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【ライブレポート】2024.01.19 おいしくるメロンパン 「answer tour – 結ぶリボンの方程式 -」LINE CUBE SHIBUYA

 7thミニアルバム『answer』を引っ提げ、2023年上旬から始まった全国ツアーのファイナル公演がLINE CUBE SHIBUYAで行われた。初のホールワンマンにしてソールドアウト!『answer』の締めくくりに、どんな"答え"を出すのか、とても楽しみだった。美しい世界のひとつの結末を見られる気がして。

セットリスト
1.斜陽
2.命日
3.caramell city
4.夜顔
5.マテリアル
6.水びたしの国
7.亡き王女のための水域
8.波打ち際のマーチ
9.シンメトリー
10.シュガーサーフ
11.look at the sea
12.走馬灯
13.garuda
14.Utopia
15.dry flower
16.あの秋とスクールデイズ
17.ベルベット
18.色水

en1.砂の王女(新曲)
en2.五つ目の季節(新曲)
en3.5月の呪い

公式Xより引用 https://x.com/oisiclemelonpan/status/1748324229341471183?s=46&t=PXYtLowwC4D6zxQyCh3dQg

 はじまりは「斜陽」から。「信じてみたいんだ ひとつを ひとつの僕で」という歌詞は、バラバラになりそうな自分をそっと繋いでくれる気がする。橙色に照らされる舞台が、夕焼けのようで美しい。2曲目の「命日」は、夕暮れから夜に沈んでいくような寂しさ冷たさを感じさせ、そのあと少し浮上するように「Caramell City」「夜顔」と続く。

 5曲目「マテリアル」から「水びたしの国」への繋ぎが本当に綺麗で!ちゃぽんと水の中に沈んでいくような錯覚、けれど決して息苦しくなく。キラキラと涼やかな小さな国へと誘われ、そのまま「亡き王女のための水域」に。この曲はスネアドラムが印象的で、粒の揃ったスネアの音は規律や厳格さを表しているようだった。寂しさ混じりに曲が終わり…

 次に始まったのは「波打ち際のマーチ」、前の曲と同じテンポなのに、冷たかったスネアの音が途端に暖かくなる。深海から波打ち際に上がってきたようで、鳥肌が立つ。地面に置かれたミラーボールが水面に反射する光を作っていて、あまりの美しさに大泣きしたくなる。

 マーチの楽しい雰囲気をそのままに、最新曲の「シンメトリー」へ。背景のスクリーンが栞のように飾られ、「水色の感情を 水色のまま あげたくて」という歌詞では、キャンバスに水色の絵の具を塗り広げるようなシーンが映し出された。

 ここでひとつお話が終わったように、長めのMC。初のホールワンマンということで1階〜!2階〜!とやってみる原さん、MCになると途端に緩くておもしろい。みんな満席になったホールを見て感慨深そうな様子で、そんな空間に居られてよかった。

 MC後の「シュガーサーフ」「look at the sea」は、アップテンポなライブ定番の曲。客席もみんな手を挙げて爽やかに走り抜けたら、「走馬灯」「garuda」は一転して影が落ち、「Utopia」「dry flower」「あの秋とスクールデイズ」「ベルベット」と、四季を巡るように進んでいく。

 最後はいちばん人気曲の「色水」で締めくくり。おいしくるメロンパンらしく、のびやかにキラキラと、少しだけしんみりと、終わる。

 アンコールは新曲が2曲と、「5月の呪い」が演奏された。次のツアーが発表され、タイトルは「春夏秋冬レイトショー」、全国27箇所を回る。今回の後半の曲が四季をイメージしているようだったのは、この示唆だったかもしれない。

 おいしくるメロンパンのライブは、短編映画でも見たような気分になる。国や王女といったモチーフがあるように、曲単体にも物語が散らばっているが、それがライブで集約されることで、また違った表情が見える。何より照明の演出が素晴らしい。夕焼けを見たかと思えば、深海に沈み、波打ち際に連れ出される。海や自然、季節といったテーマがあるのは曲を聴けば当然分かるのだけれど、その世界観を一緒に旅するような、没入感を与えてくれる。

 爽やかな曲調に反して、ベースが重たく響くこともライブの良さだし、個人的にはシンバルが5枚くらいあるドラムの演奏も楽しい。バンドのライブでマレットが出てくるのを初めて見た。3人とは思えない音の厚みと、のびやかな歌声、ライブでしか感じられないものが多すぎる。

 『answer』ツアーの答えはきっと、物語はまだまだ先へ続いていくということ。新しい曲が生まれ、今年もライブを重ね、最後にはTOKYO DOME CITY HALLが待ち受ける。ワンマンとしては最大規模で、一体どんな景色が見えるのか。

 どんどん大きく、そして遠くに世界は広がる。少し寂しい気もするけれど、彼らの紡ぐ物語の続きを楽しみにしている。

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