記憶のキルト

母の思考回路の中で

貴方の記憶は止まったまま

「元気にしてるか~」
「大丈夫か~」 を繰り返している

それでも いいと思う

事実が事実として呑み込めなくても

事実が空回りしてきこきこと音を立てても

突然散りじりに降って来た断片を

繋ぎ合わせ 縫い合わせ

母の事実のキルトの布を
しまい込んでも

いいと思う

私も 自分のキルトを紡いでいるのだ

私にとっての貴方の影を

拾い合わせ 寄せ合わせ

一針一針縫い合わせているのだ

母の記憶の世界の中で

貴方はいつもの元気なままの

笑顔のままの
それが真実なのだから

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