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Preventing and Neutralizing the Escalation of Workplace Bullying:the Role of Conflict Management Climate

概要

職場のいじめは、心理社会的ストレッサーによって生起し、エスカレートする葛藤への管理的な介入や、組織として公平で頑健な葛藤のマネージメントがなければ、心理社会的ストレッサー徐々にエスカレートする。葛藤を管理する風潮が職場いじめのエスカレーションを緩和するか明らかにするため、1197名を対象に2度の質問紙調査を行った。T2のいじめはT1のいじめにより大部分が説明されたが、それは葛藤を管理する風潮を弱いと感じている場合のみであった。

問題と目的

  • いじめは対人葛藤のエスカレートによって生じ、敵対的雰囲気と葛藤に介入するリーダーシップの欠如により醸成される

  • 早期の介入によりいじめを防ぎうる

  • いじめは様々な攻撃的要素があるが、一般的には、恐怖、屈辱、邪魔を与えるような社会的排斥を含む

  • そして一般的にはいじめはただの対人葛藤から始まりエスカレートしてゆく

葛藤マネージメントの風潮の役割

  • Heinz Leymann (1996) の理論に基づいて以下の議論が行われる

  • 第一ステージはほかの葛藤と同じようなただの対人関係の問題

  • 第二ステージは、継続的な批判、屈辱、中傷、社会的孤立、極端な場合には暴力にさらされる

  • 第三ステージは、いじめは公のものになり、もし介入に失敗したりそれが遅ければ、よりいじめは深刻化する

  • 第四ステージはトラウマの発生と職場から追い出される段階である

  • したがって組織はより早期にいじめをとめなければならない

  • 実際に、ベースラインでの対人葛藤は、自由放任主義的なマネージメント下において2年後のいじめを予測した

  • これに対し、葛藤をマネージメントする風潮は、早期に対人葛藤のエスカレーションを組織として頑健に防ぐという理論である

  • 実際に、チームメンバーの葛藤をマネージメントする風潮は、仕事の要求を緩和していじめを予防する

  • また、エンゲージメントの低下といじめの関連を弱めるだけではなく、いじめの発生そのものを防いだ

上記のCMC (Conflict Management Climate) は、個人の葛藤対処方略やコーピングではなく、組織が対人葛藤を適切に対処する能力があるとの信頼である

  • 他方、関連のある概念として、psychosocial safety climate PSC)がある

  • PSCは4年後のいじめの発生率を低下させる

  • PSCは組織が従業員の健康と安全を守ってくれるという感覚である

  • オープンなコミュニケーションと信頼がPSCの要素である

  • CMCはPSCのサブカテゴリーであり、より強くいじめと関連するものであると予想される

  • 本研究は以下のモデルを検証する

方法

  • ベースライン調査に参加した1459名 (回答率32%) は1年後にフォローアップされ、1197名が回答した (回答率80%、すさまじい)

  • 平均年齢45.20歳 (SD=9.98)、女性52.1%、フルタイム90.1%、マネージャー・スーパーバイザー34.7%

測定内容

NAQ-S
CMC 
年齢、性別、リーダーシップステータス (配下・上司)

分析方法

SEM (RMSEA,TLI,CFI,RMSEA)

結果

測定尺度の3因子構造が示唆された (NAQ-T1,NAQ-T2,CMC)
インタラクションタームを加えないモデルで67%を説明した

インタラクションタームは有意であり、CMCが低いときのみT1のいじめがT2のいじめを予測した

限界

回収率32%を問題視している
サンプルが偏りすぎているとの指摘

文献

  1. Hamre, K. V., Fauske, M. R., Reknes, I., Nielsen, M. B., Gjerstad, J., & Einarsen, S. V. (2022). Preventing and neutralizing the escalation of workplace bullying: The role of conflict management climate. International journal of bullying prevention, 4(4), 255-265. (このノート)

  2. Leymann, H. (1996). The content and development of mobbing at work. European Journal of Work and Organizational Psychology, 5, 165– 184. (職場いじめの理論)

Appendix1 CMC (Conflict Management Climate)

  1. If I have a serious disagreement with someone at work, I know who I should talk to about it.

  2. Theway we deal with disagreements between employees in my unit works well.

  3. My superiors deal with conficts in a good manner.

  4. We have good procedures and methods for raising disagreements and conficts in my workplace.

  • Response options were given on a Likert scale from 1 (disagree) to 5 (strongly agree).

  • Thus, a high score would be an indicator of a perceived strong confict management climate.

  • CMC was measured at T2. The internal consistency was 0.88 as estimated with Cronbach’s alpha, far above acceptable limits.

感想

前向き研究は素晴らしいが
最初のリクルートが対象を反映しているかが重要

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