#22.また少しだけ希望を抱いて/Kendrick Lamar - Die Hard(ft. Blxst & Amanda Reifer)

おはようございます。腰を落ち着けて小説を書きたいんだけど、なかなか慌ただしい日々を過ごしています。このあいだの三連休もそれなりに慌ただしく終わってしまったし。まあしょうがない。人間なんでも思いどおりにはいかないからね。

というわけで、今朝は旧作、2022年12月14日にX(旧Twitter)に流したツイートの大幅加筆修正板になります。


当たり前の話だけど、人間なら誰しもが自分なりの後悔や反省を抱えていると言い切っていいと思います。

後悔や反省、つまりは自分自身の過去の言葉や行動を振り返ってみて、「あのときの自分は間違っていたな」とか、「あんな言葉なんて言わなきゃよかったな」とか、「もう少し他にやり方があったのにな」みたいに省みること。

仕事や家事、あるいは学校といった場所のさまざまな人間関係の中で、いろんな衝突や行き違いみたいなものが生まれるのはしょうがない。人間、毎日が後悔と反省の日々だと言ってもいいんじゃないかな。

ただ、後悔と反省を抱いても、それを直視できるかということと、直視してもその後悔や反省を次に活かせるかとなると、これもまた難しい話。だから、小説の執筆にも後悔や反省は必要だけど、ちゃんと後悔と反省ができて、次の作品にそれを活かすとなると……。

これは人間関係においてもそうですね。たとえば、自分ではそうするつもりがなくても、誰かを傷つけてしまったことは多くの人にあるかと思います。時に深く取り返しもつかないくらいに。そして関係の修復もできないくらいに。

人はそういったときに深い後悔と反省を抱くものだし、誰かを傷つけたそういった後悔や反省に同時につきまとうのは、ある種の罪悪感。そういった罪悪感って、けっこういつまでも長く消えないものです。ひょっとしたらその人の人生の針路を左右するくらいに。

しかも直接的に傷つけた誰かに対してだけに罪悪感を抱くのではなく、それ以外の人々と接するときにも後ろめたさみたいなものを感じて、その相手との距離を縮めるのを躊躇ってしまうこともある。

もっと具体的にいうと、深く愛した恋人やパートナーを自分の無意識的な振る舞いやちょっとした間違いで深く傷つけてしまい、二人の関係を修復できないまま別れた。その後に新しい恋人や気になる人ができたけど、その過去のせいで一歩踏み出せない、みたいな。

それでも人は生きていかなきゃいけない。それも一生懸命に。ということで、Kendrick Lamarの"Die Hard (ft. Blxst & Amanda Reifer)"は、罪悪感が漂う一曲。

Kendrick Lamar - Die Hard ft. Blxst & Amanda Reifer (Official Audio)

"Die Hard"には「一生懸命に生きる」との意味がありますね。この曲を聴きながら、この曲のタイトルに使われている"Die Hard"の意味を考えると、そこには「傷だらけでも、痛みを抱えながらでも懸命に生きる」みたいな雰囲気が漂っています。

傷や痛みも偶然にどこかからやってきたものではなく、過去の自分が犯した間違いから来たものであるような雰囲気が漂うからこそ、新たな恋人や大切な人に自分の弱さを打ち明けたときに、相手が自分を受け入れてくれるかどうか不安を抱いてしまう、そんな内容。

繰り返しになるけど、わたしたち人間は誰もが純粋無垢な存在ではなく、大なり小なり罪を犯してしまいす。それは刑事罰を受けるような罪ではないにせよ、自分の弱さや臆病さから犯した罪を。

たとえばそれはちょっとした嘘をついたり、誰にも言えない邪悪な気持ちを抱えたり、意図せず誰かを傷つけたりなど。そんな罪が積もってやがて罪悪感を伴った痛みや傷になる。それがその後の人生の針路にやっぱり影響を与えるんじゃないかな。良くも悪くもね。

ところで、"Die Hard"という言葉には、習慣や信仰などがなかなか抜けない、容易に滅びないとの意味もあるようです。

いくら過去の傷や痛みによる後悔と反省を抱えていても、やっぱりまた同じ間違いを繰り返してしまうんじゃないか。自分の間違いは容易に消えないんじゃないか。そんな恐れを抱くからこそ、相手がそんな自分を受け入れてくれるかどうか不安に陥る。

そう考えると、"Die Hard"という言葉、そしてこの曲のタイトルに使った意味が複雑に思えてきます。

人間は一面的にはいかない。だからこそ、過去の傷や痛みを抱えたまま、醜くなりながらでも生きるしかないんだといった悲壮感や覚悟、あるいは諦めも抱く。この曲にはそんな雰囲気が漂っています。

それは矛盾のようにも思えるんだけど、それもまた人間。そんな悲壮感や覚悟の中からでも、また少しだけ希望を抱いて新しい一歩を踏み出すしかないからね。


※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。


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