「哲学とは」哲学散文2
ようこそ、哲学の世界へ。
というと少しハードルが高いかもしれません。
しかし、そう拒否反応をせずにお付き合いいただけたら幸いです。
「哲学」という言葉、あるいは学問をご存知でしょうか。
日本では幕末から明治初期にかけ、西周(にし あまね)により
philosophia=哲学
と日本語に翻訳されました。
哲学という言葉が日本にできたのは約150年前になります。
150年前と聞くと歴史が浅いと思われるかもしれません。
しかし、古代ギリシアでは約2500年以上前からある歴史と由緒ある学問になります。
多くの哲学入門書では"哲学とは何か"から始められることが多いです。
ここでもそれに倣い"哲学とは何か"から見ていきましょう。
哲学とは"philosophia"のことで、これは古代ギリシャ語の言葉で、「哲学」(英語でphilosophy)の語源となっています。
philosophiaを分解すると
philo:「愛する」という意味
sophia: 「知恵」という意味
なので、philosophiaを直訳すると「知恵を愛すること」になります。
多くの哲学入門書は一般的に哲学とは哲学者の数だけ定義が存在すると言われていますが、これはまさに言い得て妙でその通りなのです。
しかし、この回答は哲学をこれから学んで欲しい人が欲しい回答にはなっていないです。少なくとも私が初めて哲学入門書を読んでこの言い回しを見たときはそう思いました。
ですので、哲学をあえて定義するとすれば
哲学とは
「知ることを愛すること」
↓
「知らないことを知ろうと努力すること」
さらに
「問題を解き明かすための本質を洞察し、普遍的な考え方を見出す営みである」
もっとわかりやすく言うと
「疑問を解き明かすために深く考えて、物事の一番重要な部分を見抜こうとする。その結果、誰にでも当てはまる考え方や原則を探し出そうとする」
となります。
つまり、哲学とは「当たり前だと思っていることに『なぜ?』とひたすら問いかけ、深く考えること」です。
例えば、「なぜ働くのか?」といった疑問が芽生えたとします。
では、実際にこの疑問を哲学してみましょう。
Q. なぜ働くのか?
A. お金を稼ぐため。
↓
Q. なぜお金が必要なのか?
A. 生活に必要なものを買うため。
↓
Q. 生活に必要なものとは?
A. 衣食住は生きていくために必要だから。
↓
Q. なぜ生きていく必要があるか?
A. 人生を楽しいものにして目標を達成したりするため。
↓
Q. 人生を楽しむとか目標を達成するって、なぜ大切なのか?
A. それが私たちに幸せや満足感をもたらすから。
↓
Q. なぜ幸せや満足感を求めるのか?
A. 幸せを感じることで生きる意味を見出せるから。
↓
Q. なぜ生きる意味を見出すことが重要なのか?
A. 生きる意味を持つことは人生がより豊かで充実したものになるから。
↓
Q. 豊かで充実した人生を送ることが目的なのか?
A. 人それぞれ「豊か」や「充実」の定義は違うかもしれないが、多くの人にとってそれは人生の目標と言える。
まとめ
私たちが働く理由は、単にお金を稼ぐためだけではない。働くことは、生きるために必要なものを得る手段であり、さらには自分の人生を豊かにし、幸せや満足感を得るための一つの方法に過ぎません。つまり、働くことは、私たちが意味のある充実した人生を送るための重要な要素の一つと言えます。
これは一つの考え方であり、人それぞれ異なる価値観や人生観を持っているかもしれません。大切なのは、自分自身にとっての「働く意味」や「人生の目的」について考え、自分なりの答えを見つけていくことです。
これが哲学の基本的な姿勢である「前提から疑ってかかる」という姿勢になります。哲学とはそもそもを問い続ける学問です。なので、哲学をする人というのは「そもそも~」を接頭語につけて話したがります。これが哲学の正しい姿勢ですので、覚えておいてください。
以上は哲学の入門者向けにごくごく簡単に論理的思考の基礎の部分を紹介しました。なんとなく哲学とはこういうものだとわかってもらえたのではないでしょうか。
このようにひたすら自分自身へ問いかけ続け、前提から疑い疑問が完結するまで問いかけます。
これが哲学をするということです。
いかがだったでしょうか。こういった思考のやりとりをおもしろいと感じたらあなたは確実に哲学の才能があります。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
あっ、なんだか行けそうと思っていただけたら最後までお付き合いください。
この文章が誰向けかと問われれば、哲学を本格的に学んだ経験がない人、あるいは大学の哲学科に進学をしようか迷っている高校生。さらには哲学とはこういったものだとなんとなく知っていて、誰かの思想を小難しく説明してくれて知識を与えてくれると思っている層の人たちではないかと思います。全人口から見ても私の感覚では8割くらいの人たちが上記に該当するのではないかと思います。
逆に哲学を専門的に学んだ経験のある方は私の文章から得られるものは少ないのではと感じている次第です。
大学で哲学を専門的に学んでいる場合は、まず哲学史や思想史を学びます。
「哲学なのに歴史から勉強するのかよ」と思うかもしれません。
哲学史や思想史を学ぶ意義は、哲学の始祖とも呼ばれるソクラテスが2500年前に生きた人物であることからも理解できます。そこから現代に至るまで、哲学は様々な議論を重ねて発展してきた学問です。哲学の基礎となるのは、先人たちが積み重ねてきた思想や議論の痕跡であり、それを辿ることが哲学を学ぶ上での前提となります。
哲学の学問体系は古代と現代では異なるものですが、時代背景はいったん置いといて、2500年間の歴史を持つ学問の超優秀な哲学者たちの歴史や思想を学ぶということは哲学をする上での前提となるからです。
この前提なしに哲学をにわかに語れば多くの哲学の専門家たちに怒られることでしょう。
それもそのはず、哲学の歴史は叡智の結晶であり、哲学に関する問いや議論というものは2500年間も続いているわけですから、それを通らずに議論をしても
「それについては〇〇がすでに答えを出しているよ」となるわけです。
もうある程度、答えが出ているものをあなたが新たに生み出すよりも学んだ方が早いとなります。
例えば、計算をはじめて学ぶあなたは3桁以上の掛け算をするのにたいていの人は筆算をする方が楽だと思います。ここで筆算の存在を知らないという前提があるならば、あなたがちまちま3桁の計算をするよりも
「筆算すればいいじゃん」という風になりませんか?
哲学史や思想史を知らずに哲学をするというのはあなたの人生数十年の経験や知識を元に哲学をしているだけですので、あなたの感覚や価値観の話になってしまうわけです。
しかし、忘れないでいただきたいのがこれまでに積み重ねられてきた哲学者たちの思想や議論を学ぶことはとても重要です。しかし、それはさらなる議論や私たちの人生に活かすための手段であり、目的ではありません。
次回以降から教養として知っておくべき哲学者たちを紹介していこうと思います。
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