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#15.長距離走者の孤独/FOALS - The Runner

おはようございます。また台風と猛暑がやってきました。水分や塩分の補給が欠かせない日々ですね。そんな真夏にランニングを趣味にしている人はどうしてるんだろう。真夜中とか早朝に走るのかな。というわけで、今朝は走ることについての一曲。新作です。


マラソンのような長距離を走ることを好む人がいますね。長い距離を走ることに喜びを見出す人はたくさんいます。各地で開催される市民マラソンも盛況だから、長い距離を走るのが流行しているのでしょう。

イギリスの小説家アラン・シリトーに『長距離走者の孤独』という短編小説があります。これは労働者階級の母子家庭に生まれた不良少年スミスの話。スミスは盗みなどを繰り返し、感化院に送られますが、そこで長距離走の才能を見出される、という話。

スミスは最終的に大人の思惑に反抗します。この反抗の姿勢は大人社会への反発や若者の怒りを描いているものと解説されています。

わたしは個人的に長距離を走ることは個人の孤独な内省にも近い行為のような気がします。長距離を走る苦しみを感じるのは走っている本人だけのものですし、その苦しみの中で自分自身を顧みるようなことだって起きるんじゃないかなとも思うけどどうなんだろう。

とにかく、走ることはまさに個人的な営為であり、そこに大人や他人の思惑が入り込む余地はない。だから『長距離走者の孤独』の主人公スミスも最後に反抗的な態度をとったのではないかな。

さて、この『長距離走者の孤独』、原題は"The Loneliness of the Long-Distance Runner"と言います。このフレーズを曲の中で繰り返すのが、FOALSの"The Runner"。

FOALS - The Runner [Official Music Video]

自分がどれだけ倒れようとも走り続けるんだといった決意や覚悟を歌っています。歌詞の中には、影が自分の近くに忍び寄るというフレーズもあるので、自分を倒すのは外からやってくる存在だけではなく、自分の内側にもあることも同時に示しています。

わたしたちは影という存在を普段から意識することはありませんが、影は常に自分につきまとっていて自分から離れることはない。

光に対しての影というように、影は悪しきものとしても捉えると、「影」なる悪しきものは自分に常につきまとっている。どれだけ遠くへ走ろうとも常に自分とともにある。そんなふうにも考えられます。

そんな事実を確認しながらも、その影に対処するのは自分しかいない。自分の抱える影と戦うのは自分ひとりだけの孤独な営為。だからこそ曲の中で「長距離走者の孤独」、"The Loneliness of the Long-Distance Runner"と繰り返すのでしょう。

上記の公式PVの中では、もうひとりの自分と戦う姿が繰り返し出てきます。自分自身との戦い、自分の抱える悪しきものとの戦い。そういった戦いは自分ひとりで対処しなければいけない孤独な営為だと示していますね。

そしてそれは長距離を走る行為に重ねた人間の生き方や人生の課題だとも考えることができるのかもしれません。だからこそ、自分は自分だけのゴールを目指して走り続ける。そんな覚悟と決意が伝わってくる一曲です。


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