あなたにもできる文献レビューの発表
ゼミなどで文献レビューを発表するときのポイント。
自分の所属する分野といっても、具体的にその構成員が取り組んでいる個別の研究テーマはかなり狭くなり、その分野の全員が興味があるとは限りません。しかし、基本的にはその分野に関する基礎的な知識と関心は参加者は持っているという場面だということをまず理解してください。
次に、文献紹介ではなく、文献レビューだという点が重要です。文献の概要をまとめて話すだけが「文献紹介」です。もちろん内容の紹介は文献レビューでもしますが、紹介だけではレビューになりません。
とりあげるテーマの導入(簡単な説明)
その分野でのその研究テーマに関する研究の流れ
その流れの中での、その文献の位置づけ(その文献の意義)
その文献の研究の概要紹介(主にその研究独自の実験の方法や結果)
その文献の研究により明らかになったこと(研究分野への貢献)
その文献の研究の問題点・今後の課題
これが文献レビューの中心部分となりますが、導入部分と、最後の部分は、この文献の研究を自分自身の研究(しようとおもっていること)と結び付けて説明してもよいです。つまり、上の1から6全体を、さらに、自分の(しようと思っている)研究の紹介という話で包み込むわけです。
話し方のスタイルとしては、その文献の著者は、その文献で述べられている研究で何をしようとしたのか、ということを、「著者名(年号)は、、、、」と、その著者自身がしたことを、聴衆に紹介するとともに、それについて、あなた自身はどう考えるのかを、何らかの根拠をもとに、研究として評価できる点、研究としてさらに考えなければならない点(問題点)を、述べていくのです。
わかりやすく、逆に言うと、文献の「あらすじ」を説明するだけでは不十分です。ゼミなどでは、文献は全員読んできているという前提で、文献レビューをするので、内容のあらすじを説明されてもメリットはありません。(さぼって読んでこなかった人には読まなくてすんだっていうメリットはあるかもしれませんが、それは別次元の話。)また、自分が知らなかった点を学べてよかったです、とか、まだ知らない点があって勉強しないといけないと思いました、という、自分の勉強の話(感想)は、研究とは関係ない話なので、聴衆にとっては聞くメリットはありません。
その文献を「どう読んだか」というレビューを聞きたいわけです。
その文献のどういう点を、どうして、どのように評価したか、が重要な点です。
小説家がいて、批評家がいます。小説家が書いた小説を批評する人が批評家です。小説のあらすじ話すだけの人は批評家とは呼べません。批評家は、小説をネタに自分の考えを述べます。
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