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なぜ、2000年生まれのZ世代が「日本酒」で起業するのか?

はじめまして!
 この度、日本酒ブランド「Whitedrop」をリリースした、株式会社Omomukiの代表 松家 優です。

YOUTRUSTのプロフィールはこちら👇
https://youtrust.jp/users/suguru_omomuki_inc

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Whitedropのブランドサイトはこちら

初投稿ということで、よくある「なぜ〇〇で起業したのか?」という質問に対して、僕なりの回答をまとめます。

初めましての方にこの質問をされた際に、毎度うまく説明ができず「日本酒めっちゃ好きだからです!!」と答えていたのですが、自分の中で改めて考えてみると「もっと色んな要因が重なり合って、日本酒を選んだんだよなぁ」と内省することが多いです。

というのも、そもそもお酒が飲めるようになって約2年ほどしか経っていないですが、当時、高校生だった5年前から「起業するならこの領域」とざっくり方向は定めていたので、体感的には起業するまで結構な時間かかっているんですよね笑

長文になりますが、最後まで読んでもらえると幸いです。

全ては5年前から

僕が起業を志し始めたのは今から5年前、高校2年の時からでした。

その頃は何故かは覚えていませんが、起業家の伝記をよく読んでおり、特に印象的だったのは皆さんお馴染み「スティーブ・ジョブズ」の生涯を綴った本です。

図書館のおすすめ本コーナーに置いてあり、じっと僕を見つめる「スティーブ・ジョブズ」を思わず手に取ったことが全ての始まりでした。

読んでいくと、まぁ、とにかくカッコ良いんですよね笑

自分が頭に描いた理想を、周りの人から「詐欺師」「妄想」などと揶揄され、「こんなことある!?」っていう壁に立ちはだかっても絶対に諦めず、多くの人を巻き込み、一貫したビジョンのため前に進んでいく。

その姿がもうめちゃくちゃカッコ良かったんですよ笑

特に、すごいなと思ったのはスティーブの周りの人に対して発動する「現実歪曲フィールド」という謎の能力?でしたw

スティーブのとてつもないほどの強い信念、言動、行動から、周りの人が「絶対に無理」だと思っていたことが「なんだか良くわからないけど出来る気がしてきた!」となり、皆んなで本当にどうにかして成し遂げてしまうという力です。

その結果生まれたのが、IPod、IPhone、Macなど現代において最も偉大と言っても過言ではないプロダクトの数々です。

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この一連のプロセスを読んで「どうせ生きるならスティーブみたいに、とてつもないプロダクトを生み出し、社会にポジティブな影響をできる限り多く残したい」と感じました。

しかし、当時は正直「起業したいけど、何やればいいか全然わからん!!」という感じだったので、一旦「大学に入学しよう」と考えていました。

ちょうど、高校2年のその当時、卒業後の進路を考えなければいけないタイミングで、どの大学に入ろうかと悩んでいました。
どうせ大学に入るなら「起業の種になる環境に身を置きたい」と考えていたので、とりあえず「どういう環境」が「自分が理想とする起業の形」に繋がるのかを模索しました。

その当時から今まで一貫して同じなのは「グローバルという観点で、自分だからこそ、人生を捧ぐ"意味"がある市場で事業をつくる」ということです。

そういった意味で、IT領域でなにかしらサービス、プロダクトをつくるというアイデアは僕の頭から消えました。理由としては、海外の優れたエンジニアがいる中で、その領域で唯一無二の存在になれるイメージが全く湧かなかったからです。シリコンバレーの超優秀、コンピューターサイエンスの学位も持っていて英語ネイティブな凄まじく優秀な起業家に、勝てる自信が全くなかった。

そこで、逆に「グローバルという領域で自分が圧倒的に競合優位に立てて、かつ海外の人々にとって参入障壁の高い、将来有望な潜在市場はどこか?」と自分に問いました。

そんな問いに頭を悩ませていたところ、また一つ転機となる本に出会いました。「新・観光立国論」という本です。

この本は、在日イギリス人のデービット・アトキンソンさんの著書で、海外の方の視点で「いかに日本がその独自の歴史的、地理的資産を有効活用できていないのか」が説明されていました。

その内容を受け「なるほど、海外の人からは日本の長い歴史がある伝統産業、島国特有の天然資源はこれほど価値があるのか」と衝撃を受けました。

さらに、日本独自の資産を有する領域は「日本語」という言語の壁によって、海外の人からは参入障壁が非常に高く、かつエンターテイメントとして世界的に非常にポテンシャルがある領域だと理解しました。

ここで「グローバルという領域で自分が圧倒的に競合優位に立てて、かつ海外の人々にとって参入障壁の高い、将来有望な潜在市場」=「伝統産業など、日本独自の領域」と的を絞り込みました。

となれば話は早く「よし!なんか日本の伝統産業が根付いてる地方で、かつグローバル目指すんだしめっちゃ英語が出来る大学行こ!」と決め、授業が全て英語で行われる秋田県の国際教養大学を志望することを決め、山あり谷ありでなんとか入学できました。(卒業することがとてつもなく難しいとは露知らず)

