#24.理由なく重力に逆らって/Van Halen - Jump

おはようございます。10月もすっかり下旬ですね。今年はもう二ヶ月しかないと考えるか、それともまだ二ヶ月もあると考えるかで、その人の人間性がわかる! ということもないんだろうだけどね。

いきなり余談だけど、コップの中に水が半分残っていて、これを「まだ半分残っている」と考えるか、「もう半分しかない」と考えるか、みたいな思考実験がある。たいていはビジネス的な場で使われる思考実験です。朝礼で上司が説教する場で使われます。

で、たいてい「もう半分しかない」と悲観的に考えるのは良くない、「まだ半分もある」と心を広く余裕を持って考える人間の方が偉いんだ、みたいな答えになるんだけど、そんなふうに人間性が単純に割り切れるわけないよね。

「もう半分しかない」と悲観的に考えて、それが火事場の馬鹿力みたいな力を発揮する人だっているかもしれない。締め切りギリギリに小説を書くみたいな。わたしのことじゃあないですよ、たぶん。

逆に「まだ半分もある」と考えて、『ウサギとカメ』の寓話に出てくるウサギみたいにのんびりと昼寝をしているうちに、コツコツと努力してきたカメに追い抜かれてしまう人だっていると思うしさ。

いきなり余談で始まりましたが、今朝は旧作。2023年1月11日にX(旧ツイッター)に流したツイートの大幅加筆修正版です。


大人になってジャンプしたことってどれくらいあるだろうか、みたいなことをふと考えてみました。ここのジャンプというのは文字どおり、物理的に地面から体を飛び上がらせること。考えてみれば理由なくジャンプしてみることってないものね。

わたしは最近、新しいベッドとマットレスを買ったんだけど、ふかふかのベッドの上から床へと飛び降りたら、予想以上の高さがあって、あやうくひっくり返って足を骨折したり、どこかに頭をしこたまぶつけたりするところでした。ジャンプするのも難しい。

その点、子どもは自由にぴょんぴょんジャンプして跳ねまわります。子どもと言ってももちろん年齢の低い子どもなんだけど、とにかく重力に逆らって体を空中に投げ出し、そしてまた重力の力によって体が地面に引き寄せられること自体を楽しんでいるようです。

子どもだからベッドの上から床に飛び降りるような危ないこともしてしまいそうですが。そういえばわたしが子どもの頃、近所の子どもが塀の上から飛び降りた瞬間、走ってきた車とぶつかって骨折したという出来事がありました。骨折で済んで良かったというべきか。

とにかく人間は空を飛べないけれど、重力に逆らって大きくジャンプしてみたい、空を飛んでみたいと願っていますね。それが気球や飛行船、そして飛行機やロケットまで生み出したんだから、人間の願望の力ってすごいね。

もちろん、誰もが空を飛んでみたいと願うことと、それを実現するためにいろんな装置や機械を作り出し、やがて飛行機などを生み出すことのあいだには大変な距離があるし、その距離の中で挫折を味わい、夢の実現を諦めた人が大量にいるのだと思います。

Van Halenの"Jump"は、この曲は落ち込んでいる人を鼓舞する内容。本当に欲しいものを手に入れたいのなら、そして前に進みたければジャンプするんだ、やってみなきゃわからないよね、と訴えます。

Van Halen - Jump (Official Music Video)

歌詞に出てくる"roll with the punche"という一節、これは「苦痛に耐え忍ぶ」との意味もあるけど、「柔軟に対応する」という意味もあるようです。たしかに困難や苦痛は耐え忍ぶだけじゃなく、柔軟に対応することも大事かもしれません。

理由なく重力に逆らってジャンプするみたいに、とにかくジャンプしてみることで、解決の糸口が見つかることもあるかもしれない。未知の場所に飛び出すことを恐れて、その場でとどまってしまうよりはずっといいんじゃないかな。

もちろん、思っていたところとは違う場所に着地することの方が多いかもしれないけど、それはそれで今まで困難に直面して立ち止まっている場所とは違う場所に抜け出したのだから。

理由なくジャンプして着地した場所に、たまたま車が走ってきて轢かれることもあるかもしれないけれどさ。とにかく、ジャンプしてみなくちゃどう転ぶかもわからないし、未知の場所に恐れをなしてその場にとどまっているよりは、とも思うけどなあ。

『ウサギとカメ』に出てくるウサギもカメもその場にとどまっていたわけじゃないし。ウサギだって余裕綽々で昼寝なんかしてちゃいけないって痛感しただろうし、カメだってコツコツと努力してればいつかウサギを追い抜けると知ったんだしさ。


※ひつじのはなし|Good Morning! Musicは、水月羊(the Maverick Black Sheep)が大胆不敵にも音楽(主に洋楽)エッセイを書こうという目論見と試みです。洋楽の曲を聞いての感想や解釈のエッセイ、コラムとなります。気になった曲の歌詞の意味はそれぞれ訳してみてください。また違った見方ができるかもしれません。


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