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生物が アンキカモクに 成る所以…???

この手の話に対する私の主張は前々からなんとなく形作られてはいたんだけども、今日いきなり言語化されてきたので、徒然なるままに書きつかむとす。

生物は暗記科目か?
これに対して、多くの学生が抱く共感─「単語多すぎる、全部暗記するなんて無理」
そのものではなく、ではどうして、そんなにも単語が多いんだ?という疑問に回答するような話をしたいと思う。



物理化学生物、、、の中圧倒的な単語量

(地学はごめんなさい基礎しかやってないんで話せません。授業取れなかったんすようちの学校のカリキュラム的に。)

まずは、生物の単語量を他教科と比較してみよう。
……といっても残念ながら、私は高校教諭ではないので指導要領は持っておらず、正確な単語数はわからない。
ただ、私の学校の生物の先生がその数字を正確に教えてくれたことがある。なんと概数すら覚えちゃいないんだ鳥頭め……(なぜ話した)
でも1年以上高校の物理、化学、生物をやった感じで、感覚的にお話してみる。

高校物理
高校物理は
力学、波動、熱力学、電磁気学、原子
に分かれている。
力学はケプラーの法則とかいう不思議な経験則以外は、たとえば「初速度」だの「静止摩擦力」だのという単語の意味を押さえられれば、単語についてはバッチグーである多分。
原子だけなんか、ん?暗記?てなるが、アップクォークとかタウとか1ミリも受験問題に出てこないので覚えませんでした。(は?)
興味はあったので国立科学博物館の「加速器!」みたいな展示見に行ったけど、結局よく分からずじまいだった。好きな人たちがわいわいやってる中に入れないで遠巻きに見てる感覚あった。

ていうか物理は単語力でどうにかする学問じゃなくて、普遍的な現象を追うものだから、特に高校物理の話をここに出すのはナンセンスだよね。

っていうのも、高校物理は、問題が与えた状況に対してどの物理法則が使えるかを考える思考力に重きを置いてるからです。


高校化学
化学なら単語多い気がする。暗記だって多い。………けど、なんか違うんだ。

現象そのものを丸暗記しないといけない感じ。

これが、化学履修者を幾度も苦しめる、高校化学ならではの地獄である。え?言い過ぎ?すみません
高校レベルなんかではまるで到達しえない、不思議な化学反応をただ暗記するだけで、それを大学側も問うしかない…私はそれがつらくて逃げました……
単語の話に戻ろう。このように、高校化学は化学反応式の暗記は必要だ。その現象に関わる物質名も覚えないといけないし、化学式も描けないといけない。ただ、その物質名にあるのはあくまで整頓された命名法であり、明確に順番が存在し、電解質だと言われればどんなイオンが電離してくるか容易に判定可能……で、ある。

あとは理論化学であるが、「凝固点降下」や「浸透圧」などの話は、正直理論を覚えてしまえば物質名は問題が与えてくれる。「」で括った現象名そのものを書かせることはあるが、その程度である。何故かって、普遍的な現象だからである。
その意味だと物理と同じ感じ。ただし、物理と違って、どの法則を使うか?ということを考える必要はあんまり無い。法則の適用の仕方(使い方)を覚えればOKである。


高校生物
さてこのように、化学と物理ではあくまで普遍的な現象を追うのであり、その現象の仕組みさえつかめれば様々な状況に応用可能、ということだったが…………生物は違う。
生物は普遍的じゃないのだ。
様々な生物がいると、全然普遍的なところがない。高校生物に載っているのは、ある程度普遍的と言えそうな、ある程度多くの生物にあてはまる仕組みである。が、それだって別に生物種全体で見れば普遍的と呼ぶに程遠い。

生物であれば成り立つこと生物の定義であれば、普遍的なんじゃないか?と思うものだが、ではその項目を挙げてみると、

・代謝する
・複製する(子孫をつくる)
・体内が外界と隔たっている

さてこれが、化学と物理らしい、普遍的な現象なんだと仮定しよう。つまり、どんな生物においても代謝し、複製し、外界から隔離されていて、その仕組みが全生物共通ということだ。

もちろん、そんなことはない。

代謝の過程も、複製の仕方も、外界と隔てる膜の構造だって、普遍的ではない。生物によって違う。

物理や化学なら、コイルの巻数とか、温度とか、いくつかの重要な変数が同じであれば、みんな同じように物理現象が起きるはずである。

生物だってそりゃミクロの視点で見れば物理法則にしたがい、化学反応を体内で起こしているから、変数が同じなら同じように物理現象が起こる………………………いや。生物は体内に莫大な種類の変数を抱えている。条件を同じにできるのは、ほんとにごくごくミクロの世界に限る。分子の世界だ。それはもう生化学という化学の分野に近接している。
高校生物は、一応生化学も扱うし、物理に関わる話も入っている。けれども、生物学の大枠を捉えなければいけないから、そんな話ばかりやるわけにいかないし、詳しく話すことも時間の都合上叶わない。
だから、ある程度多くの生物にあてはまる仕組みを解説している。

この仕組みは、分子レベルの話に比べれば幾分マクロであり、引きで見る分だけ普遍性は小さくなる。つまり、多くの個別事象を取り扱わないといけなくなる。
植物はこれ、動物はこれ。菌はまた少し違って、植物の中でもコケとシダは違って、動物も恒温動物はこうで、魚類はまた………etc.
だから覚えないといけないことが必然的に増える。


数学の問題をひとつ挙げてみよう。
何故って物理や化学は図が必要だからだ!(訳:めんどくさい)

1, 2, 5, 14, 41, 122……という数列がある。
この数列の一般項を求めよ。

例えばこういう、数列の問題があるとする。
これは初項1、3の累乗階差数列になる問題だが、これが生物学で、普遍的でないのだとしたら、「数列」とか「初項」「累乗」「階差数列」という呼び方は、生物ごとに同じではないだろう。「累乗」というしくみ(?)をもつ生物がどの程度いるものか。3乗したときだけ1の位が必ず0になるとか、進化の過程で生まれる例外が見つかるかもしれない。
しかもこの数列が個別的な現象として取り扱われるので、この数列自体も暗記対象になるイメージだ。
だから、新しい呼び名を与えないといけない。…というか、呼び名があった方が楽だから、みんなこぞって名前をつけて呼ぶようになる。
……この変な累乗のしくみを発見した皆さんは、どんな呼び名をつけるでしょうか?

生物学は身近だ。だから昔から多くの研究者がいた。物理学みたいに、天才と呼ばれる人間がその多くを、或いは概形を形づくったのではない。
多くの人の手が加わって、多くの人が色々な発見をする度に事象に名前をつけて、それが集合したのが生物学なのではないだろうか。
個別的な生物の現象を、同じく個別的な生物である我々がそれぞれ発見し、現象に出てくるものそれぞれに独自の呼び名をつけて、それをまとめあげたものが生物学なのだと思う。


生物は暗記が大変だ。でも、その現象を目にした他の人々が、どうしてそんな呼び名をつけたんだろう、という視点を常に念頭に置いておけば、生物の暗記はさほど難しいものでも、つらいものでもない。高校の生物学を学んでいく度、私は多くの研究者に出逢っている感じがする。その現象を見つけ、呼び名をつけた場面に立ち合っているような気がする。

生物があまりに身近な学問ゆえ、暗記が多くなるだけなのだ。
あまりに個別的に放散した生物界を、放散した末端に生きている我々が捉えるから、暗記が多くなるだけなのだろう。

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