大学、秋田での出会い

大学に入学してから、まずやってみようと考えていたのが「伝統産業とはなにか?」を自分の肌で感じることです。

とりあえず、自分の足で秋田県の色んな地域に出向き、さまざまな伝統産業に触れ「伝統産業とはどういった領域で、その中で自分が起業し、グローバルでも戦えそうなプロダクトは何か?」を探しました。

曲げわっぱ、漆器などの伝統工芸、地域特有の食文化、花火などのエンタメなど、実際に体験することでぼんやりしていたイメージを具体化する作業を重ねていきました。農家で民泊したり、工芸品の専門店に行って色々話を聴いたり、実際に大規模な花火大会行ってみたり、さまざまなことを通し「伝統産業とは何か、その中で自分が人生を捧げたいと思えるポイントはどこか」を行動することで考えていきました。

その中で出会ったのが「日本酒」というプロダクトです。

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当時はまだお酒が飲める年齢ではなかったので、ただひたすら酒蔵の方や米農家の方に話を聴き本を読んで勉強することしか出来ませんでしたが、直感的に「起業するなら絶対に日本酒」と感じました。

その当時は、言語化できていなかったのですが、なんとなく「日本酒はとてつもないポテンシャルを持っている」と感じていました。

今となっては、この直感が正しいと僕は自信をもって断言できます。

理由は「長い歴史がある・日本独自の特徴が多くある・エンタメとしてのポテンシャルが高い・楽しむためのハードルが低い」この4つです。

まず、日本酒の歴史は遡ること、縄文時代後期、文献が存在するのは1000年以上前に「古事記」や各地の「国風土記」などに米麹を使用した酒造りに関する情報が散見されています。この時点で、他のプロダクトとは比べ物にならないほどの「圧倒的な歴史」が眠っている。

さらに「発酵文化・四季など日本独自の季節性を重視した表現」など、海外では珍しい特徴が多くあり「グローバルにおけるエンタメとしてのポテンシャルの高さ」を感じました。

また、一番特筆すべきなのは、楽しむハードルが以上に低いということ。
ただ口に含めば楽しめるので、全世界、誰でも瞬時に楽しみ方を理解できます。

言わずもがな、世界的には全くと言っていいほど脚光を浴びていないので、潜在市場であることも理解できます。

以上の理由で、とてつもなく魅力的な市場だと僕は考えています。(他にも色々ありますが、専門的になってしまうので今回は省略)

ここで「伝統産業など、日本独自の領域」から「日本酒」へとさらに的を絞り込みました。

スタートアップ、日本酒業界での経験

とは言いつつも、2019年当時は、日本酒で起業する具体的なイメージが全く湧いていなかったのと、そもそも成人していなかったので、とりあえず20歳になるまではいわゆる「スタートアップ」という業界でインターンとして働きながら経験を積み、起業に対しての解像度を上げ、その上で日本酒という領域で何かしら経験を積んだ後、起業しようと考えていました。

そこで一度大学を休学し、都内のベンチャーでエンジニアとしてインターンを始め実務経験を1年間積んだ後、20歳になったタイミングですぐに「唎酒師」という日本酒ソムリエの資格を取得し、日本酒業界に足を踏み入れていきました。

その頃は、休学期間を終えて秋田に戻り、蔵などを巡りながら自分自身で何か立ち上げようと考えていましたが、良くも悪くもコロナウイルスが流行り始めた頃で、オンライン授業が余儀なくされてしまい結果的に都内に残ることになりました。

「さてどうしたものか?」と悩んでいた頃、偶然にもSAKETIMESの編集長、小池潤さんとランチに行く機会があり、そこで「良かったらウチの会社、Clearの新規事業部でインターンしてみない?」とお誘いいただいたのがご縁で、SAKE HUNDRED(当時はまだSAKE100だった)のインターンに応募し無事採用され、本格的に日本酒業界に足を踏み込むことになりました。

Clear、SAKE HUNDREDでの業務経験は本当に充実したものでした。

日本酒の勉強という観点では、商品開発の一環でものすごく多くの日本酒をテイスティングする機会に恵まれ、日本酒の幅広い味わいの世界を知ることができ、また、日本酒市場の現状についてもかなり深く学ぶことができました。
海外だとこれくらいの市場で、新規参入のプレイヤーがどういった動きをしていて、既存のプレイヤーが新しく何を始めたのか、など全ての動きを事細かく頭にインプットすることで、日本酒市場の構造などを深く学べたことが何より良かったです。

加えて、ビジネスの全体像を、荒くではありますが頭に叩き込む事ができたことも貴重な経験でした。

SAKEHUNDREDの僕の立ち位置は、基本的に何でもやるポジションだったので、各チームを横断しその責任者の下で働くことが多かったです。
よって、ブランドマーケはそのチームの社員さんに事細かく施策についての話を聞き、デジタルマーケはその社員さんに事細かく話を聞くなど、各チームごとの社員さんと1 on 1という形で対話を重ね、仕事を手伝うことができたことが、ビジネスを勉強するという点でとても学びになりました。

