【小説】何かを忘れた夏の日に
久しぶりに、友人と会った。
あれから、既にもう3ヶ月が経っているらしい。
事の発端は、帰りのいつもの道でとある友人を見かけたことだった。
遅い時間───とは言ってもまだ日が暮れる前だが───にはあまり出かけたくないと言っていた彼が、自転車を漕いでいる。それもそうか、彼は就職したんだった。
できれば会いたくない、なんて自分勝手なことを思っていた。そんな私が嫌で、警鐘を鳴らす脳内を無視して彼の方へ近づいた。
「久しぶり。私のこと、覚えてる?」
「──────」
彼が何かを言った