【長編小説】 きっとここにしかない喫茶店で(7)
第六話はこちらです。
第七話
春が本格的にやって来た。桜が一斉に咲き、そして夢であったかのように散っていった。夜はまだ寒さが抜け切らないが、昼間はお日様が気持ち良い。街を歩いてみると早咲きのツツジが花をつけている。やっと暖かい季節になったのだ。
自然はそんな風に移り変わっているが、ミカは最近ため息が多い。来る日も来る日もある人のことを考えてしまっている。
あの時、相談屋の男——若苗凪——との関係についてミカに質問されたマスターは、刹那の逡巡ののちに答えた。
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