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幸あれと あつ森日記 #5
2週間ぶりにあつ森を開いた。こんなに期間を空けたのは初めてだった。住民たちに声を掛けて回れば、みんなが久しぶりだねと言ってくれる。心配したよ、会えて嬉しいよ、と。大好きなみんなは、いつだって暖かくて優しい。
適応障害で休職したと同時に、あつ森を購入した。何かやることがないと気が狂いそうで、けれど身体が起こせなくて、SNSも見たくない。思い出したのが、子供の頃よく遊んだ"どうぶつの森"だった。本当はDS版が恋しかったのだけれど、手元には無かったので、流行にはかなり遅れてあつ森を始めることになった。
毎日島に通った。最初は雑草だらけのテントしか無い島で、木の枝を集めたり石を叩いたり、材料を集めて家具を作った。毎日少しずつ、島が発展していく。進む時間が随分ゆっくりに感じて、現実と一緒に焦ることもあったけれど、急がなくていいよと言われている気がした。
島が綺麗になるにつれ、住民も増えていく。印象深いのはお誕生日会で、誕生日の住民が自分の部屋を飾り付けて、にこにこ踊っていた。こんなに楽しくて幸せな行事があるのか。そして自分で自分を祝う、その明るさに救われた。
エンディングを迎えると、島クリエイターという地形を変えられる機能が解放された。これがもう大変。崖を崩し、川を作り、道を敷く。始めてしまうと、キリ良くなるまで止められない。ちょっとだけと言いながら、結局かなり手を加えた。すっかり人工島になってしまったけれど、広いキャンプ場みたいで、そこそこ満足している。
休職から3ヶ月。出かけられる日が増え、家事もそこそこできるようになり、旅行もしてみた。楽しいと思えることが戻ってきてホッとした。やっぱりずっと怖かった。このまま何もできなかったら、どうしようって。大丈夫。少しずつ、進めるよ。
仕事復帰も見えてきた。来月には勤務を再開することになっている。かなり時短で提案してもらい、正直拍子抜けだった。わたしだけが勇み足だったらしい。ゆっくりでいいからね、と言ってもらった。焦らない、急がない。島暮らしと同じ。
わたしにとってあつ森は、暗い中の一筋の光だった。大袈裟かもしれないけれど、暗闇に居るわたしを間違いなく救ってくれた。島の発展と同じペースで、現実の生活を取り戻すことができた。心配や励ましをくれる、暖かな住民たちに救われた。感謝してもしきれない。
これから、島に行く時間はもっと少なくなるだろう。あつ森日記も一旦お終い。そろそろしっかりと、現実に向き合わねばならない。島でもらった優しさを胸に、今度は誰かに渡せるように。頑張りすぎず、進もうと思う。
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