見出し画像

HERO《翠曜日》vol.29

先日、大学1.2年生メインのダンス公演があった。250人以上が参加し、普段は様々な大学のサークルでそれぞれ活躍するみんなが、一同に会して作り上げる公演だった。
振付は大人のダンスインストラクターさんによるもので、指導もハイレベル。とにかく刺激的だった。

私はかれこれ10年近くダンスをやっていることになる。ピアノは1年しかやらなかったのに。
人生で1番続いていることだし、人生で1番熱を注いでいる。
それでも尚、自分の踊りには目も当てられないと思っているし、たまーにええやん今日の自分って思う日もある。

つくづく、思う。
自分は才能がない方ではないが、別にある方でもないんだと。
ダンスに勝ち負けは無いが、「勝てねぇーー」と思うことが何度も何度もあって、あと10cm遠くの軌道を通って腕を回すことも、あと2cm分つま先を伸ばすことも、あと1秒長く空中に居ることも、あと0.01秒音に合わせることも、弛まぬ基礎の積み重ねと意識的な努力が必要なのだと。
20歳も終盤戦になってきたが、この歳になると幼い頃からバレエをやってきたような子はほぼ20年踊っていたりする。「いやあの子はダンス歴長いし」とそこだけで諦めるような性分ではない。相手がどんな立場の人であれ「なんか頑張れば追いつけるような気がしてる」のテンションで生きている。舞台に乗っている時は、誰のダンス歴が何年かなんて名札を付けている訳じゃないのだから、あわよくば「より魅力的」に写りたい。…だけど、色んなナンバーで輝く人たちを見て、その背景を聞いたりすると、日々積み重ねた20年分の基礎に気軽に太刀打ちしようだなんて、あまい考えなのだと改めて理解し始める。

同時に、今年ダンスを始めた人が1年でありえないセンスと努力によって輝いているのを見て、時間だけじゃないな…と思いもする。私のようなシロウト目で見ても、確かに粗を感じることはあるのだけど、そんなことよりも目を惹く踊りをする人はいて、逆に上手くてもあんまり目立たないような人もいて、ダンスは個性の出る場所だなと感じる。


今回の公演は、オーディションMがあった。
選考を抜けたメンバーのみで構成されるハイレベルナンバー。

幸運にも参加させてもらって、大袈裟かもしれないが、私の人生の大事な大事な作品になった。

なにがなんでもダンススキルを上げる。

これを目標に挑んだこの公演、このナンバー。
毎回練習ブッチを悩むほどに緊張感もあったけど笑、毎回行ってよかったと思えるほど成長できるリハだった。上手だしそれ故にいろんな話が早いし、話すと明るくて優しいメンバーたちのおかげで非常に楽しかったし、本当に出会えてよかった!
でも途中しんどくて、膝の靭帯を怪我しながら参加していたこともあって、普通にダンス人生が途切れる可能性すらあったこの期間。
今までで1番自分の踊ってる動画を見返して、ココ汚い、ココ上手くできた!、ココは𓏸𓏸みたいにもっとこうする…毎リハ全部書き出して、一応努力したと胸を張れる。こんなことしたのは初めてだつた。それほど焦っていたというのもあるし、それほどダンスを頑張らなきゃという気持ちに駆り立てられていた。

なんで踊ってるんだろう?

踊るってそもそも何?

人間誰だって身体を揺らすことはできて、それはもうれっきとしたダンスで、私は今何を極めようとしているのか?人の心を動かすダンスがしたい。だけど私如き頑張ったところでなにが起こるのか?結局は自己満で、でもそれでも頑張ると決めたからには頑張らないと、自分にも仲間にも顔向けが出来ない。

そう思って、しっかりと作品に向き合った。
この作品以外にもやるべきことはもちろん山のようにあって、色んなこと同時に考えて頭がパンクしそうになったし、既に人様に色んな手助けをしてもらって成り立っている。
私に出来ることは堂々とすること!

「どんと構えてにこにこしている」人になりたいと大口叩いてから早くも半年。

そこに近づくために挑戦した、この作品のタイトルは『HERO』

たった2ヶ月だけでも、私は自分が成長出来たと感じている。そう思えるだけの努力を多少はした。それでも私以上に努力した人はいない!と言えるレベルには持っていけなかった。隣にもっともっと努力してる相棒ちゃんがいた。
圧倒的だった。
悔しかったけど、練習量も向き合い方も何もかも私より''上''だった。そりゃ気軽に越えられないやと思った。相棒と呼んでいる彼女(大学生活のダンスをずーっと共にしている努力家の天才ダンサー・普段はナチュラルに失礼なこという天然ガール)は、初めましてのとき出た作品が同期が2人だけ、という心細い状況を乗り越えた仲だった。というわけで相棒(ダサめ)である。
オーディションナンバーの『HERO』とは別の作品にも私たちは出演していて、その練習中に通し稽古を見合いをすることになったタイミングがあった。そこで、私はあの人の踊りを見て涙が出た。本人には言っていない。
割と無機質で、上手いけど人を感動させるタイプではない踊り方をする人だなと思っていた。そしたらいつの間にか殻を破って、動きのクオリティとそこに篭もった意思で人を感動させるようなダンサーになっていた。私は追いつこうと必死である。並走したい心持ちだが、ゼーハーゼーハー。

色んな上手い人に出会っちゃって、元々大して無いダンスの自信が地の底まで行きそうになったところを、持ち前の自己肯定感でギリギリ保っている。振り覚えも悪いし、リズム感もトレーニング中だし、柔軟性やアイソレ力もギリ人並み以上?出来ないとは言わないけど程度の鈍い光って感じなんだけど、…ダンス楽しー!伝わってる?って雰囲気と、それを伝えるだけのクオリティは…欲しい……ぐっ。頑張る。

「心を動かすダンス」についてこれからも研究を重ねていきたいと思う。下手だけど、下手なりに考えることを辞めないつもり。
この作品を通して感じたことの1つなんだけど、とにかく私がなりたかったのはHEROなんじゃないかと思ってね。ヒロイン向きじゃないし、笑
堂々とにこにこと。凛としていてかっこいい、そんな人にいつも憧れている。自分がときめいたいろーーんなものを心に宿して、爆発させて、私から見えてる景色を私から見せられるようになりたーい!
誰かに届いていますように!


note形式で残すか迷った
あげることも迷った
読まないで欲しいとも思った笑

長いから途中で諦めた人がたくさんいますように

ここまで読んでくれた人は、私のヒーロー!
支えてくれてありがとう


(舞台写真)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?