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娘を騙してしまった日

生後2日目の娘を騙した・・!?

私の娘は今日も一生懸命成長している3か月児です。
いつ見ても可愛い。育てやすい子だねと周りから言われる子で、たとえ泣いても抱っこをすれば泣き止み、よく寝てよく笑い、先日は、はじめてのスプーン麦茶も美味しそうに飲んでいました。
高齢出産のお母さんにとっては頭が下がるくらいの、一緒に居て疲れない、親孝行な娘です。

そんな娘を見ていると、たまに生後2日目の授乳の時を思い出して、今でも胸がチクッとしてしまいます。あの日、私は最愛の娘を騙してしまったんです。

能天気なお母さんと、生きるのに必死な娘

帝王切開の傷がまったく癒えない産後2日目、助産師さんが娘と一緒に病室に来て、「授乳をしましょう。」と言いました。
私は、えっ、まだおっぱい出ないと思うんだけど・・・とうろたえていましたが、「出なくていいんです。吸わせればそのうち出てきますから」という助産師さんの言葉を聞いて、そっか。出なくていいんだ~と、安心しました。
そして昨日ぶりに見る娘の姿に胸がいっぱいになり、出産した喜びをかみしめていました。
きっと、昨日生まれたばかりで咥える力もないんじゃないか、そもそも視力があまり無いらしいから、吸う場所わかるのかな・・・
そんな事を思っていました。

実際におっぱいを娘の口にあてがうと、娘は力いっぱい吸い付いてきました。

あの時の衝撃と言ったら無いです。


さっきまでの柔らかい表情は無く、娘の顔は眉毛をキリッと上げて必死な表情でした。昨日産まれたばかりの赤ちゃんってこんなに力が出るの??と、びっくりするくらいの吸引力で、全然出てこないのに出るのを信じてひたすら吸い続けていました。
たまに私を見て何か訴えているような表情(気のせいかもしれませんが)をしています。
思わず「す、すぐちゃん・・・」と声をかけてしまいました。

2分ほど頑張って吸ってももちろんおっぱいは出ません。娘の表情は相変わらず必死で、少し疲れた表情を見せながらも本能のまま吸っています。反対の胸を当てがうと、さっきよりももっと強く、必死に吸っていました。顔は真っ赤になっていて、表情は「???!?」という風に見えます。
訳が分からないけど、生きる為に吸わねば!といった感じです。

あの表情が頭に焼き付いて、今でも忘れられません。
そのまま私は、「すぐちゃんごめん」と泣いてしまいました。

未だに胸が痛む、娘のあの日の表情

私が泣いてしまった事に、そばに居た助産師さんはとてもびっくりして慌てていました。(今思い返すと、本当にお騒がせしてすみません)たくさん慰めて頂いたのですが、

「おっぱいはすぐに出るようになるよ!気にしないで!」
→出なかった事に落ち込んでるわけじゃないんだけど・・・
 なんで涙が出るのかうまく説明できない・・・

「産後はホルモンバランスが崩れるから、みんなこんな感じだよ。大丈夫」
→たしかにこんな小さな事で泣くなんて情緒不安定かも

その時はそう思っていました。
でも私が泣いた理由は、今ならはっきりとわかります。

①娘の意欲に対して、私があまりにも能天気だった事。おっぱいの場所わかるのかな~?ってバカみたいな心配していたのが恥ずかしい。
授乳に対する意気込みのギャップが娘と母親でこうも違うのか。
恥ずかしい。

②娘は出ると思って必死に吸ってるのに、私は出ないとわかって吸わせ続けている。顔は必死すぎて真っ赤になっている。ごめん。お母さん嘘ついてるみたいだよ。

このエピソードは絶対娘に話すと決めている。

いつか娘の物心がついた時に、この件を謝ろうと心に決めています。笑
娘は何て言うかな。
「え、そんな小さい事気にしてたの??」
「ていうか、赤ちゃんの時の記憶なんてないし、謝られても・・笑」
「私そんなに吸ってたの~??」
たぶん、こんな感じの反応になりそうです。きっと怒らないでしょう。
でも、それでも謝りたいんです。今は言葉がわからないけど、いつか必ず!

それまでは、度々あの表情を思い出しては胸を痛めて、
それを糧に「いいお母さんになるからね。あの時はごめんね!」
と育児をしていくつもりです。



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