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短編小説から見る社会

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菅原ゼミで読んだ短編小説の書評を順次掲載していきます。書評は全てゼミ生が書いています。授業期間中の毎週末ごろ更新です。  ※ネタバレありですので気になる方はお気をつけください。
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2022年6月の記事一覧

シャーリイ・ジャクスン「くじ」書評(評者:リュウ・ジュンケイ、高瀬晴基)

シャーリイ・ジャクスン「くじ」(『くじ』収録)

評者:リュウ・ジュンケイ

 皆さんが知っている「くじ」はおそらく年末ジャンボ宝くじのような、当たった人が賞金やプレゼントを貰ったり、幸せを感じるものだと思う。しかし、当たったらひどい目に遭うくじというものを聞いたことがあるだろうか。
 この物語ではとある村で行われている行事で300人の村民がくじを引き、当たった人を集団で殺すという悲惨な話である。

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小川洋子「ひよこトラック」書評(評者:杉本優花、伊藤舞香、猪原琉矢、光成望未)

再び更新が滞っており失礼しました。5月19日の3回生ゼミでは小川洋子「ひよこトラック」を読みました。

小川洋子「ひよこトラック」(『群像短篇名作選 2000〜2014』収録)

評者:杉本優花

 沈黙は、時にどんな言葉よりも雄弁に心の内を語る。仕草、表情、纏う空気感には、言葉に代え難いほどの静かな感情があり、私たちはその沈黙を通して、人の真意を知ることがある。言葉にすることができない感情を、沈

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