むき出しの純情と桃について
熱を帯びた桃
先日、旅先で出会ったお兄さんに桃をもらった。旅行先で買ったものを誰かにあげるのが趣味らしく、好きでもない果物を買っては贈っているとのことだった。今回は私がその果物を引き受ける流れとなり、半ば強引に押し付けられたビニール袋を抱えて電車に揺られ、一日中片手を塞がれ、改札を通ることに二度失敗して、やっとの思いで帰宅した。
ビニールの中の桃は大変に熱を帯びていて熱かった。それもそのはずである。猛暑日、かんかん照りの日中に外を連れ回されたのだから。歩き回ってずっしり重く