではトンネル開通工事中
うたの日に出した短歌68
5/15 題「屑」
見習いの鉋屑に似た分厚さの鰹節 じわり旨味が溶ける
5/16 題「素晴」
いつ何時死神が来てもいいように毎日を素晴らしき日にする
5/17 題「弥勒菩薩」
56億7000万年後なんて言わず今すぐ迎えに来てよ
5/18 題「月」
貴方との新婚旅行は月の裏 死の湖をスキップで行く
5/19 題「自転車」
ペラペラのスクールバッグをくくってた荷台に乗せるチャイルドシート
うたの日に出した短歌67
5/10 題「忙」
目黒では季節外れの雹が降り目黒にいながら気づかずにいる
5/11 題「泥」
夏休みに子が磨いた泥団子 綺麗な順に靴箱に並ぶ
5/12 題「自由詠」
人生の残り時間を考えてどこからがアディショナルタイム
5/13 題「自由詠」
週末に楽しい予定を詰め込んで平日は長い助走の期間
5/14 題「経」
せんべいの輪ゴムが経年劣化してちょうちょ結びで誤魔化している
うたの日に出した短歌65
4/30 題「金」
夕陽を受け黄金に光るレモネード 甘酸っぱくてちょっぴり苦い
5/1 題「雨」
ビニ傘がぱちぱち弾く雨粒のひとつひとつが苦しみの種
5/2 題「コロッケ」
里帰り 揚げ物なんて久々、とコロッケ揚げる母の背中
5/3 題「凸凹/凹凸」
いつの間に心はこんなに凸凹でプチプチシートで包んで運ぶ
5/4 題「有」
せっかくの有給なのでできるだけ省エネモードで過ごす日中
うたの日に出した短歌64
4/25 題「エプロン」
エプロンで防げたはずのミートソース 点々と描く北斗七星
4/26 題「メタ」
遠くの空に黒い線を見つけてXとYだけになってく
4/27 題「マンモス」
先祖たちが勝って私はここにいる 上野でマンモス見ながら思う
4/28 題「禅」
禅寺のように静かなこの部署で肩を叩かれないよう生きる
4/29 題「芽」
今春も芽吹かなかった花たちへそぼ降る雨の露のきらめき
うたの日に出した短歌63
4/20 題「聡」
女の子はちょっと馬鹿なくらいがいい 聡いあの子は遠くを見つめる
4/21 題「沈」
物憂げな気持ちを誘う沈丁花 赤い蕾を口に放る
4/22 題「たらこ」
幾万の命になるはずだったものをパスタに絡めて巻き取っていく
4/23 題「茹」
鍋の中茹だった卵 あなたの分だけを先に静かに掬う
4/24 題「板」
ちゃんとした表札が出来るまでの繋ぎだったはずのかまぼこの板
うたの日に出した短歌62
4/15 題「黄」
zoom会議 怖い課長の背後からカワイイネと鳴く背黄青鸚哥
4/16 題「泣」
泣いたって何も好転しないけどただ泣きたくて泣く夜はある
4/17 題「食」
部屋でひとり 両の手のひらで食パンを薄っぺたく潰して食べる
4/18 題「啼/鳴」
何処からか鶯の啼き声がして桜の蕾が膨らんでゆく
4/19 題「定」
教室の隅 渡辺が金属の定規で奏でる大地讃頌