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リスティング広告の基礎知識

1.はじめに

1-1.きっかけは社内勉強会

先日、社内でリスティング広告の勉強会をしました。

参加頂いている方とざっくばらんにディスカッションでき、個人的に学び多い時間でした。

また、勉強会は自分自身がリスティング広告について詳細に理解できていない点を明らかにする良い機会でもありました。

1-2.本記事の目的

今回のnoteでは勉強会資料をベースに「リスティング広告の基礎」についてまとめてみたいと思います。

本記事は私自身のWebマーケターとしての経験だけでなく、Google広告ヘルプページUdemy講座Tomoyuki Yonemitsuさんのnoteリッチリンク社Youtube等のコンテンツも参考にしてまとめています。

2.本題に入る前にアイスブレイク

2-1.そもそもWebマーケティングとは?

リスティング広告はWebマーケティングの一手法です。

本題に入る前にWebマーケティングとは何か?についても触れておきたいと思います。

Webマーケティングの定義は広義と狭義で2種類あります(下記図)。

Webマーケティング定義は広義と狭義で2種類ある

広義では「自社メディアを中心に、顧客の役に立つ活動を通じて利益を上げ続けられるようにすること」を意味します。

一方、狭義には「自社の顧客獲得や売上増加といったゴールのために自社メディアを中心にさまざまな販促活動、プロモーションを行うことの総称」を指します。

なぜ広義と狭義で2つに分かれているのでしょうか。それはマーケティングの歴史と現代企業の組織形態が関係しています。

20世紀初頭に生まれたマーケティングの歴史からWebマーケティングを定義しようとすると、その活動範囲は販売促進やプロモーションに限定されません。したがって、広義の解釈が妥当です。

しかし、現代の企業では組織機能の細分化が進んでおり、その結果として狭義的な定義の方が実態を説明するものになっています。

2-2.リスティング広告はWebマーケティングの一手法

Webマーケティングにはさまざまな手法が存在します。リスティング広告はその中の一つに過ぎません(下記図を参照)。

Webマーケティングの手法はさまざま

リスティング広告は多くの企業で期待される手法の一つです。

しかし、上記図解の通り、自社資源(予算・時間)を投下できる他の候補も複数存在します。

マーケティングマネージャーは、事業の目的や問題、自社資源を考慮して、他の手法も活用するべきかを検討しなければなりません。

ここまでが本題前のアイスブレイクです。

次項からはリスティング広告の基礎について説明します。

なお、説明は全てGoogle広告を例にしています。

3.リスティング広告の基礎

3-1.リスティング広告とは

リスティング広告(検索連動型広告)は、Google広告の主要な機能の一つです。

ユーザーが検索エンジンで特定の語句を検索した際に、検索結果ページの上部や下部に表示される広告です。

リスティング広告とは?

購買ファネル上でリスティング広告の役割を捉えてみましょう。

購買ファネル上のリスティング広告 立ち位置

リスティング広告はサービス利用熱度が高いカスタマーにアプローチできる手法であることが分かります。

リスティング広告の基本要素

本項では、リスティング広告を構成する基本要素について説明します。

下記資料の赤字1〜5で示している内容は、普段から検索サービスを利用する方にとって直感的に理解しやすい要素です。

リスティング広告の基本要素1
リスティング広告の基本要素2

3-2.リスティング広告とSEOの違い

ここでは、リスティング広告とSEOの違いについて説明します。

SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)は、ウェブサイトを検索結果で上位に表示させるための対策です。つまり、SEOはWeb広告やリスティング広告とは異なる分類に属します。

有料のリスティング広告とは異なり、SEO(検索エンジン最適化)は無料で行えますが、即効性は期待できません。

SEOの取り組みを開始してから、サイトへの流入増加などの成果が現れるまでには半年から一年程度の時間がかかることが一般的です。

時間はかかりますが、SEOの良い点は、その資産性です。一度施策を実装すれば、中長期にわたって効果を発揮し続けます。

3-3.リスティング広告が表示される仕組み

リスティング広告が表示される仕組みをカスタマー視点・広告主・媒体視点から整理してみたいと思います。

リスティング広告が表示される仕組み①カスタマー視点

カスタマー視点では、検索した語句に関連した広告が表示されています。

カスタマーの検索語句と広告主が指定したキーワード(※)が一致した場合に広告が表示されます。
※キーワードとは、ユーザーが検索する語句と広告を一致させるために使用される単語やフレーズです。

ただし、カスタマーが検索した語句と広告主が指定したキーワードが一致したからといって、必ずしも広告が表示されるわけではありません。

広告が表示されるためには、広告主がオークションで勝利する必要があります。

次項では広告主・媒体視点を含めてリスティング広告とオークションの挙動を説明していきます。

リスティング広告が表示される仕組み②広告主・媒体視点
カスタマーが検索した語句が、広告主側で指定したキーワードと一致すれば広告がオークションにかけられます。オークションでは広告ランク(※)数値をベースに各広告主間での入札勝者が決まります。

リスティング広告において、広告ランクは非常に重要な仕組みなので、次項で詳細を説明します。

3-4.広告ランクとは?

広告ランクとは、検索結果ページで広告の掲載位置を決定するために使用される数値です。

各オークションでは、他の広告主の広告と比較して広告ランクが算出され、順位が決定されます。広告ランクを決定する要素は以下の通りです。

3-5.リスティング広告のアカウント構成とは?

