真空のトンネルを

透明な 金属音を立てて
真空の 光のトンネルに滑り込んで行く。

トンネルの外では 風が逆方向に飛び去って行く。

人の声も 姿も形も、
遠い 過ぎ去った
過去の記憶の中に 押し込まれて行く。

スピードはどんどん加速する。

叫び声も 悲鳴も 鼓笛の音も
ムンクの叫びの火に燃やされる。

頼り無い さいはての
割れた 氷の 海の 向こうに

トンネルは続き 
出口を望み

緩やかに 落下する
真空の中を

私は 駆け抜け
駆け抜け 駆け抜けて いる・・・

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