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愚詩

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#眠れない夜に

八十夢

いくつもの眠れぬ夜を越えて迎えた夢。
切り裂くような静寂で、目覚めた夢。

暗すぎる夜に僕は、
いつの間にか、真っ赤な嘘で対抗していた。
結果は見え見えだったが、
「12月の逃避行よりはマシだろう」なんて甘い考えのキツネに
3,000円払ったところで目が覚めた。

徒労。
徒労に次ぐ徒労。

見返りなんて求めていなかった。
少なくとも、布団に入った時はそのつもりだった。

気がつくとすごい汗で、

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境界線

全てを投げ打ってできた境界線は
泣き止んですぐの、
涙の跡に似ていた

可能性ばかり信じていた僕の
みぞおちあたりがはみ出して
トクン、トクン、と
立ち入り禁止を知らせていた。

あした天気になぁれ

蹴り出した足は
まだ空の中にあって
少しつりそうになって
バランスを崩した瞬間
その瞬間に
誰もいないことに気づいた

少しだけ笑ったところに
新しい境界線がひかれた