蛾が羽をばたつかせている。
卵を産んでいるのだろか
産卵場所を探して
飛び回っていた蛾が
位置を決めて
時間をかけて産み始める
息んで 抜いて
息んで 抜いて
一旦産み始めると
途中で「止~めた」と云う事は出来ない。
産み終えるまで
其の激しい挑戦は続くのだ。
何を考えているんだろう。
自分が産もうと決めたこと。
小さな命が 自分の身体の中で生き始め
手に抱く事の出来る 奇跡を受け取ることが
出来るかも知れないと
不安と期待が入り混じり
待っている家族の顔や姿が
繰り返す
其の合間を縫って よぎって行く。
羽音も止んで
静寂の時が過ぎ
何処かへ飛んでいってしまった蛾も
暫くするとあちこちに
動かなくなって固まっている。
生み終えて一生を終える。
其れを 当たり前の
使命だと受け止めて
疑いもせず 抗いもせず
有る様に生きて
有るように死んでいく。
私の心は
騒がしいのかも知れない。
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