#56.新しい旅立ちの幸運を祈って／Camila Cabello - GODSPEED
おはようございます。唐突ですが、化学という科目は残念ながらわたしにまったく向いていなかった。今でも向いてないと思う。その一方で、知らないところで化学にはお世話になっていることも事実。
この化学にはアボガドロ定数なるものがあって、高校の化学の最初の方に出てきたような気がする。気がすると書いたのは、当時から化学の科目はあまりにもわたしには向いてなさすぎて、このあたりで化学を完全に諦めたことだけは覚えているから。
このアボガドロ定数とは、物質量 1 mol を構成する粒子（分子、原子、イオンなど）の個数を示す定数らしいんだけど、そもそもモルってなんだ？ 状態。モルモットが車になったアニメっぽい呼び名だけど、どう考えても教科書にそんなのは出てこなかったよね。
今日10月23日は化学の日であり、モルの日。この日を含む一週間は化学週間というけれど、化学の関係者はハロウィン並みにお祭り騒ぎをするのかな。酸素の仮装と言って、酸素原子が二個結合した姿を、みたいな。
出会いがあれば別れがあります。別れというのは基本的に悲しくて切ないもの。
ひとくちに「別れ」と言っても、さまざまなかたちの別れがあります。たとえば離婚や恋人との別れ。あるいは友達が遠くに引っ越しちゃうとか、学校なら卒業式とかクラス替え、会社なら退職や転勤などなど。別れの機会はたくさんありますね。
そんな別れは悲しくさびしいものだけど、これで関係が切れたとせいせいすることもある。さらには新しい旅立ちを祝福する気持ちを抱くこともある。相手とのそれまでの関係で、人が抱く感情はさまざまに変わります。
だから、ひとくちで恋人と別れると言っても、とんでもなくひどいケンカの末の別れもあれば、話し合いの末に互いに納得して別れることもある。あるいは、すっきりと互いのこれからの幸運を祈って別れることもないわけじゃない。数は少ないかもしれないけど。
恋人同士でも、あるいは夫婦でも、別れを決断するまでにはそれこそさまざまな葛藤や衝突があったはず。それで互いに相手に対する不信感や憎悪をたぎらせて、ケンカ別れするパターンはそれなりに多い気がします。小説やドラマにも多く描かれているように。
そういうときには、別れ際にとんでもない言葉をぶつけたり、あるいはぶつけられたりで、徹底的に傷ついて別れてしまう。そんなことまで言わなくてもいいだろう、みたいな言葉をぶつけた方もぶつけられた方もそりゃいい気はしない。
相手から傷つけられた言葉は、あとあとまで記憶に残ってふとした瞬間に頭に浮かんでしまうのが、これはもうなんとも言えない感じのイヤな気分になりますね。ある種のトラウマになるような。
けど、そういうときは自分もひょっとしたら同じような言葉を誰かに投げかけたかもしれないなと思って、心を落ち着かせるしかない。「人のふり見て我がふり直せ」じゃないけど。
ところで、さっきもちょっと書いたけど、恋人同士（あるいは夫婦）でたくさんの葛藤を抱えて、いくつもの衝突を繰り返しても、それでも最終的に互いが納得して、相手の今後の幸運を願って別れるパターンも、ぜんぜんないとは言えない。
そんなときでも心の中には嵐が吹き荒れていて、いまにも荒れ狂う海の底に引きずり込まれそうな心理状態にあるかもしれない。それでも、そんな感情は顔に出さずに、相手の幸運を祈ると言えるくらいの人は、精神的にある程度の大人みたいなもの。
Camila Cabelloの"GODSPEED"もまた、別れゆく人に幸運を祈る曲です。けど、今にも沈み込んでしまいそうな海に漂い、もがいている姿は、心の中に吹き荒れる嵐を表現しているようでもあります。
Camila Cabello - GODSPEED (Official Music Video)
"godspeed"を直訳すれば「神のスピード」。けど、この"speed"には幸運とか成功の意味も込められているとのこと。
つまりは、これからどこかへと旅立つ人へ「旅の幸運を祈る」、「神のご加護を」と告げる決まり文句みたいなものらしい。"good luck"とか"bon voyage"みたいな言葉の仲間。友達との別れを始め、会社や学校で良好な関係を築いていた人との別れに使えそうです。
別れを言い換えるとそれは新たな旅立ちでもあります。相手にとっても、そして自分にとっても。今までの関係性から自由に解き放たれ、また新しい旅路を進みながら新しい人間関係を紡いでいく。そんなときに、"godspeed"とはぴったりの言葉なんじゃないかなあ。
繰り返しになるけど、たとえひどいケンカ別れした恋人に、最後の最後にあなたの今後の幸運を祈っていることを伝えられる人は大人です。たとえ、心の中で「神が助走つけたスピードでコイツをひどい目に遭わせないかな」と思っていたとしても。
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