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弁護士×IRキャリアのススメ

昨日のKabu Berryのyamaさんの裏IR系アドベントカレンダーへの電撃参戦(下記)に触発されて、自分も裏IR系アドベントカレンダーに電撃参戦してしまいます!!

対象者が結構限られる内容で恐縮ですが、すぐに書けそうなのがこれだったのでこれにしましたという"弁護士×IRキャリアのススメ"

ひょんなことから弁護士バックグランドからIR担当を務めることになった私ですが、振り返ってみるとこれスゴイよかったなと思うし、もっとそういう人出てきて欲しいなと思うので、
①弁護士バックグランドでIRに活きること
②でも弁護士バックグランドだと厳しいなと思ったこと
③IR経験でその後の弁護士人生に活きること
電車の移動時間で暇なので書いてみます。
なので、箸休め的にお読みいただけますと幸いですm(_ _)m


弁護士バックグランドでIRに活きること

ルールの理解に自信があるから攻められる

弁護士の真骨頂はルールへの理解だと思います。なので、仮にそれまでの弁護士経験で専門性を有していなくても、IR担当を務めるようになれば金商法や東証規則等のルールについて必要なところは法的なバックグランドがない人よりは早く解像度高く理解できるはずです。

そして、ルールを理解していることはIRを行う上で重要になると思います。なぜならルールの理解が曖昧だとどこまで話をしていいかがわからなくなり、結果としてすでに開示されている資料の内容をそのまま伝えるだけの面白みのないIRになりがちになるからです(法律家に馴染みのある話で言うと漠然不明確ゆえに萎縮効果が生じるってやつですね)。

「ここまでは伝えられる」
その確信があるからこそ、自分の言葉で噛み砕いて情熱を持って語ることができると思います。

なので、ルールの理解が重要な前提となるIRの場面で弁護士バックグランドを活きる素地があると思います。

日本語能力が活きる

連日10時間を超えて小難しい日本語と向き合って勉強して、一日7時間を超える二回試験等を潜り抜けてきた弁護士は、日本語の能力は一般的には高いと思います。

そしてIRでは、有価証券報告書や決算説明資料等で、"いかに会社の伝えたいことを誤解のないように適切に伝えるか"が問われます。

ここの"伝える"というところで日本語の能力や日本語へのこだわりが生きてくると思います。また、特にキャピタルマーケット分野をやってた人は有価証券届出書とかは馴染みのあるものだと思いますし、それをIR側視点で作成に携わってみるとまた新しい経験になると思います。

実際、弁護士に戻ってから、自分自身、ある会社の開示書類の作成に弁護士とIR経験を踏まえてサポートしたこともあります。

でも弁護士バックグランドだと厳しいなと思ったこと

スライドのデザイン力

決算説明資料をみると素晴らしいデザインに溢れてます。
「すごいなぁ、俺もこういうデザインできたらなぁ」と思うことばかりです。

翻って考えると、弁護士の作成するスライドほどひどいものはありません。
大体文字ばかりで「それワードで良くない?」と思うものばかりです。ワンスライドワンメッセージなんて概念は存在しません(すべて自分の偏見です。もちろんかっこいいスライド作れる人も中にはいるはずです、多分。)

コンサル上がりの人からは
「構造化さえしっかりできてればスライドなんてすぐできる」
と言われるし、言わんとしてることはわかるのですが、
「じゃあお前構造化で訴状書けるんか?」
と思うわけです(あ、でも書けそうな気もする)。

やはり経験があって自分の中に幾つかの思考モデルの蓄積があるから構造化からスライドに至るまでスムーズにできるところもあると思います。

事業の構造化はリーガルマインドとは違うところがあるので、弁護士バックグランドはあまり活きないような気がします。

まぁ、だからこそ新しいことが学べて楽しいのですが。

管理会計をはじめとした数字のところ

ここは弁護士は他の専門家に任せてしまいがちなところですので弁護士バックグランドはほとんど生きません。

でも、IRとしてここの部分を他の専門家から学べる経験は結構貴重だし、少なくとも法律事務所にいたらできない経験なのでこれは経験してみると良いと思います。新しい学びが色々あります。

IR経験でその後の弁護士人生にいきること

事業やビジネスモデルの理解

IRは会社のビジネスを投資家に語るのが仕事ですから、自社のビジネスはもちろん、競合他社やその業界、さらには他の業界のビジネスについても詳しくなる必要があります。

そして、このことは弁護士業務に大いに生きてきます。なぜならコミュニケーションコストがかなり低くなるからです。

ビジネス上重要なことは何か、
守りたいことは何か、
攻めたいところはどこか、
経営者として何を大事だと思っているか、
等について、ツーカーで分かると相談する側からするとすごく楽になります。

どの弁護士に相談するか、どの弁護士が評価されるかについては法律の知識・スキルが大事なのはもちろんですが、実はそれと同じくらいにビジネスや経営への理解があってコミュニケーションコストが低いことは大事になってきます。

IR経験はここに効いてくると思います。

CFOやIR担当との繋がり

法律事務所に所属する弁護士が普通に過ごしているとCFOとかと知り合う機会はそんなにはないと思います。

でも、IRの人が集まる場に来るとCFOがいっぱいいて、彼らが管理本部長を兼務して中には法務も所管してる人もいたりします。

私は現在、数百人を超えるCFO/IR担当者が所属しているIR向上委員会の運営サイドに携わっていますが、IR向上委員会の参加者に弁護士は私だけです。

以前呟いたことがありますが、弁護士の一番身近なブルーオーシャンは
「その人にとって一番コンタクトしやすい弁護士になる」
ことだと思います

なので、IRは結構ブルーオーシャンに近い気がしてます。

社外役員になりやすい

社外監査役とかに弁護士を入れたいニーズは必ずあります。
でも会社からすると、どの弁護士を入れたらいいかよくわかりません。
変な弁護士に頼むとルールルールばっかでうるさそうだし、事業理解がなさそうだし、スラックで連絡が取りづらい弁護士もいるし面倒くさそうと思われてる面もあるかもしれません。

ここで、IRをやっていたという経験は、会社の経営や企業価値向上に理解があることの一定の示唆になり得ます。また、先述の通り事業への理解も早くコミュニケーションコストが低いことも示唆されます。

さらに言えば、これから上場する会社にとっては、上場ゴールとならずに上場後も連綿と成長していくためには上場後のIRはかなり大事になってきます。

そこに上場会社でのIR経験がある人がいると心強さがあると思います。
もちろん、上場にあたっては金融業界出身者や上場企業CFOの方を社外取締役に入れたりすることが多いと思うので、弁護士でIR経験ある人が必ずしも社外監査役等として必要だとは思いません。

ですが、IRは会社のフェーズやサイズによって別種目になるのでその棲み分けから来る過去の経験に基づく価値提供がありうると思います。

おわりに

以上、電車に乗ってる40分の間にスマホでバーッと書いてみました(後でPCで体裁を整えよう)。

箸休め的に読んでいただければと思いますし、もし、弁護士でこれ見て「IRもできる会社に転職だ!」とか新しいキャリアを模索したいと思ったらぜひ弊社Lawyer’s INFOにご相談ください!(営業wなお、11月29日の良い肉の日に下記コーポレートサイトができました!)



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