女性起業家の資金調達が少ない本当の理由
ジェンダーギャップを企業の中でどうつぶしていくのか。そういうことを考えていた時に、こちらのTED Talkをみつけて、なるほどなと思いましたので要点を書いておきます。
ジェンダーにより「無意識に変化する質問」で、後の結果が大きく変わる
先に結論を書いておきます。相手のジェンダーによって無意識に質問の仕方が変わり、その質問の仕方が後の意思決定に大きな影響を及ぼすということです。
ジェンダー観点での「無意識バイアス」が、後の結果に大きく影響を及ぼすのであれば、少なくともビジネスの場面においてはそのことを理解しておかなければならないと感じます。
この話はベンチャー投資の話ですが、その領域のみに適用される話ではなく、ビジネスの現場、組織でひそかに頻発しているように感じます。
日本語のTranscriptが無かったので、以下の日本語訳は適当ですが…。要点をメモ程度に書いています。
「無意識に変化する質問」とは
無意識に変化する質問。これを体系化して整理すると「制御焦点理論」で説明できるようです。
きちんと知らなかったのですが、目標達成の動機を「促進焦点」と「予防焦点」との2つの側面で捉えるもの。
よりポジティブな状態や結果を求めていく動機が強く働きやすいのか。ネガティブな状態や結果を避ける、損失回避が強く働きやすいのか。
質問をするときに相手が男性か女性かで、この2つの「焦点」が切り替わっているのではないか。
これはVCに限った話ではなさそうです。広い意味での「投資の意思決定の場面」をイメージするならば、一般的なビジネスの場面において「新たな仕事を任せようとする場面」や「新たな役職を任せようとする場面」が近しい状況です。
本人に意思を問う時。
あるいは周辺のマネージャ同士で検討する時。
その時の問いは「促進焦点」でしょうか?「予防焦点」でしょうか?
関わり方の違いがどのように結果に影響を及ぼすのか
大量のデータをもとに分析した結果、質問の「焦点」には男女間で差があったそうです。そして、その差が「意思決定の結果」に有意に影響しているという主張でした。
当人が意識しない中で、かつ質問自体は特にジェンダーに関わるものでもありません。質問の「焦点」に差があるだけ。ただ、その結果返ってきた答えによって、その後の意思決定が明確に変わってくる。
「予防焦点」でみれば、よりリスクを勘案した形での意思決定になるのは自明ですね。
一般的なビジネスの場面に置きかえてみるとどうでしょう。ジェンダーで無意識の中で男女で異なる「焦点」の質問をしてしまっていないか。それによって、新たな仕事や役職を任せようという場面で有意に結論が変わってしまっている実態があるかもしれません。
これはかなり怖いですね。
この話が怖いと感じる3つの観点
① ジェンダーを感じさせるやりとりではない
まずはここに尽きます。言葉として「女性として~」「女性の観点で~」などとはでてきません。ハラスメント系のニュアンスがあるものでもありません。(そもそもこの辺はあっちゃだめなんですが…。)
なので発している側が意識しないのはもちろん、されている側もバイアスがあるとは気が付けないのではないかと思います。にもかかわらず、無意識下に結果が誘導される圧を受けているのです。
② 男性、女性ともに同じようなジェンダーバイアスを持つ
VC側に立った時に、女性も男性と同じように女性に対するジェンダーバイアスがかかるというのは驚きました。同性であれば、立場を理解できるわけではない。同性だから大丈夫だろう、とはならないということですね。
③ 質問で意思決定の結果が誘導される
バイアスによっていやな気持になる、とかモチベーションが阻害される。そういう話はイメージができます。ただ、この話は企業投資レベルの高次の意思決定にまで影響を及ぼすことを示しています。
では、どうしていったらよいのか?
ひとつ言えるのは人間はバイアスにまみれているという自己理解をするということなのかなと思います。
意識できないからこそバイアスなのであって、気付く機会がある、牽制しあえる仕掛けがある、そういったことが必要なのだと感じます。
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