見出し画像

12/5 茜暮し

 あまりにのんびりと休日を過ごしてしまった私たちは夕方になってやっと買い物に出ることにした。夕飯の買い物だ。何もない時はこうして2人でスーパーへ行く。「何食べたい?」とか「お腹すいたねぇ」とか、何気ない会話を交わす時間が心地よかった。
 買い物を済ませて帰路に着く頃には空は茜色に染まっていた。足元から伸びる影がなんだか懐かしい。ふと立ち止まって影を見つめているとゆいさんが振り向きざまに名前を呼んだ。
「はるか。」
「はい。」
「影踏みでもやる?」
「やんないよ。早く帰ってご飯にしよう」
 私が追いつくまで待っててくれたゆいさんと並んで再び歩き出す。
 こんな幸せを、私は毎日少しずつ噛み締めている。

気に入っていただけましたらサポートお待ちしております。サポートは今後の製作などに役立てていきたいと思います!