#5 1日1映画『ダラス・バイヤーズ・クラブ』エイズに抗うカウボーイの実話

 今年観た映画が100を超えました。観るだけで終わるのはもったいなく感じてきたので自分自身で映画の内容を整理して、考察や感想をnoteに残して行こうと思います。第5回は、ジャン=マルク・ヴァレ監督の映画です。昨日紹介した『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』もこの方が監督を監督を務めています。

『ダラス・バイヤーズ・クラブ』

 エイズへの偏見が強かった1980年代を生きたロン・ウッドルーフ。テキサス州ダラス地区で販売している新聞「ダラス・モーニングニュース」で掲載された、彼の記事を元にした映画。 主演はマシュー・マコノヒー。この映画のために21キロもの減量をして挑んだそう。弱々しいその体と演技は、彼が本当にエイズに罹っているかと思う程迫真あるものでした。

あらすじ

 電気技師でロデオカウボーイのロン・ウッドルーフはある日、医者にHIV陽性、「余命30日」であることを告げられる。1980年代当時、世界ではエイズはゲイがなるものという偏見が強かったため、ロンも初めは診断結果を疑う。しかし、HIVについて調べていくうちに男性同士の性交渉の他に異性との性交渉でも感染することを知り、無類の女好きであった彼は自分の感染が事実だと認識する。ロンはなんとしても生き残るため認可されていない薬を求め国外へ行く決意へ赴く。

HIV:Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)
ヒトを病原菌から守る細胞に感染し、免疫力を下げるウイルスです。
エイズ:Acquired Immuno-DeficiencySyndrome(後天性免疫不全症候群)
HIVにより免疫力が下がり、普段はかからないような様々な病気を発症した状態のこと。

生へしがみつく

 HIV陽性、余命30日の男ロン。残された時間が僅かしかない男がとった行動はHIVに関して徹底的に調べることでした。HIVへの理解を深めた彼は、アメリカで承認されている薬には毒性があり、製薬会社と医師会が儲かるだけであると知ります。事実を知ったロンはHIVに効果のある薬を求め国外へ。手に入れたアメリカで未承認の薬を自分の体に投与し、余命30日の壁を乗り越えるのです。容体が良くなったロンは、同じくエイズに苦しむ患者の為、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」というを立ち上げます。認証されていない薬をアメリカで売買することはもちろん禁止されているため、会員を募り会費と引き換えに薬を無料配布するという仕組みで巧みに商売を行うのです。一度は死にかけた人間が薬で大金を稼ぎ、またHIV患者たちとっての希望となったのです。彼の活動により結果としてHIVの研究は大幅に早まり、革命家として利権とも戦ったロンの姿に胸を打たれます。

死ぬのはこわい?

日常生活において死について考えることは稀でしょう。ただ死について考えることは逆説的に生について考えることと言えます。
ラテン語にメメント・モリ(memento mori)という言葉があります。意味は「いつか必ず死ぬことを忘れるな」
余命30日と告げられても生にしがみ付いたロン・ウッドルーフからは、確かな熱量を感じ、今を生きる大切さを教えてくれます。


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