12/1 夜明け前のないしょ

 ふと目が覚めた。暖かな布団の中でもぞもぞと寝返りをうつとカーテンの隙間から漏れる薄明かりの中、ゆいさんの寝顔がうすらぼんやりと見える。
 私たちは一緒に暮らしてはいるけれどそれぞれ自分の部屋がある。もちろん私の部屋にもベッドがある。今はゆいさんのベッドの中だし最近はもっぱら一緒に眠ることが多いけれど。
 徐々に目が慣れて薄明かりの中でもゆいさんの顔が見えるようになってきた。スヤスヤとまだ夢の中にいるゆいさんの、柔らかそうな唇に視線が留まる。いつも軽率に私にキスをしてくる唇だ。私はそっと人差し指でその唇に触れた。
 うん、この程度で起きる人ではないのは知っている。
 今度は上半身を起こして、唇でその唇に触れる。しばらくその柔らかさを堪能してからベッドに体を沈めた。
 いつもされっぱなしだもの。たまにはこういうのも、いいよね?

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