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香りに包まれて / はるかとゆいさん

「ゆいさん、私のカーディガン見なかった?」
 お風呂上がり、脱衣所に置いておいたはずのカーディガンが見当たらず濡れた髪をタオルで拭きながら同居人であり恋人であるゆいさんに声を掛けた。
「このカーディガン、あったかいね。はるかの匂いがする」
 白いふわふわの毛糸で編まれたカーディガンを羽織ったゆいさんがこちらを見てふふ、と嬉しそうに微笑む。最近気が付くとゆいさんは私の服を着ている。背格好が似ているので服のサイズはだいたい同じだ。私の匂いがすると落ち着く、とゆいさんは言う。好きな人の匂いに包まれてとても幸せな気持ちになると言う。
 もう、と仕方なさそうに笑う私も、実はたまにゆいさんの服を着ている。

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