組織に根付く「無意識バイアス」ってどう対処したらよいんだろう?
ダイバーシティ&インクルージョンという言葉は聞いて久しいのですが、なかなか現実世界は、進んでいる実感を持ちにくいなーと感じています。
いったいなんでなんでしょ?
なかなか進まない原因として、大きく道をふさいでいるのが「無意識バイアス」です。偏見やイメージで勝手に相手のことを捉えてしまう。こういう背景の人はこういう人のはず、のような決めつけは日常の中でも結構されているものです。
無意識バイアスってようはどういうこと?
少し前のものですが、「無意識バイアス」についてクリアに整理して書かれていて勉強になったのが以下の記事です。
無意識バイアスとは、
と表現されています。思考のショートカットとはとても分かりやすいなーと感じます。
さらに、無意識バイアスを4つのタイプで整理されていまして、
という類型で考えられているとのこと。
特にそのバイアスが「ジェンダー」に関わるものに関しては、それぞれの人が暗にもっている「ジェンダー・ステレオタイプ」に捉われていることもありそうだなーと読んで感じました。
でも、そう考えると、よりよい組織をつくっていく上で「バイアスを無くすことって実際にできるのか?」と心配になります。
無意識バイアスは、「無くさない」
ところが、同じ記事の中で、「バイアスは無くすものではなく、認識するもの」と述べられています。
言われてみればあたりまえで、意識して変えられないからこそ「バイアス」なんですよね。
Facebookでの取り組みを自分なりに理解すると、
1.自分の思考のくせを理解する
2.くせに捉われない行動/仕組みに落とし込む
3.お互いに支え合う
なのかなと思いました。まず自分自身が認識することが大事で、その上で発生してしまう「バイアス」によるリスクを減らすための行動や仕組みを考える。それだけでは足りなくて、常に気付き、支援し合える関係をつくるところまでやらないといけない。
多くの場合、実に一歩目「自分の思考のくせ」を理解することもできていないケースが多いのではないかなと感じます。
どうやって自分のくせに気が付くか
恥ずかしながら最近まで知らなかったのですが、IAT(Implicit Association Test)という無意識バイアスの計測法があります。
ここで10分くらいのテスト版を受けて計測することができます。
実際にやってみると、頭の中の関連付け、思考のショートカットがやっぱりあるなと実感できました。
このあたりのことについては、IATの結果をもとにした【解説寄稿】「人事実務」無意識バイアスをマネジメントする(2019年8月号)に詳しく書かれていました。
この中でも無意識バイアスへの対処として4つのStepが述べられています。
ここでもやはり、「知る・気付く」からスタートします。
ただ、同質性の高い組織の中では「無意識バイアス」そのものが無いことにされてしまいがち。
自分たちは差別なんてしていない、差別するような人はいないでしょう、とバイアスの存在そのものが無視されてしまいます。これは……控えめに言って、悲劇だなと。
「気付く」必要性はどう生まれるのか?
ダイバーシティ&インクルージョンそのものの必要性は語られ続けています。
そしてその阻害要因となる「無意識バイアス」についても、どうやって対処すべきかは明確に示されています。
特にジェンダーという軸においてのダイバーシティ&インクルージョンで言えば、それでも遅々として進まない現実。
その原因は、「同質性を築いている側の人たちが、自身の「思考のショートカット」を気付かなければならないというインセンティブ」が働かないからなんだと感じます。
組織としてのインセンティブを個人のインセンティブに紐づける
同質性の中での競争が構造(=ルール)化されていて、特に意思決定者になるような人たちは、そのルールに最適化していっています。
自ら最適化していっている中で、あえて別のルールを持ち込んで優位性を脅かす(思い込みだとしても)ようなことをするメリットはありません。
なので個々人の意識変化を働きかけるより前に、先にルールチェンジを仕掛けてしまい、その受け皿としての変化支援が必要なのだと思います。
それをジェンダー軸ではありませんが、国籍軸で断行して成果をだしたのが楽天の社内英語公用語化かなと。
組織にとってのインセンティブ(=成長戦略)が先にあり、それを個人のインセンティブ(=英語ができないと生き残れない)と紐づけていく。その上で、個人を支援する取り組みを仕掛けてプレッシャーを掛けながらもエンゲージメントを高める。
言うは易しですが、腹決めとバランス感が非常に難易度が高いと感じます。
そういう意味で、経営陣の意識変革をどう仕掛けるのか?というのが考える打ち手なのかもしれません。大企業だとそれをどうするかなーと、悩ましさしかありません…。
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