本項以降では、実際に広告運用を行う際に必要となる基礎知識について説明していきます。

まずはアカウント構成についてです。

アカウント構成とはリスティング広告を設計する際の基本的な枠組みのことです。

下記資料の青字番号①~⑤を順に説明していきます。

①アカウント
階層構造の最上位の単位。ログインする為のメールアドレス・パスワード、お支払い情報がここで設定されています。

②キャンペーン(CPN)
広告グループをまとめる階層。日予算の設定や、エリア・言語設定、入札戦略の設定などはこの階層で行う。

③広告グループ
同じテーマを持つ広告やキーワードをまとめたものです。キーワードと広告文をまとめる階層。名称の通り「広告」のグループとなるため、広告訴求内容にマッチしたキーワードを登録する。

④広告文 (TD)
Title & Descriptionの略称。広告文は広告グループ単位で設定が可能。

⑤キーワード (KW)
自社商材のターゲットに関連するキーワード。種類としては自社名や自社商材名などの指名ワードと、自社商材以外にも当てはまるような一般ワードの大きく2つに分けられる。

3-6.キーワードのマッチタイプとは?

キーワードがユーザーの検索語句と一致すれば広告がオークションの候補に入りますが、その際にどの程度厳密な一致を求めるか指定するのが、キーワードのマッチタイプです。

資料にも記載していますが、完全一致は「キーワードとまったく同じ意味または意図の検索」が広告の表示対象です。一方、フレーズ一致は「キーワードと同じ意味の内容を含む検索」が表示対象です。

完全一致(Exact match)
キーワードとまったく同じ意味または意図の検索が、広告の表示対象となります

フレーズ一致(Phrase match)
キーワードと同じ意味の内容を含む検索が広告の表示対象になります。文言に差があっても、同じ意味に解釈できる場合は一致と見なされます。

部分一致(Broad match)
指定したキーワードに関連する内容の検索が広告の表示対象となります。これには、キーワードの語句そのものは入っていない検索も含まれます。

マッチタイプによって検索語句との類似度が異なるため、広告運用に大きな影響を与えます。したがって、これを正確に理解しておくことが重要です。

3-7.品質スコアとは?

品質スコアとは、リスティング広告の品質を、他の広告主と比較してスコアで表す診断ツールです。

品質スコアが高いと、リスティング広告の掲載順位が上がりやすくなり、コスト削減が実現しやすくなります。

スコアは1~10の数値で示され、キーワード単位で確認できます。

品質スコアは、次の3つの要素を総合して算出されます。

推定クリック率(推定 CTR)
お客様の広告が表示された場合にクリックされる可能性の高さを示します。

広告の関連性
お客様の広告がユーザーの検索の意図と一致する度合いを示します。

ランディングページの利便性
お客様のランディング ページが、広告をクリックしたユーザーにとってどの程度関連性があり有用であるかを示します。

各要素には、評価に応じて「平均より上」、「平均的」、「平均より下」のいずれかのステータスが付きます。この評価は、過去90日間にまったく同じキーワードに対して広告が表示された他の広告主との比較に基づくものです。

ステータスが「平均的」または「平均より下」の要素がある場合、その部分に改善の余地があるかもしれません。Google広告ヘルプを参照しつつリスティング広告の改善箇所を探してみましょう。

ちなみに、品質スコアは広告ランクのスコアを決定づける1要素である「広告の品質」評価の結果指標です。

品質スコアをベースに広告品質を改善すると広告ランクスコアにもポジティブな影響を与えることが理解いただけるかと思います。

4.リスティング広告運用で必ず使う指標一覧

4-1.広告主がまず見るべき指標

広告運用において特に頻出する8つの指標を、数・率・単価(縦軸)と購買ファネル(横軸)に基づいて以下の図にまとめました。広告主は特に赤枠の部分から状況を把握するのが定石です。

CV、CVR、CPAの意味や算出方法は下記をご確認ください。

次はリスティング広告の改善を行う際に広告主と広告運用パートナーが見るべき指標を説明します。

下記赤字指標を捉えることでリスティング広告がどれくらい表示されたか(imp)?何名がクリックした(CTs)?、どれくらいのクリック率(CTR)とクリック単価(CPC)なのか理解できます。

また、広告主はリスティング広告の実施によってどれくらいの事業収益が得られたのかも把握しなければなりません。

具体的には広告はどれくらいの事業売上(ROAS)・事業収益をもたらしたのか?(ROI)、また登録者1名あたりの売上は?(ARPU)等を捉えていく必要があります。

これは、広告投資の正当性や妥当性を理解するために必要な指標で広告運用指標とセットで覚えておく必要があります。

4-2.リスティング広告の分析方法

最後に、リスティング広告の効果分析に使える計算式を紹介します。

この計算式を使用することで、リスティング広告に関する各指標の増減要因を因数分解できます。

広告指標ごとの計算式①
広告指標ごとの計算式②
広告指標ごとの計算式③

以上です。今回の記事では、リスティング広告の基礎を網羅的にまとめました。

今後は、リスティング広告で成果を出すために具体的に何をどう進めていけばよいのかについて考えをまとめていきたいと思います。

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