また、スタートアップならではの「0 - 1をどのように成し遂げるのか?」というポイントを、代表の生駒さんの立ち振る舞いから学ぶことが出来たのは、今考えると本当に貴重な経験でした。

口に出したことはないですが、社員さん、生駒さんとランチに行って話をするために可能な限り必ずオフィスに出社していた程です笑
このような経験を経て、実際に起業するための素養を身につけていきました。

自分と社会とのギャップに感じた悔しさ

このような形で、日本酒というものにビジネスという側面から触れることで、一つの疑問が生まれました。

「なぜ、日本酒を購入する人がこんなに少ないのだろう?」

日本酒というものに深く触れることで、このプロダクトにどれほどのポテンシャルが秘められているかを知るのと同時に、ここまで素晴らしいものをなぜ世の中の人は認知していないのか?という疑問を持ち始めました。

日本酒に対して熱狂的にお金を払うのは、製造工程の細部まで興味がある一部の日本酒マニアのみで、日本酒を購入するまで至る人はやはり少ないのが現状です。

ここで問題になるのが一般的な人々が「日本酒に対して全く興味がないことが理由で買われていないのか?」それとも「日本酒に対する購買意欲はあるけれども、何かしらの理由によって購買に至っていないのか?」このどちらかによって話は変わっていきます。

前者に関してはもうどうしようも出来ないので、現状を受け入れるしか道はないのですが、後者の場合、日本酒市場の成長余地はまだまだあると考えました。

そこで定性的なヒアリングや、経済産業省などの文献などによる定量調査により、可能な限り調べた結果、どうやら後者の可能性が高いという結論に至りました。

一言でまとめると、現状の日本酒は「現代の飲酒習慣にフィットしていない」ことにより市場の規模が狭まっている可能性があると感じました。

どういうことかというと、昔と比べ、今の人々は日本酒に限らずお酒を飲まなくなっています。毎日晩酌するユーザーは高齢者に偏っており、30代40代などの若い世代を中心に頻繁にお酒を飲む人は減っています。

一方で、大量に消費する人は少ないけれども、飲酒に対してネガティブな人は少なく、むしろ好意的な行動をしている人が定性的なヒアリングでは多くいることがわかりました。

例えば、毎日「金麦」は飲まないけれど、週一でクラフトビールは飲む、週末に美味しいお酒をお店で飲みに行くなど、飲酒に好意的な行動をしている人は多い。
中でも面白かったのが、日本酒が好きだとわかる行動をしている人は多いが、銘柄は詳しくないユーザーがかなり多かったということです。

このことから、プロダクト、訴求の仕方など、諸々の工夫次第でより多くの人に素晴らしい日本酒体験を提供できるのではないかと感じました。

また、一番ビックリしたのが、調査を兼ねて、日本酒が苦手と発言していた人に、僕が用意した日本酒を「一口だけ飲んでみて!」とお薦めし飲んでもらうと、一口どころか僕が離席しても自発的に日本酒を飲んでいたのです。

ただ単に「知らなかっただけなんだ」と強く実感した瞬間でした。

あらゆる点で「なぜ日本酒にお金を払う人が少ないのか」という課題にまつわる原因が、何となく把握できた段階で起業を決意しました。

5年越しの起業

起業を決意したら行動は早く、資金調達、共同で商品開発を行なってくれるパートナー酒蔵探し、プロダクト開発を進めるための仲間探し、そして公共機関巡りなど、様々な物事が一気に進みました。

資金調達の面は有難いことに非公開ではありますが、某著名シードVC、某著名エンジェル投資家複数名の方々が出資してくださり、銀行借入も順調に進んでおります。
プロダクトリリース前としてはかなり潤沢な資金リソース、そしてハイクオリティなビジネスナレッジを共有できるネットワーキングを備えることが出来ました。

またパートナー酒蔵も「つくっていただくなら、ここしかない。」と考えていた酒蔵と業務提携ができました。

正直「この日本酒を飲んで美味しくなかったら、他のどの日本酒を飲んでも美味くない。」と断言できるレベルで最高の日本酒をつくってくださる酒蔵です。

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他にも多くの方々の支えがあり、約一年間の準備期間を経て、何とかリリースを迎えることが出来ました。

関係者の皆さん、本当にありがとうございました!

今後について

このWhitedropというブランドをハブに、日本酒の価値を最大化し多くの人々に還元する。その結果ビジネスとして持続可能な形をつくりたい。そして近いうちに海外、そして未来永劫、日本の伝統産業から唯一無二の価値を社会に届けられるようにすることが第一の目標です。

しかし、それを成し遂げるための人材が足りておりません。

もしこのnoteを読んで少しでも弊社事業にご興味持っていただいた方は、ぜひ下記のMeetyでカジュアルにお話ししましょう!ご興味ある内容を選んでいただき、ご応募いただければすぐに返信いたします!

「Whitedrop」の立ち上げ経緯についてお話しします!- Meety
https://meety.net/matches/nzSFvkKgpOqW
プロダクトマーケティングについてお話ししましょう!- Meety
https://meety.net/matches/FCsUFJxPSnVX
デジタルマーケティングについてお話しましょう! - Meety
https://meety.net/matches/vkShjzSfPQAq

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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