GAFA CEO米公聴会に対する素朴な感想

先週7/29にGAFAのCEOを招いた米議会公聴会が行われました。6時間とめちゃめちゃ長いのでもちろん全部は観てないのですが、ツッコミどころ満載でそこそこ面白かったのでシェアします。

議題はAntitrustつまり独占禁止法に関してです。純ジャパの私は、”アンチ”トラストでなく”アンタイ”トラストと読むアメリカ人に何度聞いても違和感です。

とそれはおいておいて、顔ぶれが豪華すぎませんか。
Googleのスンダー・ピチャイ氏
Amazonのジェフ・ベゾス氏
Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏
Appleのティム・クック氏
ビデオコールでの参加とはいえ、この4人を一同に集めるっておそらく米議会にしかできないですよね。

ただ結論から言うと、正直そんな価値なくない?っていう議論の内容でした。

1. 公聴というよりこれは尋問だね..? 
議論の進行として、各議員に5分間ずつ時間が割当てられて、議員は1CEOに対して1つ質問をするのですが、5分のうち議員の質問(というか演説)が、時間の大部分を占めていて、CEOは、ほぼYes, congressmanしかいえない状況でした。詳しく説明を続けようとすると、議員に半ば強引に遮られてしまいます。さらに議員の質問の大半は、めちゃくちゃ細かい。それはそうでしょう。1年以上続けてきた調査の集大成ですから、議員の準備バッチリです。一方のCEOはその場で即回答を求められますが、普段億単位でしか考えていない何万人組織のトップが個別の事例を把握している訳もなく、I am not sure for this case, I can't answer right now, I will get back to youというしかない...割とボコボコにされてる感じでした。

2. 「私は弱いものの味方」議員パフォーマンス
さらに怖っと思ったのは、小規模事業者という弱者が、いかに虐められているかという強者弱者の構図を利用して、感情に訴えかける主張も多く見受けられました。amazonで本が出品できなくなったおばあさんの涙まじりの陳情の肉声がでてきたり...なんというか、本当に議会なのか?という感じです。

3. 論点ズレてるし
プライパシー保護の問題や国家セキュリティの問題など、独占禁止法関係ないよねという質問もでてきました。Googleは、大学との研究経由で中国政府を間接的に支援しているではないかと責められていました。もちろん、こう言った話題も、それはそれでクリティカルな問題なのですが、ここで持ち出すのは反則ですよね。

4. Put your mask on!
これはただのネタでしかないですが、途中、制限時間を守らない人に対して、こんな野次が飛んでました。笑

もちろん建設的な指摘をする議員もありましたし、確かにGAFAが巨大すぎること、そして何より独占禁止法が今の現状に適合していないというのは最もだと思います。

ただ率直な感想としては、やっぱ国家権力って怖いなー 

日本の国会中継をたまにみると、うーんなんだかなというモヤモヤした気持ちになりますが、これもこれで、うわーまじかって感じです。

対して答える側は、どのCEOにも共通していえますが、どんなに感傷的で敵対的な質問がきても、数字を使って、ロジカルかつ簡潔に答えるというのが、一番説得力があります。

Appleのティム・クック氏が、実際にはこれだけのシェアしかなく、これだけの競合が考えられる、とか、〜年からフィーをあげたことは一度もないとか、言っていたのは上手な切り抜けでした。ただこれは、落ち着いた口調のクック氏の返答が上手だったのもありますが、Appleはモバイルにしろ、iTunesにしろ、なんだかんだ常に競合がいるというのが事実なのだろうと思います。

その点、Google/Facebookの広告の方がより独占のイメージに近いのかな。(すごくどうでもいいですが、ピチャイ氏はこうしてアメリカ人の中で比較するとやっぱインド人だなっていうのと、ザッカーバーグ氏は顔も発言も若いなと思いました。)

さあ、今後トランプ大統領がどういう動きに出るのか。こうした大きな巨大テック企業は、アメリカに雇用を生み出し、税金を払ってくれる米国企業(FacebookのHQはアイルランドだったかな)でもあるので、確かに強者から弱者を守るというヒーロー感は演出できるものの、そこに制裁をかけることが、果たして本当に支持に繋がるのか、ちょっと疑問でもありますよね。

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